2025.12.13 チームの話題(全体・他クラブ)
怒涛の8連勝でプレミアリーグもELも優勝候補!エメリのアストン・ヴィラが快進撃を続けられる理由。
ウナイ・エメリのチームの戦績を見ると、最初に目を引くのは本拠地ヴィラ・パークでの圧倒的な強さです。過去3年の54勝は、欧州の主要リーグにおけるホーム最多勝。昨シーズンのチャンピオンズリーグでは、バイエルンとパリを撃破しています。2025年に入ってからは12勝4分1敗。バーミンガムに乗り込んで勝ったチームは、クリスタル・パレスだけです。
夏のトランスファーマーケットで彼らの動向を追っていた人たちは、さすがのエメリも大苦戦と予想していたはずです。財政難で補強予算は縮小され、即戦力の完全移籍はリールから来たエヴァン・ゲサンのみ。ローンで引き入れたジェイドン・サンチョ、エリオット、リンデロフは、エメリが好むタイプではありません。一方、チームを離れた選手たちは錚々たる顔ぶれです。
ラシュフォード、ディサシ、アセンシオはレンタル期間が満了となり、ジェイコブ・ラムジーはニューカッスル、レオン・ベイリーはローマへ。前線の層が薄くなったチームが、プレミアリーグでアーセナルに3ポイント差に迫り、ヨーロッパリーグで首位リヨンと並ぶ15ポイントを稼ぐとは思えませんでした。エメリ監督は、どうやってヴィラをここまで引き上げたのでしょうか。
最大のポイントは、くすぶっていた現有戦力の再生です。ヴィラの前線といわれて、真っ先に名前が浮かぶのはオリー・ワトキンスとモーガン・ロジャースでしょう。しかし彼らは、開幕当初は昨季とほど遠いパフォーマンスで、不振の元凶となっていました。エメリ監督が活用したのは、放出候補だったエミリアーノ・ブエンディアと、1月に獲得したドニエル・マレンでした。
2021年にヴィラに移籍したブエンディアは、2023-24シーズンの開幕前に前十字靭帯を損傷し、復帰まで1年を要しました。チームに合流してからは、スピードと突破力を取り戻すのに時間がかかり、昨シーズンの後半戦はレヴァークーゼンにローン移籍となっています。既に28歳。ヴィラに若いアタッカーを獲得する資金力があれば、残留とはならなかったでしょう。
ニューカッスルとの開幕戦をベンチで終えた10番は、5節のフラム戦のハーフタイムにピッチに入ると、キックオフから6分で1ゴール1アシスト。プレミアリーグでゴールを決めたのは、2年半ぶりでした。その後も指揮官のターンオーバーのキーマンとなり、スパーズ戦とアーセナル戦では決勝ゴールをゲットしています。
ドルトムントに所属していた2023-24シーズンに、ブンデスリーガで27試合13ゴール3アシストという数字を残したドニエル・マレンは、最初の半年は公式戦17試合3ゴール。4月の3戦連続ゴール以外は沈黙の時間で、期待を裏切ったと評するべきでしょう。しかし今季は持てる力を発揮し、22試合7ゴール1アシスト。プレミアリーグでもELでも、チームのリーディングスコアラーです。
プレミアリーグでの快進撃は、中盤の活性化を抜きに語れないでしょう。エンジンがかかったモーガン・ロジャースは、初勝利のフラム戦以降は3ゴール3アシスト。公式戦8連勝が始まったのは、ふくらはぎを痛めていたティーレマンスが復帰してからです。21歳のボハルデの成長も、ヨーロッパリーグを4回制している指揮官の戦い方のバリエーションを広げています。
エメリ監督の選手起用を見ていると、相手のレベルと戦術を見極めて先発を選び、運動量が落ちた選手を早めに代えるという策を徹底しているようです。1-0で逃げ切ったマンチェスター・シティ戦も守備的な交代策は取っておらず、アーセナル戦では最終ラインの主軸のパウ・トーレスをリンデロフという大胆なカードを切っています。
対戦相手と自チームの戦力を的確に評価できるからこそ、8勝のうち6勝が1点差の連勝が成立したのでしょう。昨日のバーゼルとのアウェイゲームは、ティーレマンス、ブバカル・カマラ、モーガン・ロジャース、マッギンを全員ベンチスタートとして、1-2で競り勝っています。右サイドに入ったゲサンがようやく結果を出せたのは、指揮官が最適な役割を探り当てたからでしょう。
「木曜日の罰ゲーム」になりがちなELとプレミアリーグを両立させられるのは、選手をリフレッシュするのがうまいからだと思われます。アーセナルやチェルシーより、明らかに薄い選手層でここまで戦えているのは、天晴れのひとこと。現地メディアは「アストン・ヴィラは優勝候補か?」という見出しが増えています。「答えはイエス」という記者もいますが、果たして…?
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