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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Fulham×MAN.CITY】コレが15位?4点差からドロー寸前に迫ったフラムのゴールラッシュに絶句!

追加タイムは8分、攻めているのは15位のフラム。マンチェスター・シティは、全員が自陣に引いています。クレイヴン・コテージがハイテンションで湧いているのは、1点差に迫ったわがチームがチャンスを創り続けているからです。右サイドのチュクウェゼと左のケヴィンは、ニコ・オライリーとマテウス・ヌネスを翻弄し、ゴール前にきわどいボールを入れています。

スコアは4-5。フラムが追いつけば、12年ぶりの1試合トータル10ゴールです。95分にマテウス・ヌネスを抜いたケヴィンがゴールラインから折り返すと、ニアに入ったジョシュア・キングは、触ればOKのボールを後ろに逸らしてしまいました。ペップ・グアルディオラがフォーデンをナタン・アケに代えたのは、時間を遣いたかったからでしょう。

サンデル・ベルグのフィードを受けたケヴィンが、中に斬り込んだのは98分。セセニョンとのワンツーからボックス左にスルーパスを転がすと、ニコ・オライリーの裏を取ったジョシュア・キングはドンナルンマと1対1です。右足のアウトでファーに流したボールは、ゴールラインの手前でグヴァルディオルがクリア。攻め続けたフラムは、ラストチャンスを活かせませんでした。

タイムアップの瞬間、クレイヴン・コテージのスタンドは拍手喝采。ホームで5失点を喫したチームのサポーターの雰囲気とは思えません。4点のビハインドからドロー寸前に持ち込んだ選手たちに、手応えを感じているのでしょう。予備知識ゼロで終盤から見始めたら、白いシャツをプレミアリーグで3位のクラブと思い込む人もいるはずです。

とはいえ、ホームサポーターにとって、前半は地獄の展開でした。マン・シティの先制は17分、左サイドでキープしたジェレミー・ドクの速いクロスをハーランドがズドン。プレミアリーグ通算111試合で100ゴールは、アラン・シアラーの125試合を凌ぐ史上最速です。2点めは37分、ルベン・ディアスの縦パスを受けたハーランドの素晴らしいスルーパスが決め手でした。

巧みなターンでサンデル・ベルゲとヨアキム・アンデルセンをかわしたストライカーは、パスを出す前にレインダースの抜け出しに気づいていたようです。バッシーとテテの間に入り込んだMFは、最初のタッチで2人を振り切り、詰めてきたレノの前で浮かして左隅に収めました。さらに44分、左からのCKをレノがパンチで逃れると、ボックス手前でトラップしたのはフォーデンです。

左足の強烈なシュートが、左のサイドネットに突き刺さって0-3。このままハーフタイムとなったら、後半が始まる前にゲートに向かうサポーターもいたでしょう。47分のCKのクリアからイオビがボールを奪い返し、縦パスで抜け出したハリー・ウィルソンがニアにクロスを入れると、スミス・ロウのダイビングヘッドが左隅へ。名手ドンナルンマもお手上げのきれいな一撃でした。

1-3で後半がスタートすると、4分でマン・シティが4点めをゲット。左から上がったドクが斜めのボールをゴール前に入れると、逆サイドが見えていたハーランドがヒールでコースを変えました。外から走り込んできたフォーデンがGKのポジションを見て、右足でニアにプッシュ。54分には、敵陣でヨアキム・アンデルセンのパスをインターセプトしたドクが右隅に決めています。

サンデル・ベルゲの足に当たってコースが変わったため、記録はオウンゴール。今日はダメと見切ってパブに向かうなら、4点差となったこのタイミングがベスト…いや、それは最悪の選択というべきです。不運な失点の3分後、ハリー・ウィルソンのクロスがニコ・オライリーにヒットし、ボックスの外にいたイオビの前へ。右足のコントロールショットは完璧でした。

後半の頭にカスターニュとともに入ったチュクウェゼは、ハーランドのヘッドがポストを叩いたのが合図だったかのように、残り20分から輝き始めました。2点差に迫ったのは72分。カスターニュのクロスをベルナルド・シウヴァがカットすると、こぼれ球に走り込んだチュクウェゼは迷わず左足を振り抜き、ドンナルンマの指先を抜けたボールは左のサイドネットに届きました。

マルコ・シウヴァ監督は、ここでスミス・ロウとラウル・ヒメネスを諦め、ジョシュア・キングとクシ=アサレの18歳コンビを前線に送り出しています。78分のCKに対応したドンナルンマは大きく外に出せず、落下点を察知するのが早かったチュクウェゼが、左足で豪快に決めました。フラムの指揮官が隠し持っていた切り札は、82分にピッチに立ったケヴィンでした。

終わってみれば、シュート数は12対11でフラムのほうが多く、後半は9対4。絶対王者だった頃のマン・シティは、リードするとパスワークをスローに落として時間を遣っていたのですが、今季は自陣に引いてカウンター狙いにシフトする試合が増えています。リーズ戦に続いてリードしてからの反撃に苦しみ、4戦連続の複数失点。後半のローテンションは、課題になりつつあります。

マン・シティの怒涛のゴールラッシュと守備の綻びのコントラストが気になる一方で、フラムのパフォーマンスを称讃したい一戦でもありました。ハリー・ウィルソンやイオビが仕掛ける速攻は前半から脅威で、「コレでも15位?」と驚かされるパフォーマンスでした。年明けのホームゲームで彼らと当たるリヴァプールとチェルシーは、スピーディーなサイドアタックに要注意です。(サムエル・チュクウェゼ 写真著作者/Антон Зайцев)


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