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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

エンツォ・マレスカとチェルシーが決裂!即時退任という結論に至ったそれぞれの言い分。

「チェルシーとエンツォ・マレスカ監督は、袂を分かつことになりました。在任中は、カンファレンスリーグとクラブワールドカップ制覇にチームを導きました。その功績は、近年の歴史において重要な位置を占めており、クラブへの貢献に感謝しています。CLを含む4つの大会で重要な目標が残されているなかで、監督とクラブは指揮官交代がチームの立て直しに最善と判断しました」

信じられない…!チェルシーはなぜ、マレスカ監督を手離すという決断に至ったのでしょうか。いや、マレスカはなぜ即断即決したのかと問うべきなのかもしれません。2026年の最初のビッグニュースは、「世界一のクラブと優勝監督が半年で修復不可能な関係に陥った」という衝撃的な話です。トリガーとなる何かが起こったのは、2週間前だったはずです。

「これまでの48時間は、私がクラブに加入して以来、最悪の時間だった。多くの人々が私たちをサポートしてくれなかったからだ」。マレスカ監督が不満を表明したのは、12月13日の午後。エヴァートンに2‐0で完勝した後のプレスルームでした。「ファンを愛している。満足している」と付け加えた指揮官の矛先は、明らかにクラブの内部に向いていました。

この件に関する記事を連発している「テレグラフ」は、チェルシーとマレスカの言い分を、それぞれレポートしています。マット・ロー記者によると、決裂のきっかけは9月のバイエルン戦だったそうです。経営ボードが問題にしたのは、コール・パルマーの鼠径部の負傷の悪化でした。マレスカ監督は、メディカルのプロトコルに沿った選手起用をするよう指示されたといいます。

言葉にすると数文字ですが、指揮官にとって「現場介入」は、それだけで辞める理由になるでしょう。ホルヘ・メンデスを代理人に据えたマレスカ監督は、10月と12月にマンチェスター・シティとユヴェントスからの会談の誘いに応じています。これらはクラブに報告する義務があり、共同SDのローレンス・スチュワートとポール・ウィンスタンリーとの溝が深まってしまいました。

エヴァートン戦の直後の物騒なコメントは、1ゴール1アシストのマロ・グストに関する質問がスイッチでした。「彼を10番で起用したのはなぜか?」。2-1で敗れたチャンピオンズリーグのアタランタ戦で、右のSBをトップ下に配したのは苦肉の策だったのでしょう。ストレスを溜めた指揮官の反撃のターゲットは、戦術的な選択肢を狭めるメディカルスタッフだったようです。

秋になってすぐに揉めた彼らの関係を支えていたのは、チームの良績でした。9月末からの2ヵ月は、公式戦12試合で9勝2分1敗。11月のプレミアリーグは3勝1分で、マレスカ監督は月間最優秀マネージャーに選出されています。しかし12月に入ると、リーズ、ボーンマス、アタランタに勝てず、指揮官が先にキレてしまいました。その後も振るわず、最後の1ヵ月は2勝3分3敗でした。

44歳だったイタリア人監督が、ウェストロンドンからのオファーを受けたのは2024年の夏。レスターをプレミアリーグ昇格に導いた実績を買われたステップアップでした。懐疑的な声も多かった初年度は、カンファレンスリーグとクラブワールドカップを制し、プレミアリーグはTOP4フィニッシュ。オーナーもディレクターも、いきなり2冠は予想以上の成果だったはずです。

コルウィル、コール・パルマー、カイセド、エンソ・フェルナンデスを軸としたチームは、若手の成長も楽しみだったのですが、2年めの夏の補強は納得とはいえないでしょう。昨季プレミアリーグで10ゴールのニコラス・ジャクソンと7ゴールのノニ・マドゥエケを放出し、リアム・デラップ、ギッテンス、ガルナチョ、ジョアン・ペドロ、エステヴァンは、リスキーなプランです。

とはいえ前線の強化は、選択肢が増えたとはいえます。問題は最終ラインで、「重傷を負ったレヴィ・コルウィルの代役を」という指揮官のオーダーは却下されました。開幕当初から、レギュラーとして期待できたのはククレジャのみ。リース・ジェームズは負傷が多く、バディアシルは長期離脱。フォファナは出遅れ、トレヴォ・チャロバーは放出候補で、トシンは不安定でした。

穴だらけだった最終ラインをうまくまとめて、マロ・グストやエステヴァン、アチャンポン、アンドレイ・サントスを活用し、「育てながら勝つ」を実践していたマレスカ監督は、現体制で唯一の「数年先を期待できる監督」でした。急速に決裂に至った経緯に触れたうえで、ボーンマス戦で激しいブーイングとチャントを浴びた指揮官の心情を思うと、胸が痛みます。

「オマエは何をしているのか、わかっていない」。63分にコール・パルマーを代えたのは、メディカルチームの見解に従っただけで、彼は90分までプレイできると主張していたそうです。試合後の会見を体調不良でキャンセルしたのは、10番の交代について聞かれたくなかったからかもしれません。爆弾発言を避けたかったのは本人か、あるいはSDたちか…?

トーマス・トゥヘルは4ヵ月、グレアム・ポッターは7ヵ月、ブルーノ・サルトルは1試合、フランク・ランパードは11試合、マウリシオ・ポチェッティーノは12ヵ月、エンツォ・マレスカは19ヵ月。ブルーコと契約した監督たちの行く末を見て、ベハダ・エグバリ、ローレンス・スチュワート、ポール・ウィンスタンリーとともに働きたいと手を挙げる有能な人材はいるのでしょうか。

マット・ロー記者が後任候補として挙げているのは、ストラスブールのリアム・ロシニオール監督と、ポルトのフランチェスコ・ファリオーリ監督です。41歳のロシニオールは、昨シーズンのリーグアンで7位が唯一のトップリーグでの戦績で、「ブルーコ社の人事異動」と揶揄したくなります。今季のポルトは15勝1分で首位ですが、36歳のファリオーリも実績が大いに不安です。

UEFAのプロライセンスを取得したのは、ニースを率いていた2023年9月で、昨シーズンのアヤックスはエールディヴィジで2位でした。優勝経験がないことより気になるのは、オランダのクラブを退任した理由です。「補強方針と予算、チームのコンセプトを巡る経営ボードとの対立」。つい最近、どこかで聞いたような話ですが…。

チェルシーの1月の9試合は、重要なゲームばかりです。プレミアリーグの最初の試合はマン・シティ、カラバオカップ準決勝のホーム&アウェイはアーセナル。ノックアウトラウンドのストレートインをめざすCLは、ナポリ遠征です。経営ボードは、暫定監督で乗り切れるとは考えていないでしょう。「しっかり吟味したうえで素早く決断」は、簡単な仕事ではありません。


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