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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

補強の失敗、リーダー不在、サポーターとの軋轢…監督が孤立するスパーズ、凋落の軌跡。

トッテナム・ホットスパー・スタジアムの開幕戦で、バーンリーに3-0の快勝。翌週はエティハドに乗り込み、タイトル奪還をめざすマンチェスター・シティを0-2で撃破しました。トーマス・フランクの下で最高のスタートを切ったスパーズは、その後のホームゲームで勝ったのはブレントフォード戦だけで、ビッグ6との7試合は2分5敗です。

2026年に入ってからのプレミアリーグで4分7敗と、未だ勝利なし。チャンピオンズリーグは好調だったのですが、ラウンド16のアトレティコ・マドリード戦はGKキンスキーとファン・デ・フェンがスリップとミスで失点を重ね、5-2の大敗を喫しています。クラブ創設以来の144年で、初めての公式戦6連敗。経営ボードは、トゥドールの後釜を物色中と報じられています。

負傷者リストにはリーグ最多となる12人の名前が並んでおり、クリスタル・パレス戦でレッドカードのファン・デ・フェンはサスペンデッド。ジェームズ・マディソンとクルゼフスキは出場ゼロで、オドベールの復帰予定は11月です。トーマス・フランクもトゥドールも、戦力不足に悩まされましたが、降格の危機に陥るほどの不振の理由は、それだけではないでしょう。

補強の失敗、会長の解任、新戦力の停滞、リーダー不在、サポーターとの軋轢、主力の離反…。すべての始まりは、ポチェッティーノと過ごした輝かしい季節の終焉だったのかもしれません。ジョゼ・モウリーニョ以降、シーズンを通じて指揮を執ったのはポステコグルーのみ。前任とスタイルが異なる監督を招聘し、成熟を見ずに切ってしまうサイクルが定着していました。

ハリー・ケインがバイエルンに移籍したのは2023年8月、ウーゴ・ロリスの退団は12月、ソン・フンミンがアメリカに旅立ったのは昨年の夏。彼らはリーグ屈指のプレーヤーであるとともに、頼れるリーダーでもありました。ダニエル・レヴィとスタッフがキャプテンシーを軽視したのも、現在の惨状につながっているのではないでしょうか。

ヨーロッパリーグを制したポステコグルーが任を解かれ、トーマス・フランクが就任したのは2025年6月。最初のつまずきは、ジェームズ・マディソンの前十字靭帯の損傷と、エベレチ・エゼやモルガン・ギブス=ホワイトを獲り逃したことです。5200万ポンドを投じたシャビ・シモンズは、入団から半年を経てもプレミアリーグに戸惑っているようです。

ユヴェントスから引き入れたコロ・ムアニもフィットせず、期待されていたモハメド・クドゥスは負傷リタイア。まずまずといえる新戦力は、ジョアン・パリ―ニャだけです。最大の失敗は、ロメロとファン・デ・フェンへの依存度が高かったCBの補強でした。高井幸大とヴィシュコヴィッチは即戦力ではなく、復帰したドラグシンはこのレベルで戦える選手ではなさそうです。

前線の主軸を負傷で失い、新戦力をうまく活用できないチームがホームでポイントを落とすごとに、サポーターのストレスが溜まっていきました。昨夏のトランスファーマーケットで失敗し続けたダニエル・レヴィ会長は、トーマス・フランクの後ろ盾であるとともに、サポーターの不満のはけ口だったのですが、解任となってからの矛先は監督に向かってしまいました。

11月1日のチェルシー戦はホームで0‐1。最少失点の敗戦ですが、シュート数は3対15で、xG(ゴール期待値)は0.10という厳しい展開でした。サポーターたちが不満を表明するなかで、ファン・デ・フェンとジェド・スペンスは挨拶をするよう呼びかけたトーマス・フランクを無視。月末のフラム戦では、ミスを犯したヴィカーリオにブーイングが浴びせられました。

ノースロンドンダービーで2試合5ゴールのエゼがこっちにいれば、スタンドの不満は和らいだかもしれません。ニューイヤーズデーのブレントフォード戦はスコアレスドローで、「Boring, boring Tottenham(退屈な、退屈なトッテナム)」の大合唱。ボーンマス戦を3‐2で落とした後、ペドロ・ポロとファン・デ・フェンがサポーターと衝突しています。

1-2で敗れたウェストハム戦と、ドロー決着のバーンリー戦もブーイングが鳴りやまず、2月のニューカッスル戦でもあのチャントが繰り返されました。「Sacked in the morning」。敵将を煽るためのチャントが、自軍の指揮官の背中に突き刺さった翌朝、スパーズはサポーターたちの願いを叶えました

ずっと孤独だったトーマス・フランクは在任期間8ヵ月で、2004-05シーズンのジャック・サンティーニと2021-22シーズンのヌーノ・エスピーリト・サントに次ぐ短命政権でした。冬の補強はコナー・ギャラガーとソウザでしたが、獲得すべきは即戦力のCBと、リヴァプールで出番を減らしていたアンディ・ロバートソンだったのではないでしょうか。

苦しいときにチームを支えてくれるリーダーがいれば、若い選手たちは迷わずプレイできたのではないかと思われます。キャプテンのクリスティアン・ロメロはイエロー11枚、レッドカード2枚でトータル6試合を失い、ファン・デ・フェンもイエロー10枚とレッド1枚で、今週末のリヴァプール戦はサスペンデッドです。

ともに素晴らしいCBではあるものの、キャプテンではないでしょう。経営ボード批判を繰り返すロメロは、味方のミスに激怒する姿が目立っており、ファン・デ・フェンはしばしばサポーターとやり合っています。ファン・ダイクやウーデゴーア、リース・ジェームズのように仲間に信頼されるリーダーがいれば、ここまでの混乱はなかったのではないかと思えてなりません。

あまりにも不人気だったトーマス・フランクには同情したくなるのですが、トゥドールの孤立は自らの振る舞いによる結果でしょう。チームが自信を喪失している状況で、プレスに対して選手批判をしたら、ロッカールームの雰囲気が悪くなるだけです。マドリードで2失点の原因となったキンスキーへの冷たい態度も、選手たちとの溝を深めるトリガーになりそうな雲行きです。

リヴァプールに負けたらチームは7連敗で、指揮官は5連敗。ファン・デ・フェンに加えて、CLで脳震盪を起こしたロメロとジョアン・パリーニャも欠場する見通しといわれています。イヴ・ビスマは負傷リタイアで、コナー・ギャラガーも発熱でロンドンに留まる可能性があるとのこと。アンフィールドで惨敗となればおそらく、いや、既にトゥドールは…?


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