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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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前で奪って縦に攻める!ペップやクロップの戦術が盛り込まれたイングランドは速攻に注目!

片やはユーロ2016でアイスランドに敗れるなど、近年の国際大会で不振。もう一方はワールドカップ出場を逃し、抜本的な立て直しが求められています。今は世界トップクラスの対決とはいえないものの、プレミアリーグとセリエAの激突となれば否応なくテンションが上がります。2018年3月27日、ウェンブリーで開催されたのはイングランドVSイタリアの古豪対決。オランダ戦と同様に3バックを選択したサウスゲート監督は、ジョン・ストーンズとカイル・ウォーカーに加えて、今季プレミアリーグでブレイクしたバーンリーのタルコフスキをCBに抜擢しました。GKはバトランド、両サイドにアシュリー・ヤングとトリッピアー。アンカーのエリック・ダイアーの脇にリンガードとチェンバレンが入り、ジェイミー・ヴァーディーとスターリングの2トップです。

開始早々にインモービレにラインの裏を取られた3バックは、ジョン・ストーンズが間に合ってシュートを打たせず。3分にはジョン・ストーンズがビルドアップでドリブルをインモービレにさらわれ、ボックス内からシュートを打たれますが、必死に戻ったマン・シティのCBがプレッシャーをかけてシュートを外させます。イングランドの最初のチャンスは10分。タルコフスキが中央のリンガードに入れたキャリックばりの縦パスが秀逸でした。右に流れたヴァーディーがスルーパスで抜け出したかと思われた瞬間、デ・シリオがスライディングで先着。16分にカンドレーヴァが右から上げたクロスは、カイル・ウォーカーのマークを外したインモービレにぴったりでしたが、余裕がなかったヘディングはバーを越えてしまいました。

22分には右サイドからチェンバレンがドリブルで突進。クロップ監督のチームに加わったインサイドMFは自信たっぷりにプレイしており、ひと皮剥けた感があります。23分、エリック・ダイアーのインターセプトからスターリングが単独で持ち込んだカウンターは、縦に入ったラストパスをヴァーディーがダイレクトで叩きますが、GKドンナルンマがビッグセーブ。今季プレミアリーグで14ゴールのレスターのエースは、ボックス右に流れて放つ右足のシュートが弱いのが気になったのですが、26分に同じ位置から先制ゴールをゲットしました。

センターサークルでリンガードがバローロを突いて奪ったショートカウンター。スターリングのドリブルはファールで止められますが、クイックにリスタートしたリンガードが右から走り込んだヴァーディーに完璧なパスを通し、ストライカーの強烈な右足シュートがドンナルンマを破ります。イタリアの反撃は31分。右から中央に斬り込んだインモービレが、エリック・ダイアーとタルコフスキをかわして左足を振り抜くと、ボールは惜しくも左にアウト。直後にバローロが放った左足ミドルは、クロスバーの上に消えていきます。

イングランドの2トップとチェンバレン、リンガードの絡みは、ショートカウンターやサイドからの崩しで威力を発揮します。36分に縦パスからスターリングがボックス脇を崩したシーンは、クロスが中に通っていれば1点もの。38分にスターリングが中央からドリブルで進んだ4人のカウンターは、ラストパスをダイレクトで蹴ったアシュリー・ヤングのコントロールショットがファーポストの外に流れていきます。インモービレに再三危険なシーンを創られていたものの、前半のイングランドの出来は悪くありませんでした。後半の最初の決定機は54分。左サイドで粘ったスターリングがボックスに入ってきたアシュリー・ヤングに落とすと、ジョルジーニョを抜き去ったWBの左足シュートはボヌッチがスライディングでカットしました。

57分にエリック・ダイアーが仕掛けた速攻は、縦のボールをもらったスターリングがチェンバレンに預け、左足のシュートはドンナルンマの正面。チェンバレンとトリッピアーは60分に下がり、ララナとダニー・ローズが投入されます。66分にリンガード、スターリング、ララナが短いパスをテンポよくつないだアタックは、ララナのボールをダイレクトで叩いたスターリングの一撃が枠の上。ヴァーディーはラシュフォード、リンガードはクックに代わり、残り時間は20分を切りました。

ジョン・ストーンズがヘンダーソンに後を譲ると、79分にイタリアに決定機。中盤からの浮き球を巧みに左足で合わせたインシーニェのボレーは、ファーポストの根元に落ちて外に抜けていきます。この試合2度めのクライマックスは、85分でした。タルコフスキーとフェデリコ・キエーザが交錯し、1度はCKとなったものの、VARにより試合は中断。バーンリーのCBの足がかかっていたというジャッジでイタリアのPKとなります。インシーニェが左に決めて1-1。タイムアップ後のタルコフスキーは、明らかに不満そうでした。

ホームでドローという結果に、目くじらを立てる必要はないでしょう。スターリングを軸とした2トップに、リンガードやチェンバレンといった縦志向の選手が絡む速攻は、マンチェスター・シティ、リヴァプール、トッテナムが得意とする現在のプレミアリーグのメインストリーム。近年のイングランドでは最もゴールへの期待値が高い布陣だと思います。この形なら、ハリー・ケイン、デル・アリ、ラシュフォード、ララナをフィットさせるのに苦労することはないはずです。スペイン、ドイツ、フランス、ブラジルが一段上であることは間違いありませんが、イングランドはうまく守れさえすれば、強豪を喰えるチームになりつつあるのではないでしょうか。本番まで2ヵ月半。今回の彼らは楽しみです。

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“前で奪って縦に攻める!ペップやクロップの戦術が盛り込まれたイングランドは速攻に注目!” への1件のコメント

  1. ペップの街 より:

    更新ご苦労様です。ペップの狂信者に言わせればリオでのドイツ優勝もペップのおかげとなるくらいですが、たしかにペップ、クロップの戦術がプレミアのサッカーを進化させ、ひいては沈滞していたイングランドのサッカーを魅惑的で、強いものに変えているのだとすれば、ロシアが楽しみです。それにしてもスペインーアルゼンチンも一方的でしたね。CLでも実際やってみるとバルサ、レアルとプレミア勢に実力差があるのかな、心配です。

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