偏愛的プレミアリーグ見聞録

ついに出ました！フロリアン・ヴィルツ、プレミアリーグ初ゴール！アンフィールドのウルヴス戦は、夏に獲得した新戦力が輝いた一戦でした。「未だ勝利がない最下位じゃないか」というツッコミには、「アストン・ヴィラとアーセナルを苦しめたチームですね？」と反論しておきましょう。とはいえ、昨シーズンの王者が2分15敗のチームにポイントを削られたら事件です。

モー・サラーはアフリかネーションズカップ、イサクはリタイア、ショボスライはサスペンションで、ガクポは復帰したばかり。後方には主軸を揃えたスロット監督は、右サイドにフェデリコ・キエーザを配しました。エキティケの後ろにマック・アリスター、ヴィルツは左サイド。中盤センターは、フラーフェンベルフとカーティス・ジョーンズです。

キックオフから5分までのリヴァプールは、安全運転のポゼッション。ヴィルツやファン・ダイクのロングフィードは、前線に届きません。7分に左から突破を図ったケルケズは、折り返しが味方に通らず。最初のチャンスは11分、ヴィルツの美しいスルーパスがエキティケに入り、ブエノとモスケラの間を通したクレバーな浮き球のシュートが右のポストにヒットしました。

ケルケズもさることながら、右サイドのフリンポンも、そろそろ本領発揮といきたいところです。ウルヴスの最初のシュートは17分、左からニアを狙ったマテウス・マネのミドルはアリソンがキャッチ。24分にフェデリコ・キエーザとのワンツーで縦に出たフリンポンは、クロスをモスケラにクリアされ、左からカットインしたヴィルツはコースを見出せずに終わっています。

28分には、フラーフェンベルフが右のフリンポンに預け、ダイレクトのグラウンダーがニアのエキティケへ。ストライカーは空振りで、後方にこぼれたボールにマック・アリスターが右足を振り抜きました。ジョゼ・サが弾いてポストに当たった後、GKの視界に入っていたフェデリコ・キエーザがオフサイドを取られましたが、サイドアタックに期待を抱かせるシーンでした。

猛攻のレッズが先制したのは41分。ファン・ダイクのサイドチェンジがフェデリコ・キエーザに通り、脇にいたフリンポンにボールが渡ると、ジョアン・ゴメスを抜き去ったSBがゴールラインからニアに折り返しました。ダイレクトショットを右のポスト際に決めたのは、フラーフェンブルフ。1分後、センターサークルでパスをカットしたエキティケが、追加点を生み出します。

ケルケズに預け、リターンをもらったストライカーは、ワンタッチでアンドレを抜き去って中央に進路を取りました。前にいるヴィルツは、CBの間に入ってマークを外しています。ラストパスはパーフェクト。ジョゼ・サと向き合ったプレーメイカーは余裕があり、トーキックで脇を抜きました。歓声なきアンフィールド。ひたすら厳かな拍手が鳴り響いています。

前半は2‐0、シュートは8対3、オンターゲットは2対1。リヴァプールは楽勝ムードだったのですが、51分の失点で雰囲気が変わりました。左からのCKを頭で合わせたのはアロコダレ。めちゃくちゃ打点が高いヘッダーにアリソンはよく反応し、ボールをゴール前に叩き落としたのですが、ブエノが詰めてど真ん中にプッシュしました。

スロット監督は、61分にフェデリコ・キエーザをブラッドリーにスイッチ。就任以来のプレミアリーグで7戦全敗のロブ・エドワーズ監督は、ウェルフェ、チャチュア、ストランド・ラーセンを投入して初のポイントをめざします。65分のカーティス・ジョーンズのミドルは、ジョゼ・サが右に飛んでセーブ。残り15分からは、ウルヴスのペースです。

74分のマテウス・マネの左足ミドルは、アリソンが左に反応してキャッチ。77分にチャチュアのクロスを頭で合わせたアロコダレは、フリーでした。アーセナル戦で同点ゴールを決めたストライカーは、クロスバーを越えたボールを見て悔しがっています。最大のチャンスは86分。右に出たアロコダレの縦パスで、ボックスの脇に上がったのはストランド・ラーセンでした。

ニアに入ったグラウンダーに走り込んだのは、ジョン・アリアス。ブラッドリーのスライディングがコンマ数秒遅れていたら、ゴールかPKでしょう。打つ寸前に出した左足がボールを捉え、夏にフルミネンセから加わった10番の初ゴールはお預けとなりました。アストン・ヴィラとアーセナルを苦しめたチームは1歩及ばず、リヴァプールが勝ち切って4位に浮上しました。

ようやく初ゴールを決めたヴィルツは、ドリブル成功7回！チャンスクリエイト3回とデュエル10勝3敗も素晴らしい数字で、文句なしのMVPでしょう。アシストを記録したフリンポン＆エキティケと、的確なパスワークで左サイドからのアタックを活性化したケルケズにも、拍手を送りたくなります。4人の新戦力が揃って爪痕を残した勝利は、次につながる一戦でした。

サラーが初めて先発から外れたウェストハム戦から、公式戦7試合で5勝2分。昨シーズンほどの安定感はなくても、リヴァプールは復活したと宣言してもいいでしょう。ヴィルツやフリンポンがさらに調子を上げてくれば、優勝争いを4強にできるかもしれません。最大の関門は年明けのエミレーツ。その手前でリーズ、フラムに勝ち切って、満を持して臨んでいただければと思います。