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インテル決定か…アレクシス・サンチェス、何も残せなかった20ヵ月。

「トランスファーウィンドウは2週間残っており、チャンスはある。いくつかのクラブがアレクシスに興味を示しているので、どうなるか見てみよう。これ以上はアップデートできないよ」。ポール・ポグバの去就を問われると「彼は残る」と断言するオーレ・グンナー・スールシャール監督は、プレミアリーグ最高額サラリーの7番について聞かれると、移籍をほのめかす表現が目立ちます。

「スカイスポーツ」と「フットボールイタリア」が揃ってレポートしているのは、買い取り付きオプションでインテルに移籍するという話です。イギリスメディアは1550万ポンド(約20億円)、イタリアは1090万~1370万ポンド(約14億1000万~17億7000万円)と先々の移籍金にズレはあるものの、今シーズンはレンタル料ゼロ円、サラリーの大半はマンチェスター・ユナイテッドが払うというところまでは一致しています。

「フットボールイタリア」によると、アレクシス・サンチェスは21日にメディカルチェックを済ませて契約発表に漕ぎ着けるとのこと。気になるサラリーは、プレミアリーグが7割、インテルが3割を引き受け、完全移籍となった後は現在の1/3以下となる650万ユーロ(約7億9000万円)程度に減額されるといわれています。アーセナルでプレミアリーグ122試合60ゴールという数字を残したアタッカーは、マンチェスター・ユナイテッドで32試合3ゴールと完全に空回りしており、31歳で加わるクラブに強気の条件交渉ができないのはやむなしでしょう。

それにしても、アレクシス・サンチェスはなぜ輝きを失ってしまったのでしょうか。ジョゼ・モウリーニョの下で沈黙したときは、クラブと監督から請われた移籍ではなかったことが最大の理由だったと思われます。よき理解者であり、自由を与えてくれたアーセン・ヴェンゲルと違って、戦術的なオーダーが厳しく限界まで働かない選手を容赦なく煽る指揮官は、アレクシスを迷いから救い出そうとはしなかったでしょう。

クラブハウスでひとりで食事していたと伝えられたチリ代表FWは、「彼とはいつも一緒にコーヒーを飲んで話している」と語ったズラタン・イブラヒモヴィッチ以外とはうまくコミュニケーションを取れなかったようです。環境の激変が孤立と自信喪失を招いたのは間違いなさそうですが、7番にとってスールシャール監督の就任は自らを変えるチャンスだったはずです。周囲とコンネーションを築ける状況ではなくなってしまっていたのか、あるいは心の傷が深かったのか。1月末のバーンリー戦から6試合連続で出場機会を得たアレクシスは、停滞気味だったマルシアルやリンガードからポジションを奪うチャンスを活かすことができず、「ボールロストが多いリスキーなサイドアタッカー」で終わってしまいました。

率直にいいましょう。「アーセナルに残っていれば…」と思います。現在もらっているほどのサラリーは得られなかったのは間違いありませんが、パトリック・ヴィエラやデニス・ベルカンプのように、レジェンドとして長く語り継がれる存在になれたでしょう。マンチェスター・ユナイテッドのサポーターとしては、フェルナンド・トーレスやマリオ・バロテッリより長く深い不振に陥った彼の背中に贈る言葉はありません。

移籍決定の報を聞いた瞬間、去来する感情は「安堵」のような気がします。事情はどうあれ、苦しんでいる選手を見続けているのはつらいものです。「フットボリスタ」のアーセナル特別号で、彼が決めたすべてのゴールシーンをレポートさせていただいたのが、ずいぶん昔のように感じられます。あの頃、アーセナルに素晴らしいエースがいた。そこから先の記憶は、おぼろげです。

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“インテル決定か…アレクシス・サンチェス、何も残せなかった20ヵ月。” への5件のフィードバック

  1. ガナーズぺろ より:

    サンチェスがワールドカップが終わってガナーズに入ったときは驚きました。
    エジルとは悪くないコンビでしたし、なかなか決めてくれていました。

    バルセロナにいたあの選手が前線に来たという衝撃はありましたね。
    ただ、どんどんとベンゲル監督が立場が危うくなるに連れ彼の悪いうわさが出てきてはいましたね。もし今もいるのなら、ぺぺが入らなかったでっしょうし、去年から前線はいい3トップだったのかもしれません。ただ、こちらも監督が変わり、昔とは違っているのも事実。こうして考えると選手が高給取りなのはタイミングや監督のさじ加減もあるので止む終えないな。と思っています。精神的な負担が大きいのもわかりますね。

  2. エミリー より:

    アーセナルファンからすると、出ていった時こそ憎たらしく思いましたが、本当に素晴らしい選手で、愛すべき頼れる男でした。
    アンリ、ファン・ペルシー以降、数字としてエースと呼べるくらいに点を取ってくれるFWは久しぶりだったし、何よりもすべての試合でフルにファイトしてくれるのが好きでした。
    足首イカれてしまうような切り返しでドリブル、そこしかない!って所にシュートを突き刺して勝ち点を獲得してくれました。
    大好きな選手でしたので、管理人さんのおっしゃる通り、腐らずにいられる所が得られるなら、まさに安堵しますね。

    皮肉なものですね、トレードされたムヒタリアンは絶対的なレギュラーとは言えなくとも、チームに重宝されるアタッカーで活躍し、それに押し出される形でチェルシーに行ったジルーは、そこで信頼される戦力となり、鳴り物入りだったサンチェスがまさかのベンチ入りすら危うい存在になってしまうとは。
    本当に、サッカーの世界は厳しいですね。
    残っていれば、レジェンド。
    本当にそうだったかもしれません。
    そして、エジルの不調も、サンチェスがいれば無かった気がするんですよね。
    インテルですか、活躍出来るかなぁ。
    頑張れ、サンチェス!!

  3. ぐなです より:

    グーナーもまた、彼に対しては複雑な気持ちをずっと抱えているように思います。
    「苦しい時にいつも助けてくれた彼」と「大変な時期に出ていきやがった裏切り者」という感情が相殺し合って、もうサンチェスは過去の人としてしか見れません。
    ユナイテッドで活躍する彼も見たくないし、今のように輝きを失った人物として見るのもツライです。
    良い時も悪い時もメディアに取り上げられるエジルと違い、もはやメディアにすら取り扱ってもらえないサンチェス。

    オーバメヤンとラカゼットに不満は全くありません。
    それでも時々、ルーキーのイウォビを怒鳴り散らすサンチェスや、サンチェスが決めたゴールを自分のことのように喜ぶジルーのことを思い出します。

    アーセナルに残っていたらどうなっていたか。
    もしそういう「たられば」を言っていいのだとしたら、「カソルラが怪我をせず絶好調であと1〜2年活躍出来ていたとしたら、サンチェスとエジル、ジルー、コシェルニーはトロフィーを獲得出来たのか」を見てみたいです。

    一度だけでもプレミアを制覇出来ていたとしたら、サンチェスに抱いている感情は今とまた違ってくるのだと思います。

    全部、たられば、ですが。

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    いつも楽しく読ませてもらってて文句言うのもなんですが、写真変えられません?ヘボかろうがショボかろうが、今は Man Utd. の選手ですよね?1年半以上所属してる。

    ManUのユニフォーム姿が痛いのであればせめてチリ代表での写真を使いましょうよ。

  5. 一介のグーナー より:

    確かにグーナーとしてサンチェスには感謝しかないのですが、
    移籍当初の枯葉ともかく、終盤の彼は典型的な「守備しない」選手になってしまいました。
    エジルよりも走行距離短いですし、エジルとは真逆でイメージでハードワークしているとみなされた選手だと思います。
    サンチェスのサイドは穴であったし、ベンゲル時代はそれでいいのかもしれませんが、どんな一流ストライカーにでも守備を貸すシティ・リバポ・スパーズが強い現代サッカーにおいてサンチェスのような旧式の攻守分業の考え方のアタッカーでは厳しいと思います。
    アーセナルに残っていても多分エメリの時に切られたのではと思います。
    むしろエジルのように給与体系を歪ませるような高給で契約延長したら、その悪影響は何代後にも及びます。正直今はあのタイミングで移籍してくれてありがとうとしか思えません(トレードのムヒタリアンの分もキャッシュだったらなお良かったですが)。

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