2025.12.26 チームの話題(全体・他クラブ)
カンファレンスリーグ制覇から2年半。ウェストハムが降格候補になってしまった理由。
2023-24シーズンのプレミアリーグは9位で、ヨーロッパリーグはベスト8進出。ノースロンドンに居場所を変えたアンカーの穴は、モイーズ監督が獲得を熱望したウォード=プラウズが埋めました。このシーズンまでは、ウェストハムはビッグ6の一角崩しを狙える中堅のトップクラスだったのです。現在のアストン・ヴィラやニューカッスルのように。
TOP10フィニッシュから1年半を経た今、彼らは降格の危機に直面しています。2025-26シーズンのプレミアリーグは、3勝4分10敗で18位。攻守ともに精彩を欠いており、19ゴールは下から4番めで、35失点はウルヴスに次ぐ厳しい数字です。17位のノッティンガム・フォレストとは5ポイント差で、何らかの手を打たなければ、15年ぶりのチャンピオンシップとなりそうです。
モイーズが指揮を執っていた頃、希望に満ち溢れていたハマーズは、なぜ一気に転落してしまったのでしょうか。これまでの戦績を辿ると、昨年の夏に招聘したフレン・ロペテギが混乱のトリガーのように見えます。しかし実際は、モイーズ、ロペテギ、ポッターとことごとくぶつかったティム・シュタイテンが元凶でしょう。
テクニカルディレクターとしてイーストロンドンにやってきたのは、カンファレンスリーグ制覇の2か月後。すぐにモイーズと衝突したのは、プレミアリーグの経験がある選手を獲ってほしいという要望を却下したからです。指揮官がほしがっていたウォード=プラウズは押さえたものの、クドゥス、マヴロパノス、エドソン・アルバレスは新たなTDの主導で獲得した選手です。
2023-24シーズンを終えた後、モイーズが退任となり、前年の8月までウルヴスを率いていたロペテギに声がかかりました。スペイン人監督の意向を取り入れなかったのは、「共同オーナーのデヴィッド・サリヴァンが連れてきた」という経緯が気に入らなかったからでしょうか。シュタイテンが集めた総勢10人の新戦力は大半が振るわず、現在の低迷の原因となってしまいました。
フォデリンガム、キルマン、ワン=ビサカ、トディボ 、ギド・ロドリゲス、ギリェルミ、アーヴィング、ソレール、サマーヴィル、フュルクルク。ロペテギ戦術にフィットしたといえるのは、右サイドのアタックを活性化したワン=ビサカだけです。わずか8ヵ月で解任となったロペテギの後を継いだグレアム・ポッターは、着任の2週間後にカイル・マコーレーを引き入れました。
ブライトンとチェルシーでポッターとともに働いていたスカウト部長に、過半の仕事を奪われてしまったシュタイテンは、夏の補強の失敗も相まって解任となりました。ポッターとマコーレーがうまくいっていれば、迷走は止まったはずですが、昨夏の新戦力も早期にフィットせず、ポッターは10月を待たずに任を解かれています。当然、一蓮托生のマコーレーもアウトです。
前任者はプレミアリーグの最初の5試合を1勝4敗。後任のヌーノ・エスピーリト・サントも2勝4分6敗と、冴えない戦いが続いています。ヌーノの最初の4バックは、マリク・ディウフ、キルマン、マヴロパノス、カイル・ウォーカー=ピータース。その後CBはトディボとマヴロパノスとなり、キルマンを加えた3バックを経て4枚に戻すなど、試行錯誤が続いています。
キルマンは集中力が切れる時間帯があり、マヴロパノスはクリアやパスのミスが目立っています。マークの受け渡しがうまくいかず、ゴール前でストライカーがフリーになるシーンもあり、修正には時間がかかりそうです。昨シーズンのノッティンガム・フォレストで、13回のクリーンシートを記録した堅守を構築した指揮官まで切ったら、このまま沈んでしまうでしょう。
シュタイテンが引き入れた選手のなかで、今でもまずまずといえるのは、クドゥス、キルマン、ワン=ビサカぐらいでしょう。エドソン・アルバレスとフォデリンガムはチームを離れており、フュルクルクは1月にミランに向かうようです。経営ボードとディレクター、現場の連携がなければチームは一気に崩れるという見本のようなシーズン。ヌーノ監督は、ここから巻き返せるのか…?
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