偏愛的プレミアリーグ見聞録

ポール・ポグバがスタメンにいるのを見て、ほっとしました。プレミアリーグ32節のマンチェスター・ユナイテッドは、オールド・トラフォードでスウォンジーと戦います。デ・ヘアの前にバレンシア、リンデロフ、スモーリング、アシュリー・ヤング。マティッチの両脇にポグバとリンガード、前線にマタ、ルカク、アレクシス・サンチェスの4-3-3。キックオフから一方的に攻めていたホームチームは、5分にあっさり先制点を奪いました。

マティッチのパスを受けたリンガードのスルーパスがボックス左のアレクシス・サンチェスに通ると、ラストパスをもらったルカクのシュートがモーソンに当たってゴールイン。今季15発め決めたルカクは、記念すべきプレミアリーグ通算100ゴール達成です。11分の決定機は、マティッチの縦パスをダイレクトでルカクに流したリンガードが見事。エースがフリーで放った右足シュートは、ファビアンスキが右に飛ぶビッグセーブで遮りました。

ポグバやマティッチが前で奪ういい形が続き、アレクシス・サンチェスは今までになくやりやすそうです。16分の中央突破はうまくいかず、アレクシスが右のバレンシアに展開すると、グラウンダーに合わせたリンガードのボレーは左にアウト。キレキレのリンガードは、20分にマタからのパスを受けるとラインの裏を狙う7番に完璧なスルーパスを通します。フリーのアレクシス・サンチェスが思い切りよく右足を振り抜くと、ファビアンスキは触れず。移籍後のプレミアリーグ2発めがゴール左に突き刺さり、オールド・トラフォードは歓喜に包まれました。

31分、ルカクのポストプレーからリンガードが中央で3人をかわすと、シュートが右に大きく外れてもスタンドからは盛大な拍手。前からアグレッシブにボールを獲りにいく今日のマンチェスター・ユナイテッドは、安心して観ていられます。41分、右サイドに出たルカクのクロスをファーのアシュリー・ヤングが頭で折り返すと、アレクシス・サンチェスはボレーを空振り。3点めは奪えなかったものの、拍手の多さがチームの出来のよさを物語っています。最初の45分は2-0。カルヴァリャル監督は、ハーフタイムにネイサン・ダイアーとキ・ソンヨンを下げ、アブラハムとトム・キャロルで巻き返しを図ります。

52分、クルーカスが足を負傷し、アウェイチームの指揮官は最後のカードとなるルートリッジを投入。55分に右から上げたマタの素晴らしいクロスがルカクの頭に合うも、折り返しを頭に当てた7番のフィニッシュはクロスバーを越えていきます。57分、ポグバの絶妙な浮き球がゴール前に入り、後ろ向きで下がりながら反転したマタのボレーもGKの頭上にアウト。58分からはデ・ヘアがビッグセーブを連発し、サポーターを盛り上げます。トム・キャロルが縦に浮かしたボールを受けたアブラハムが振り向きながらリンデロフをかわすと、強烈な一撃は守護神が右にジャンプ。左からのクロスを倒れ込みながら枠に収めたアブラハムは、プレミアリーグ屈指のGKが左に弾いたのを見てピッチを叩いて悔しがっています。残り時間は20分。セーフティリードのマンチェスター・ユナイテッドは、カウンター狙いに徹しています。

74分、モウリーニョ監督はアレクシスとリンガードを下げ、エレーラとラシュフォードの2枚代え。79分、ポグバが左足で浮かしたボールがボックス右のルカクに通り、モーソンをかわしてフリーになったストライカーが左足で狙うと、素晴らしい反応を見せたファビアンスキが至近距離でキャッチします。マタに代わってマクトミネイが入ったマンチェスター・ユナイテッドは、ラスト10分を無難に過ごし、2-0で完勝しました。

あれだけいいスタートを切っても、後半はスローダウンして2-0のまま逃げ切ってしまうあたりはいかにもモウリーニョ監督のチームですが、前の選手にいつも以上に積極性が感じられ、満足度が高い一戦でした。MVPを選ぶならリンガード、最大の収穫はようやく見せてくれたアレクシス・サンチェスらしい1発。ポグバは不要なボールロストはあったものの、美しいラストパスを何度も披露してくれており、FAカップ制覇とプレミアリーグ2位フィニッシュに欠かせない存在です。来週のマンチェスターダービーでは、とにかく目の前での優勝決定を阻止していただければと思います。できれば今日の前半のように、多くの時間を敵陣で過ごしてほしいのですが…。