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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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最高のチャンスを活かしてほしい。若きストライカー、マーカス・ラシュフォードに贈る言葉。

ワールドカップロシア大会のグループリーグ初戦となるチュニジア戦まで、あと11日。イングランド代表のサウスゲート監督は、リーズの本拠地エランドロードで戦うコスタリカとの最後のテストマッチを、若手やサブの選手のコンディションを上げる場として使いました。両サイドにはアレクサンダー・アーノルドとダニー・ローズ、インサイドMFはロフタス=チークとファビアン・デルフ。最前線に並んでいるのは、ラシュフォードとヴァーディーです。こういう試合は、戦術よりもひとりひとりのプレイに着目しようと思いながら観ていたのですが、開始13分のスーパーゴールに思考停止となりました。決めたのは、20歳のマーカス・ラシュフォード。今季プレミアリーグで35試合7ゴールですが、後半戦の先発は5試合しかなく、思うように結果を残せなかったストライカーです。

ヘンダーソンから右のロフタス=チークに渡ったボールが、もらいにいったラシュフォードに通ると、19番は迷うことなく右足一閃。右45度からの強烈なシュートは、名手ケイロル・ナバスの頭上を越えて左隅に突き刺さりました。2016年2月にファン・ハール監督に見出されて、プレミアリーグ27節のアーセナル戦で2ゴールという衝撃のデビューを飾った逸材は、11試合5ゴールという数字で最初のシーズンを終えています。そのまま、最前線の選手としてチャンスを与えられていれば、ウェイン・ルーニーやハリー・ケインのようにブレイクしてイングランドの顔となっていたのではないか…。左サイドで中央にパスを出すと見せかけながらつま先にひっかけて左足のほうに戻し、縦に突破した素晴らしいフェイントを見せられると、ズラタンとルカクによってサイドに押し出されたアタッカーが中央に定着していればと、ついつい妄想してしまうのです。

後半の2点めは、デル・アリがウェルベックの頭に合わせたラストパスがスーパーでしたが、その直前のラシュフォードのプレイが見事でした。ドリブルで縦に上がったデル・アリが左脇にいた19番に預けると、ここしかないというタイミングで速いスルーパスが通り、ボックスに入ったデル・アリがフリー。スパーズのアタッカーには、中央の走り込みを見てクロスを浮かす余裕があり、ウェルベックはボールに飛び込むだけでした。2-0、これぞラシュフォードのゲーム。「最もうれしかったのは、マーカス・ラシュフォードが彼らしくフットボールを楽しんでいたこと。自信をもってプレイしていたね」と興奮気味に語っていたサウスゲート監督は、ハリー・ケインの相棒について悩み始めているかもしれません。

ウェイン・ルーニーが、センターフォワードとしてまっすぐ成長できた理由のひとつは、当時のマンチェスター・ユナイテッドが2トップだったからだと思います。現在のプレミアリーグは4-3-3や3-4-2-1が主流ですが、ゴールゲッターをひとりしか置かないチームでは、ファン・ニステルローイという傑出したタレントが前線に張り、8番をつけていた小柄なイングランド人はサイドに追いやられていたでしょう。2トップの一角として順調に育ち、ワールドクラスという評価を得たルーニーは、プレミアリーグで11シーズン連続2ケタゴールを達成しながらも、素晴らしいシーズンと今ひとつの年を交互に繰り返す選手でした。クリスティアーノ・ロナウドとテベスが大暴れした2007-08シーズンも、ベルバトフが20ゴールをゲットした2010-11シーズンも、ルーニーのゴール数はチーム3位です。今の布陣なら、負傷もあって前半戦を2ゴールで終えた2010-11シーズンなどは、ベルバトフを脅かせないまま、右サイドで春を迎えていたかもしれません。

ガブリエウ・ジェズスは、あれだけの決定力がありながら先発19試合。ジルーは2つのクラブでベンチを温める長い時間を過ごし、ハリー・ケインの背中を眺めていたジョレンテは全く機能せず、ラカゼットはしばしばサイドでプレイしています。最前線はひとりで、トップ下という「妥協策」がない布陣が多いにも関わらず、クラブは2人のワールドクラスを持ちたがります。ラシュフォードがCFのポジションを与えられなかったことを、ジョゼのせいという気はありません。私たちは、ズラタン獲得に拍手し、ルカクのロケットスタートに胸を躍らせたのですから。昨今のストライカーは、難しい時代を生きているのです。ましてや若いFWが、ビッグクラブに所属しながらワールドクラスにステップアップするのは至難の業です。

だからこそ、ラシュフォードには、2トップのチームに加わるという千載一遇のチャンスを活かしてほしいのです。ハリー・ケインというアンタッチャブルなタレントがいても、その脇でゴールに向かえるチャンスを。快足スターリングや、勝負強いジェイミー・ヴァーディーといったライバルに対して、ゴールという結果で打ち勝ち、フットボールの母国に歓喜をもたらしてくれればと期待しています。ジョゼ・モウリーニョが観てくれているであろう、ロシアの大舞台で。

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“最高のチャンスを活かしてほしい。若きストライカー、マーカス・ラシュフォードに贈る言葉。” への3件のフィードバック

  1. ジンジャー より:

    個人的にユナイテッドは2トップを試してみてもいいと思ってます
    ラッシュフォードだけでなくマルシャルやサンチェスなど
    センターでも活躍出来そうな選手もいますし

  2. フラッペ より:

    彼の課題はスペースがないときにワントップで何の役割を果たすかだと思います。
    この前の決勝などでもワントップに入ったときにボールを受けにおりてきてたのですが、彼はイブラではなくて中盤におりても良さが出せるタイプではないので、スペースの無いときの打開策を見つけて欲しいですね。
    ツートップならば引き立て役と組ませたいのですが、ルカクはそのようなタイプではないので、今のマンU難しいですね……

  3. 不知火 より:

    ラッシュフォードはイマジネーションがあるとは言いがたいのでウィング向きかなと思います。
    とはいえまだまだ若いですし、他のクラブへのローンの噂も出てるようなので、ここはフルシーズン試合に出られるようなクラブへローンするのもいいと思います。
    ラッシュフォードは未来のマンチェスターUの顔だと思っているので移籍だけは絶対にしないでほしいです。

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