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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ギャンブルに勝った西野朗!コロンビアのゴールに救われた日本がラウンド16進出決定!

ベスト8、ベスト4を狙う国が、小国を相手に戦うようなスタメンです。セネガル戦から、6人を代えた西野監督。SBは代えず、槙野、吉田麻也、酒井高徳の5バックは初めてのフォーメーション。プレミアリーグでさまざまな布陣を体験した吉田も、自信があるとはいえないでしょう。柴崎、山口、宇佐美が中盤で、岡崎慎司と武藤の2トップでしょうか。5-3-2あるいは5-4-1の新しいわが代表について、試合前から評価することはできません。グリクが戻ったFIFAランキング8位のチームは、キックオフから間もなく、鮮明にスタンスを露わにしました。守って速攻。慣れない形で戦う日本は、自分たちのペースを早くつかみたいところです。4分のポーランドのカウンターは、柴崎がよく戻って止まりましたが、今日の布陣の課題を突きつけられたような気がしました。

12分、敵陣でのパスミスを拾った武藤からの日本のショートカウンター。左サイドを突破した長友のクロスをニアで岡崎が合わせますが、ヘディングシュートはポストの外に逸れていきます。直後、縦パスをもらった武藤が中に斬り込み、右足を振り抜くも、ニアをケアしたファビアンスキが右に弾き出します。プレミアリーグNo.2のセーブ数を誇るポーランドの守護神は、落ち着いてボールをさばいています。16分に左の宇佐美が攻め上がった酒井高徳に流すと、中央からの左足のボレーはGKが懐に収めました。一進一退の攻防。日本の最前線は、コースを切ってロングフィードを出させようとしています。

32分、ポーランドの速攻に日本の中盤は付いていけず、右からの浮き球をグロシツキにヘッドで叩かれてしまいます。左隅に決まったかと思われたボールを、ライン上で川島がビッグセーブ!欧州の強豪のアタックは阻まれ、スコアはまだ動きません。2分後、縦パスを受けて右に流れた宇佐美が、角度のないところから強いボールを蹴るも、ファビアンスキが冷静にセーブ。37分のポーランドのカウンターは、中に入ったボールを槙野がカットしました。両者決め手がないまま、前半は0-0。カウンターへの対応が危うい日本は、西野戦術を妥当とはいえないでしょう。セネガルVSコロンビアも0-0でハーフタイム。サマーラアリーナの裏番組がドローなら、日本はポーランドにゴールを許すわけにはいきません。

後半開始直後、岡崎慎司が足を押さえてうずくまり、大迫がピッチへ。劣勢なら想定できた1枚は、さほど気になる交代ではありません。しばらくはポーランドペースでしたが、徐々に日本が押し返しています。53分の白いチームのカウンターは、右からのラストパスに飛び出した川島がいい判断でした。57分、CKからのクリアが浮いたところを、槙野がオーバーヘッドで狙いますが、うまくコントロールできません。57分に怖れていたことが起こりました。左からのFKをボレーで合わせたのは、プレミアリーグで吉田麻也と一緒にプレイしているベドナレク。川島は反応できず、敗退チ―ムにリードを許します。セネガルとコロンビアはスコアレスのまま。このまま終われば、日本は3位で大会を去ることになります。

65分、宇佐美が下がり乾。ラスト1枚が、ワールドカップ4ゴールの4番でしょうか。71分、柴崎のCKでニアに飛び込んだ吉田麻也は、ヘディングを右に外してしまいます。5枚の最終ラインを、いつ減らすのか。74分の決定的なカウンターは、グロシツキのグラウンダーをレヴァンドフスキが打ち上げてくれました。胆力が問われる残り15分。コロンビアが先制し、イエローカードの差で日本は2位に浮上しました。吉報ではありますが、西野監督の戦術選択は難しくなっています。

79分、ジエリンスキが下がりテオドルチュク。ポーランドにとっては1-0も2-0も同じですが、日本にとっては天国と地獄です。80分の槙野のクリアミスは、川島が手を伸ばしてCKにしました。全く攻められない日本。ベンチはギャンブルに出たようです。後ろでパスをまわす青いチームは、セネガルが追いついたといわれた瞬間、後悔するでしょう。追加タイムは3分。ポーランドに関係がない世界で、2つの会場の結果が問われています。あと40秒、30秒、20秒。ヴォルゴグラードは、0-1のまま終わりました。1分多かったサマーラの追加タイムは、コロンビアがサイドで粘って1-0。グループHの1位は2勝1敗のコロンビア、イエローカードの枚数の差で日本が2位となり、1歩及ばなかったセネガルと反攻が遅かったポーランドはここで敗退となりました。

コロンビアのDFミナがCKをヘッドで決めた瞬間、5枚のDFがいた日本の布陣が心強く見えたのは確かです。しかし、多分にギャンブルだった最後の戦い方を、称賛も批判もできません。はっきりいえるのは、西野朗という勝負師が丁半博打に勝ったということと、選手たちがコンセプチュアルな戦術を全うしたということです。勝ち抜けてよかった…。これもまた、ワールドカップ。今はただ、プレミアリーグの選手が活躍するイングランドかベルギーとの心躍る試合を観られることを、喜びたいと思います。ありがとう。おつかれさまでした。ポーランドは出場した3大会連続で、連敗した後の思い出作りに成功し、日本は8年周期の決勝トーナメント進出を果たしました。4者4様の最終節、セネガル以外は文句なしでしょう。

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“ギャンブルに勝った西野朗!コロンビアのゴールに救われた日本がラウンド16進出決定!” への11件のフィードバック

  1. ペップの街 より:

    更新有難うございます。色々叩かれてますし、賞賛すべきとも思いませんが、西野監督の決断は賭けと言うよりは他に選択肢がなかったように思います。ベルギー、ルカク、デ・ブライネ、アザール、フェライニ!キラ星の如くのスター軍団と策士西野の率いるジャパン、楽しみです。

  2. 一介のグーナー より:

    プレミアリーグでは最終節でもガチンコで殴りあう印象があるんですが、そういうメンタリティとかタブーは西野監督にはなかったんですかね?
    BBCで酷評されてましたし、同じ監督業の人からも批判されてしました。やっぱり他人の試合に委ねるのは許されないと考えられているのでしょうか?

    私もペップの街さんの意見に賛成です。冷静にリスクを比較考慮したというよりも、とにかく日本が同点になるビジョンが見えなかったということで、セネガルが負けてくれることに祈るしか選択肢がなかったということだと思います。

  3. だしまる より:

    西野監督の決断には賛否両論ありますが、ギャンブルに勝ち、何よりです。本田も言っていますが、自分が監督だったらあの決断をできたかどうかわからない・・・素晴らしい采配だと。一番危険なのは、選手間で、攻めたい派とこのまま派で意志が分かれること。アトランタ五輪(西野監督)や選手の自己判断に任せたドイツW杯(ジーコ監督)を経て、危険を感じたのでしょう。

    とはいえ、あの状況で、失敗したら地の底まで叩かれると分かっていて、決断した覚悟は立派。ワールドカップやユーロのグループステージでは良くあること。今回もフランス対デンマーク戦も似たようなシチュエーションで退屈な試合と叩かれています。目的は目の前の試合に勝つこと・良い試合をすることよりもグループステージ突破だと思います。いよいよ次のベルギー戦楽しみです。

  4. ガナ より:

    普段から楽しく拝見させて頂いております。
    コメントすることはなかったのですが、日本戦ということで。

    賛否あって然るべきですし気持ちの良いものではありませんが、この舞台では結果が必要でプロフェッショナルだったと思います。
    西野さんの判断は良かったと思います。「試合中に関しては」という但し書き付きで。
    ビルドアップやプレスバックに難がある相手に結果を出せるスタメンやアプローチがあったと思うので、あのターンオーバーやシステムに関しては内容として良くなかったと思わざるを得ません。2戦で死力を尽くした主力の体調については分からないのであくまで外からの意見にはなりますが・・・

    しかし決勝トーナメントの舞台で「プレミアオールスター」のベルギーとやれることが日本にとってかけがえのない経験になると信じています。

  5. リン より:

    いつも楽しく読ませてもらってます。
    試合を観戦し終えて結果が全てだとつくづく感じました。

    韓国はファールや警告数がぶっちぎりで多かったですがドイツに勝ちました。
    でも予選敗退です。
    日本は終盤勝ちに行かず(カードを増やさないように終盤パス回し)負けました。
    でも予選突破しました。

    仮に予選敗退していても、様々なメディアから叩かれ批判されボロクソに言われるのが目に浮かびます。
    それならまだ突破して批判される方がまだ良いと思います。

    むしろルールをきちんと把握しておいて、上手く利用しその一点に賭けた西野監督の判断を称賛したいと思います。
    ガンバれ日本!
    最後まで応援するぞー!!

  6. イレブン より:

    最後までグループリーグ突破はできないかもと薄氷を踏む思いでした。
    大幅なメンバーチェンジはこのゲームに関しては失敗だったと思いますが、結果的に主力を休ませることができたので、次戦が非常に楽しみになりました。
    コロンビアがリードしてから攻めなかったのはギャンブルでした。西野監督は攻めきれないと踏んだ上での勝負でしょう。今回はサッカーの女神が微笑んでくれましたね笑

  7. NA23 より:

    同点に追いつかれた時点で香川乾を投入していれば普通に勝てたと思っているので、1、2戦目のようなサッカーを見せられず最終的にコロンビア頼みの時間稼ぎという結末になってしまったのは非常に残念です。
    しかし、見栄えは悪かろうがこれも戦術。各国メディアからの批判はありますが、大なり小なり醜い時間稼ぎなんてどこの国、クラブもやっている常套手段。結果を見ればターンオーバーと控えの活用、そしてグループステージ突破と賭けにボロ勝ちした勝負師のサッカーに期待したいと思います。ベルギーは難敵ですが、コロンビアセネガル相手に見せてくれた素晴らしいサッカーで勝ちをもぎ取って欲しいです。

  8. プレミアリーグ大好き! より:

    私は終了前数分間の是非よりも、この状況を招いてしまったスタメンと戦術に対して疑問が残ります。
    そして、この試合自体を選手が納得しているのかが心配です。
    休養ができたのは間違いないですが、コロンビア戦、セネガル戦のパフォーマンスを果たしてベルギー戦でみせれるのか。
    サッカーの大部分はメンタルが占めることを自ら証明したチームが、ノックアウトステージでどのようなサッカーをみせてくれるのか。
    そして、このポーランド戦が落とす少なくない闇が今後の日本サッカー界に影響しないことを祈ります。
    ポジティブな意見のなかすみません。
    しかし、この試合は今後の日本サッカーに影響しかねないと思い、コメントしました。
    私はセネガル戦で夢をみて、ポーランド戦で現実をつきつけられ、将来が不安になった一人です。
    ベルギー戦では、子供達が夢見る日本代表の姿を取り戻してくれればと思います。

  9. プレミアリーグ大好き! より:

    一試合ごとの内容で見たらこの試合はなんとも言えませんが、ワールドカップとして見たら最高の采配です。
    痺れました。

  10. goo より:

    よくもまああんな恥ずかしい試合が出来ましたね笑
    組み合わせを見ても確実に1位通過を狙うべきでしたし、疲労疲労って、、プロでしょうが笑
    コロンビアセネガル戦で得た評価だけでなく、日本人全体の評価を地に叩き落としてくれましたし、
    これでベルギーに破れたらどうするつもりなのか、、、
    今後日本は何されても文句は言えませんし、本当に残念無念です。

  11. プレミアリーグ大好き! より:

    日本代表はリスクと可能性を考えて合理的に判断しただけのこと。ルールにしたがったやり方で闘い、ルールにしたがったやり方で勝ち上がった。もし、批判したいならルールを批判するべきで、代表ではない。国を背負って命懸けで闘ってる人達に対して余りにもリスペクトがなさすぎる。
    あの試合を批判してるやつは感情論でしか物事を考えられない、人生においてなにも結果を残せない人間。もっと、はっきり言ってしまえば知能が低い

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