偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ20節、リヴァプールがアンフィールドで迎え撃つのは、ポール・クレメント監督が解任となった最下位スウォンジー。クロップ監督のチームにとっては、確実に勝ち点3をゲットしなければならない一戦です。先に失点することだけが怖いと思いながら観ていたのは、たった6分でした。ボックス手前、やや左の得意のエリアから放ったコウチーニョのミドルシュートは、ファビアンスキが1歩も動けずゴール右隅に突き刺さるスーパーショット。勢いに乗ったレッズが速いアタックを仕掛け、スワンズは自陣に引いてワンチャンスを狙う展開になりそうです。

レッズの最終ラインには、マティプが戻ってきています。GKミニョレの前に、アーノルド、マティプ、クラヴァン、ロバートソンの4枚。アンカーにエムレ・ジャンが入り、両脇にワイナルドゥムとチェンバレン。前線はプレミアリーグ15ゴールの好調サラーとフィルミーノ、コウチーニョです。8分、マクバーニーが右に流したボールをルートリッジがファーに上げると、ジョルダン・アイェウが叩きつけたヘディングはミニョレがキャッチ。11分にフィルミーノのパスを受けたサラーが縦にスルーパスを入れると、右に流れたコウチーニョの折り返しは中に合わず、走り込んだロバートソンのダイレクトショットは左に外れます。

相手ボールになったときの戻りが早く、慎重に守っているレッズに対して、プレミアリーグ最下位クラブは2～3枚しか上がらないアタックばかりです。23分、敵陣でのインターセプトから始まったショートカウンターは、エムレ・ジャンのシュートがファビアンスキの正面。奪ったボールを素早く前に展開するレッズが、2点めをいつ決めるかが最大の興味です。チェンバレンやフィルミーノの遠めからのシュートは枠にいかず、スワンズのアタックは最終ラインを脅かす前に刈り取られてしまいます。37分、左から仕掛けたマクバーニーが2人をかわして強引にシュートを放つと、ブロックのこぼれ球に反応したルートリッジは打ちきれず。41分にボックス左からファーに浮かしたフィルミーノのボールはサラーに合わず、転倒した11番に優しい笛は鳴りません。

エムレ・ジャンの足首は大丈夫でしょうか。46分、サラーのインターセプトからフリーのフィルミーノに通ったショートカウンターは、左隅を狙ったシュートがポストの外に切れてしまいました。1-0で折り返したレッズは、後半も安全重視で戦っています。50分、右から上がったフィルミーノがボックスのコーナーにいたサラーに渡すと、左足でカーブをかけた得意のシュートはファビアンスキがキャッチ。52分、またも10番が見せてくれました。左からのFKは、ファーサイドからラインの裏を取ったフィルミーノにぴったり。目の前で合わせられたボレーに、スワンズのGKは何もできませんでした。ガナーズ戦はここから3発やられましたが、今日のスウォンジーなら2-0はセーフティリードだと思われます。

56分、左からコウチーニョが蹴ったグラウンダーのFKは、サラーのボレーがわずかに左にアウト。ロバートソンのロングフィードでGkと1対1になったサラーは、ファビアンスキに距離を詰められシュートをぶつけてしまいます。60分、ルートリッジのクロスをフェルがボレー。スワンズの8番は、右に外れたボールを見て顔をしかめています。現役選手としてのキャリアを諦めていないレオン・ブリットン暫定監督は、マクバーニーを下げてタミー・アブラハムを投入。プレミアリーグ4ゴールの20歳FWが入って間もなく、レッズがゴールを連発して勝負を決めました。65分、ロバートソンのクロスをモーソンがクリアすると、アイェウに競り勝ったアーノルドが強烈なシュート。19歳のSBは、これがプレミアリーグ初ゴールです。さらに1分後、フェルのミスパスを拾ったサラーが右から突破して折り返すと、ノーマークのフィルミーノがイージーなインサイドキックを無人のゴールに流し込みました。

クロップ監督は、フィルミーノとサラーを休ませソランケとララナを起用。75分にはロバートソンをミルナーにチェンジし、あとは時間をうまく遣うだけです。締めの1発は、82分のチェンバレン。ララナが左から突破し、アーノルドのシュートがオルソンに当たると、こぼれ球に反応したチェンバレンが巧みなループシュートを左隅に決め、リヴァプールが5-0で圧勝しました。

今日はとにかくコウチーニョ。レッズサポーターに心残りがあるとすれば、ソランケのプレミアリーグ初ゴールを観られなかったことぐらいではないでしょうか。85分にミルナーのクロスをニアでボレー。87分にはコウチーニョがゴール右に浮かしたボールをダイレクトでクロスに打ちましたが、1本めはファビアンスキに阻まれ、2本めは左ポストぎりぎりに外れました。91分にワイナルドゥムの浮き球を受けたミルナーが切り返しから速いグラウンダーを中に入れると、ソランケのスライディングは届かず…。世が世ならハットトリック、しかし現実はノーゴール。30日のレスター戦でチャンスがあるかどうかはわかりませんが、身のこなしは悪くない20歳のゴールパフォーマンスを早く観たいものです。