チャレンジかセーフティか…日本代表のガーナ戦にみる、香川真司と吉田麻也の明暗
試合勘という言葉がクローズアップされ始めたのは、昨季前半、ヴォルフスブルクの長谷部が当時のフェリックス・マガト監督に完全に干され、数ヵ月まともにチームに組み込んでもらえなかったときでした。確かに当時、日本代表での長谷部は調子がいいとはいえず、本人もそれを気にしており、コンディションづくりが難しい状況だったのでしょう。
しかし、その頃の長谷部と今の香川真司では状況がまるで違います。コンフェデレーションズカップから一昨日まで含めれば、他国の選手がバカンスに出かけていた季節に4ゴールを挙げた選手を、しかも日本で数試合、直接観る機会まであったにも関わらず「試合勘」とは…。サポーターが心配している分にはいいですが、プロの記者のみなさんは、いい加減なことはいわないでいただきたいですね。そもそも、ケガで完全に休んだ選手は別として、3試合出場しないくらいで試合勘云々といっていたら、控え選手をピッチに出せなくなります。…すみません。少し熱くなりすぎました。ネガティブな話はこのくらいにして、本題に入ります。
キリンチャレンジカップの日本VSガーナは、その3日前にワールドカップのアフリカ2次予選が終わったばかりで、エッシェンやボアテングなどの主力を欠いた若いチームとの対戦となりました。プレミアリーグからは、香川真司と吉田麻也が出場していたわけですが、またしてもこのふたりの明暗は分かれたように思います。
香川真司は問題なしでしょう。ガーナの先制ゴールにつながってしまった嫌なボールの獲られ方をはじめ、守備にまわったときにいくつか、まずいプレイはありましたが、全体的には合格点の出来だと思います。前半から頻繁にみせていた、ゴール中央での本田や遠藤との短いパスのやり取りは、まさに彼の真骨頂。清武をフリーにした23分のピンポイントクロスや、柿谷を走らせたスルーパスは、いずれも完璧なタイミングでした。前半は少なかったシュートも、0-1とされた後半は積極的に狙うようになり、左から中央に入って強引にニアに蹴り込んだ同点ゴールは、相手GKのポジショニングに問題はあったものの、胸のつかえが取れるようなファインゴール!私が観た限りでは、勘の悪さも疲れも感じなかったですね。いいときの香川でも、このくらいのミスはあるかな、というレベルです。
一方、吉田麻也ですが、コンフェデレーションズカップで崩れた自信を取り戻せていないようにみえます。前回のグアテマラ戦同様、レベル差が明確にある相手なので、ゼロに抑えて勝ちぐせをつけたいというのはわかるのですが、DFラインは安全運転を意識しすぎて却って劣勢を招いていました。吉田麻也も悪くはなかったものの、相手を呼び込み過ぎてサイドで深く入られたり、中央からプレッシャーゼロでミドルを打たれたりするシーンが気になりました。前線へのフィードの質も、焦りがあったのか今ひとつ。彼のよさである、ゲーム全体を見渡せる視野の広さが活かされていたとはいいがたく、的確なポジショニングや鋭い前線へのフィードが観られるまでには、もう少し時間と成功体験が必要なようです。
とはいえ、14日から再開するプレミアリーグでは、少し時間はかかるかもしれませんが、ふたりとも充分レギュラーポジションを奪取するチャンスはあると思います。モイーズ監督の真意は未だわからず、香川が出場機会がない理由は、評価の低さではなくコンディションに問題を感じていただけという可能性もあります。吉田についても、鳴り物入りで入団したデヤン・ロブレンには細かいミスがあり、昨季はベンチに追いやったフォンテとは互角に戦えるので、トップフォームに戻りさえすればポチェッティーノ監督から早い時期に声がかかるでしょう。プレミアリーグはまだ始まったばかりで、これからはチャンピオンズリーグやカップ戦で試合数が増えてきます。いま一度、日本代表レギュラー陣の逆襲に期待しましょう。
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確かに。
日本人は性急に結果を求めすぎることが多すぎかも…
名無しさん>
そうですね。香川は、ドルトムント時代にもレギュラー危うし、という時期がありましたから。真価を発揮するのはこれからです。腰を据えて応援したいと思います。