デクラン・ライスはどこが凄いのか?アーセナルの変化を体現するアシスト王の多彩なプレイに注目!
ボールを要求していたウインガーにパスが通るまで、中央で歩いていたデクラン・ライスが突如、右サイドにスプリント。バルコラはついていけず、外にまわり込んだMFにベストタイミングで縦パスが入りました。蹴る直前に、ファーで左手を挙げたカイ・ハヴェルツを見ていたのでしょう。高速のグラウンダーがゴール前を横切り、フリーだった29番が左足でタップしました。
今季プレミアリーグで5アシストは、昨シーズンのトータルと既に並んでいます。デクラン・ライスのアシストといわれて、多くのファンが思い浮かべるのはCKでしょう。2025-26シーズンのプレミアリーグで、セットピースからのxA(アシスト期待値)が4.0を超えているのは彼だけでした。しかし新シーズンの5つのラストパスは、すべてオープンプレーです。
アシストランキングでTOPに立ったデクラン・ライスは、今のハイペースをキープできれば、ブルーノ・フェルナンデスが昨シーズンに叩き出した21アシストというリーグレコードに並びます。グーナーの期待が高まる話ではあるものの、5つのゴールシーンの映像を見ると、熱狂的なファンでも「さすがに厳しい…」と諦めるのではないかと思われます。
チェルシー戦のカイ・ハヴェルツは、デクラン・ライスが右サイドに出したパスからの強引なカットインが決め手で、ノッティンガム・フォレスト戦のノニ・マドゥエケの決勝ゴールも、「左サイドにいたウインガーにつないだ」という表現が妥当でしょう。ブルーノ・ギマランイスの2発は、いずれも41番のお膳立てですが、サンダーランド戦はスーパーショットをほめるべきです。
鮮やかなアシストといえるのはリーズ戦とリヴァプール戦だけですが、ブルーノ・ギマランイスの逆転ゴールを生んだヒールパスは完璧でした。左にまわったサカがパスを出した瞬間、ウーデゴーアの前にスペースがあると気づき、ダイレクトで背後に流すイメージができていたのでしょう。今季のアーセナルを語るキーワードのひとつは「サードマンラン」です。
アルテタ監督は、誰かがラインの手前でパスを受けた瞬間、「3人め」が裏に走り込む動きを強化しています。チャンピオンズリーグのバイエルン戦で、ポストに入ったギョケレスがラインの裏に流し、ボックス右に入り込んだデクラン・ライスが決めたシーンも、そのひとつです。求められるのは視野の広さと先を読む力で、縦横無尽に走り回る41番はいいお手本となっています。
ゴールに絡むシーンが増えたデクラン・ライスは、90分あたりのラインブレイクパス21.1本もリーグTOP。チームメイトを使うパスと、使われるランの両方でチャンスメイクに貢献しています。右サイドでのプレイの比率が高まったのも今季の変化のひとつで、ウーデゴーアの可動域の広がりとルイス=スケリーの中盤起用が多彩なプレイを引き出しているともいえます。
ボックス・トゥ・ボックス、アンカー、中盤のコントローラー、チャンスメーカー、プレースキッカー…どんなワードも、デクラン・ライスの一部でしかありません。何でもできるゆえに、これといった看板がない稀代のオールラウンダーは、わかりやすく伝えたい記者のみなさんを悩ませる存在です。かくいう私も、これだけの文字数を費やしても彼の凄さを語り切れず…。
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