エヴァートンのニアッセが試合後の調査でダイブと判定され、2試合出場停止…問題の映像を見てみました。
下位クラブ対決のドロー決着という見出しにしづらい結果だったにも関わらず、この試合がクローズアップされたのは、5分のニアッセのプレイがダイブではないかと指摘されたからでした。当事者のスコット・ダンとロイ・ホジソン監督が試合後にジャッジに異議を唱えると、FAがさっそくリサーチを開始。結論はクロで、今季から始まった「試合後のビデオチェックでダイブが認められた場合は出場停止を科す」という新ルールが初めて適用され、ニアッセはプレミアリーグのサウサンプトン戦とウェストハム戦を失うことになりました。同じ時間にリヴァプールVSセインツがあり、この試合を観られなかった私は、ニアッセは何をしたのだろうかという興味にかられ、リプレイ映像をチェックし始めたのでした。
ボックスの左隅でボールを縦にプッシュしたニアッセが抜け出そうとすると、スコット・ダンが左足を…止めた。かかってない。足元を見ると、クリスタル・パレスのCBはPKを取られることを怖れて自重しています。しかし、問題はそこではなかったのです。スコット・ダンが差し出した左手がニアッセの胸に当たっており、ストライカーはのけぞって後ろに倒れています。CBが試合後に語っていた「接触があったとしても最小限」という言葉の意味がわかりました。足がかかっていたのなら、大小という程度を表現するワードは必要ありません。スコット・ダンは、コンタクトがあったことは認識しているのです。ただし映像からは、インパクトの強さまではわかりません。プレミアリーグを見慣れている方なら、このぐらいのコンタクトはセットプレーのたびに毎回あるというかもしれません。
私は、ダイブ撲滅を目的とした今季からのレギュレーション変更については賛成です。しかし、今回のケースについては、「疑わしきは罰せず」ではないでしょうか。ファールかどうかといわわれば、PKを取るほどのプレイではないと思いますが、論点はそこではなく「ダイブかどうか」です。実はニアッセはもらいに行こうと考え、大したインパクトでもないのに倒れたのかもしれませんが、手は確実にヒットしており、上半身の動きを見る限りでは不自然ではありません。倒れ方が大げさに見えたのは確かですが…うーん、あらためて見てみると、スコット・ダンの手の出し方も「抑える」というより「はたく」で、感覚的にはいい印象ではありません。エヴァートンのデイビット・アンスワース暫定監督が「接触の大きさは問題ではない。接触があったら間違いなくファールだ」と抗議する気持ちもわかります。
私はニアッセの弁護士ではありません。FAの決定に対して「絶対におかしい」と主張するほどの強い気持ちはなく、「あのぐらいで倒れるのはダイブだろう」という声が多ければ、「そうかもしれませんね…」とあっさり宗旨替えしてしまいそうです。ただし、ひとつだけ声を大にしていいたいことがあります。日本の一部サッカーメディアの方々、さすがにこの表現はないでしょう。
「DFダンがPKを避けるために足を出しに行くことを止めていたものの、ニアッセは足をかけられたように演技を行い」「リプレイを見る限り接触はほとんどなく」
これは、事実ではありません。ヒットしていたのは手で、問題はニアッセがPKをもらうためにこれを利用したかどうかです。疑惑があると、ことさらに「悪」を誇張するのは最近のよくない風潮のように思います。私が伝えたいのは、「巷間伝えられているよりはもう少し微妙なシーンでした」「映像でも判断しにくいきわどいシーンはやはりありますね」ということです。FAのジャッジに曖昧にうなずきつつ、ニアッセにも一分の理はあるということは記しておきたいと思います。いや、しかし。やっぱりダイブですかね。もう1回、見てみますね…。(ウマル・ニアッセ 写真著作者/ Дмитрий Корнило)
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自分は疑わしきは罰するに賛成です
特に導入初期は罰する時は罰するという意志を見せる事でダイブの抑止に繋がると思います。
すぐにコロコロ転がるリーガのようなサッカーは嫌いなので、ダイブ撲滅万歳。
問題のシーン、私が応援するユナイテッドの選手がやっても、出場停止には文句を言えないなっというのが個人的な感想です。(アシュリー・ヤングが・・・?)
倒れても笛を要求するのでなくすぐ立ち上がろうとするプレーが好きなので、この制度導入には大賛成ですが、どうしても判定が下されるたびに騒がれそうですね。今回の事例が改めて選手たちへの警告となるでしょうか?じわりじわりと効果が出ることを期待しています。それまでは事例側に回ることのないように、ユナイテッドの選手たちにお願いしたいです。
別の議論になっちゃいそうですが、試合後に判定が見直されたのならレフェリーにもなにかしらのペナルティが欲しいと思ってます。
能天気な意見であることを承知で一言。
僕としては、これ以上のルール改正はあまりして欲しくはないのかなぁと思います。
ただでさえ、フットボールはより科学的に、理論的に研究されるスポーツになっていく一方です。
それなのに、相変わらず広いフィールドに審判が一人という「そりゃあミスジャッジもおこるだろう!」という曖昧さというか、大らかさが魅力であると思うのです。
当然、我がアーセナルがミスジャッジによって不利益を被ったら大騒ぎします。
ミスジャッジにより救われたら知らんぷりします。
まぁ、時代の流れとしては難しいのでしょうけど。。
現代サッカーは主審の負担が重すぎる気がするので、アメフトみたいにビデオ判定はリーグ毎に別室の人間が判断する形にして欲しいです。
あっきーさん>
「倒れた瞬間に接触がなかった場合」など、定義をしっかりしないと別な不公平感が出たり、レフェリーが冤罪となりかねないので注意が必要だと思います。2試合でスタメンを奪われる選手もいますし、疑わしきを罰とした場合に、微妙だったにもかかわらずレフェリーの評価が下がるのは避けられないので。
Scholesさん>
胸に手が当たっていたのは軽微である、という見方ですかね。論点は「倒れたときどうだったか」ですね。
プレミアリーグ大好き!さん>
レフェリーのなり手がいなくなるんじゃないですかね…。「故意」「悪」に対するペナルティなら「犯さなければOK」ですが、「瞬間的な見逃し」「肉眼の限界」みたいなものに罰を設けられると精神的に相当きついと思います。片やレフェリーに対するインセンティブは決して大きくはないので。
ヒロトさん>
スピードが上がっているなか、レフェリーはきついですよね。心情的には、私もヒロトさん側です。ただし、オフサイドや「転倒時にまったく触っていないダイブ」など、デジタル・明快にジャッジできることに限定してビデオ導入はありと思ってます。
プレミアリーグ大好き!さん>
重いですよね。PK等の重要なシーンではビデオ判定を導入したうえで、「ダイブはイエロー、試合中でも試合後のジャッジでも2試合出場停止」とするのがキレイかと。