イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【WBA×Arsenal】ラスト10分で1-1…モウリーニョのカードは「勝て!」、ヴェンゲルは…!?

マンチェスター・ユナイテッドをアウェイで下したのはフロックではありませんでした。WBAがアーセナルを苦しめ、1-1のドローで4戦無敗です。プレミアリーグ開幕から3試合は1点も獲れず下位に低迷しましたが、ここに来ての復調で12位まで順位を上げています。

一方、アーセナルからすれば、引き分けはやむなしだったのではないでしょうか。後半開始直後、アネルカの2度にわたるチャンスのいずれかが決まって2-0とされていれば、勝ち点1獲得も難しかったでしょう。この日のWBAのクオリティを考慮すれば、ゲーム終盤、強引に勝利を獲りにいくより負けないことを選んだヴェンゲル采配に異論はありません。

前半からゲームの主導権を握ったのはWBAのほうでした。プレミアリーグ上位クラブですら、どこもやらない前線からの厳しいプレスで、アーセナルに自分たちのサッカーをさせません。センターMFのアルテタ、ラムジーはもちろん、コシールニーやメルテザッカーのパスコースまで切りに来られ、アーセナルはエジルやラムジーにいい形でボールを持たせることができません。DFを背負ってもジルーはきちんとポストの役割を果たしていましたが、彼が落としたボールへの寄せも速く、攻めの形づくりに苦労します。最も餌食になったのが、ドリブルを多用し、球離れが悪かったジャック・ウィルシャー。前半半ばはから彼がピッチで倒れるシーンが増えると「わざと倒れているんじゃないか」「遅延行為じゃないか」とばかりに、WBAサポーターから容赦ないブーイングが浴びせられます。何度つぶされてもドリブルをやめない10番は、その都度あっという間に2~3人に囲まれ、アーセナルの攻撃のリズムを遮断してしまっていました。

それでも前半を0-0のままで終えられればよかったのですが、ガナーズは42分に痛い失点を喫してしまいます。CKのクリアを拾われ、右サイドにいたアマルフィタノから再度ニアにクロスを放り込まれると、フリーのヤコブが文句なしのヘディングシュート。セットプレイからの波状攻撃に、DFもGKシュチェスニーもニアサイドのケアができておらず、2人もフリーにしてしまえば失点は必然。前半は1-0。アーセナルが追い込まれる姿を観るのは久しぶりです。

私はこのゲームを、グーナーの相方とTV観戦していたのですが、ハーフタイムに「後半はアーセナルが絶対に点を獲って逆転する。問題はWBAに2点めを獲られるかどうかだ」と言っておりました。あれだけの強いプレスと運動量を90分間継続するのは無理。いずれどこかで守備に綻びが出れば、エジルやアルテタが黙っていないだろう、と。

この予想は「半分当たり」でしたね。後半開始直後のアネルカの独走という絶体絶命のピンチをシュートミスで救われると、WBAのプレスが緩み始めた隙をついてアーセナルらしいパスサッカーがいよいよスタート。59分、遠めからシュートを積極的に放つなど唯一危険な存在だったラムジーをロシツキに代え、反撃体制が整うと、4分後にはその効果が結果となって現れます。起点はやはりこの人、メスト・エジル。サイドに流れたジルーに通した美しいパスが、手薄になっていたWBAのDF陣の数的優位を奪います。ジルーはこのボールをキープし、ロシツキにパス。ロシツキがタイミングをみて入れた落としに、走り込んだのはジャック・ウィルシャー。前半からの執拗なブーイングを黙らせる一発がゴール右に決まり、ついに同点!こうなると、もはやアウェイのアーセナルペースといっていいでしょう。プレミアリーグ6連勝に向けて視界良好。同点にされて落胆するWBAの根負けは間近のはずです。

しかし、ここでWBAは踏みとどまりました。この後、ガナーズに訪れたビッグチャンスは、76分にウィルシャーからのロングスルーパスで抜け出したジルーがGKと1対1になったシーンのみ。逆転ゴールかと思われたこの状況からチームを救ったのはGKマイヒル。1発で勝負にいかず、ジルーのドリブルについていってコースを切った彼の忍耐が最悪の結果を回避しました。

2時間半前、同じ1-1で終盤戦を迎えたモウリーニョ監督は、エトー、アザール、ウィリアンを次々と投入し、3バックにフォーメーションを変えるというリスクをとって前のめりに勝利をもぎ取りましたが、同じ局面で、ヴェンゲル監督が投じたカードは「ステイ」でした。できれば勝利はほしいが、それよりも負けないことが優先。勝負をかけるなら、ギブスかウィルシャーを下げ、ニャブリや宮市を右サイドに張らせるなり、ベントナーとジルーの2トップにするなり、やりようはあったと思いますが、チェルシーと違って潤沢なオプションを持たない指揮官が選択したのは「ジルーout、ベントナーin」。セセニョン、アマルフィタノと攻撃で効いていたタレントを次々と下げたWBAも、そのシナリオに異論はなく、最後は静かに勝ち点1を分け合うという着地となりました。

いや、強いですね、WBA。先週のジャイアントキリングは、マンチェスター・ユナイテッドがただダメだったわけじゃなかったのかと、妙にほっとしてしまいました。同じ時間に行われていたトッテナムとウエストハムの一戦は、このゲームなど目じゃない驚愕の結果に終わりましたが、相手が下位だからといって気が抜けないのがプレミアリーグ。グーナーのみなさんのなかには、この結果にがっかりしたり文句があったりする方もいらっしゃるかもしれませんが、ドローで助かったと思いますよ。ホントに。(ジャック・ウィルシャー:写真著作者/Jonathan Ross オリヴィエ・ジルー:写真著作者/Ed g2s)

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“【WBA×Arsenal】ラスト10分で1-1…モウリーニョのカードは「勝て!」、ヴェンゲルは…!?” への1件のコメント

  1. www.sifehku.net より:

    Dag nabbit good stuff you whippersnappers!

コメントを残す