「すべてを台無しにするのは悲しいこと」モー・サラーについて語ったウェイン・ルーニーの言葉。
「彼はリヴァプールにとって恐るべき存在だけど、あの発言はチームメイト、監督、ファンへの敬意を欠いている。おそらくトレーニングでは、とても静かなのだろう。それ自体が、アルネが定着させようとした新戦力にネガティブなエネルギーをもたらしてしまう。彼は今後、数年のうちに、あの言葉を後悔するに違いない。リヴァプールでのレガシーを完全に破壊している」
最新のポッドキャストでモー・サラーについて語ったのは、ウェイン・ルーニー。マンチェスター・ユナイテッド時代にサー・アレックス・ファーガソンと何度も衝突し、「トランスファーリクエストを出した」「移籍させようとしているのかと直談判した」などと報じられたレジェンドは、苦い記憶が脳裏をよぎっていたのかもしれません。
「アルネ・スロットは権威を示すべきた。彼を呼びつけて『君は遠征に同行しない。発言は許されない』と伝えなければならない」といったときは、あの頃のボスが記者に向かっていい放った「クラブより偉大な選手など存在しない」という言葉が頭の片隅にあったのでしょう。「監督との確執を解消するか、リヴァプールを去るしかない」といわれれば、ただうなずくのみです。
ルーニーはプレミアリーグで183ゴール93アシスト、サラーは188ゴール88アシスト。彼らのゴール&アシストは、奇しくも同じ数字です。両者ともに、プレミアリーグの歴史のなかで最もクラブに貢献したといえるレジェンドで、最も恵まれた選手でもあります。「すべてを台無しにするのは悲しいこと」とリーグの後輩を諫める言葉には、共感や同情も込められているのでしょう。
彼がリヴァプールに入団したのは、8年前の6月でした。ユルゲン・クロップという最高の理解者に、右ウイングという最適なポジションを与えられ、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネ、アレクサンダー=アーノルド、ジョーダン・ヘンダーソン、ヴィルジル・ファン・ダイクといった素晴らしいパートナーたちとともに、獲得できるすべてのタイトルを手に入れました。
マージーサイドの情熱的なサポーターたちは彼を愛し、彼もリヴァプールとアンフィールドを愛していました。オールド・トラフォードでサポーターの声援を背中に浴び続けてきたウェイン・ルーニーは、「今こそ、ずっとリスペクトしてくれた人々の顔を思い出してほしい」といっているのでしょう。
レッズでプレイするようになってから3度めといわれる自ら求めたインタビューには、甘えが感じられました。指揮官を非難し、リチャード・ヒューズSDの暗躍を匂わせながらも、救いの手を差し延べてくれる可能性があるチームメイトと経営のトップに関しては、ネガティブな言葉を使わなかったのです。
一時の激情にかられて指揮官やSDを非難しながらも、決定的なボタンは押さないという理性が働いていたなら、ルーニーの忠告を受け止めて自ら動いてほしい。今ならまだ、間に合います。チャンピオンズリーグのインテル戦のメンバーからは外れたものの、スロット監督は「彼が発言した理由を知る必要がある」と理解を示し、「いつでも戻れる」と明言しています。
「モーを愛している」「彼には状況を好転させる力がある」と語ったアリソンが「ロッカールームはいい状態」「チームのメンバーはアルネ・スロットを全面的に支持している」といったのは、非を認めてスムーズに戻ってきてほしいと願っているからでしょう。ルーニーやアリソンの思いは、彼の心に届くのでしょうか。もう一度、いいます。今ならまだ、間に合います。(ウェイン・ルーニー 写真著作者/Станислав Ведмидь)
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