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「VARはPKやレッドカードを増やしていない」…「BBC」が2つの新ルール導入の影響を検証!

ガブリエウ・ジェズスは「影響があった」と主張するかもしれませんが…。「BBC」が、プレミアリーグ4節までの数字を総括し、今季からのルール変更による影響をチェックしています。ポイントは2つで、「VARによって、PKとレッドカードは増えたのか」「ゴールキックをボックス内の選手に出せるようになったが、この新ルールを活用しているGKは誰か」。2018年に開催されたワールドカップロシア大会では、初めて導入されたVARが猛威を奮い、PK29本という大会新記録が話題になりましたが、今季プレミアリーグのPKは9本。レッドカードは5枚で、直近10シーズンの平均的なレベルに留まっています。

ビデオレフェリーがSF小説の題材だった2012-13シーズンには、開幕節の週末だけで7本のPKが認められていた」。2011-12シーズンと2016-17シーズンも、サー・アレックス・ファーガソンのラストイヤーと同様にPKが多く、この3シーズンは4節までで15本が記録されています。今季の数字を下回るのは2シーズンのみ。2度のゴール取り消しを喰らったガブリエウ・ジェズスは、ストックリー・パークからの遠隔操作に沈黙を要求し、きわどいシーンを人間に2回流されたハリー・ケインは介入を求めたくなるところですが、レフェリーの判断を尊重するプレミアリーグ式のVARシステムは、従来からの世界観をキープしているようです。

スタジアムの巨大なデジタルサイネージに、審議中であると表示された30件以上のジャッジで、レフェリーが最初のジャッジを覆したのは6件でした。翌日のメディアで明確な誤審と報じられるようなジャッジが減ったのだとすれば、VARはいいスタートを切ったといえるでしょう。「BBC」は、激しい議論が繰り広げられている現状について、落ち着く兆候があると指摘しつつ、「Maybe we need VAR for the VAR」とジョークで締めています。レフェリーの判断でビデオチェックをスルーできる現在の運用は、試合のペースとスピード感を妨げないというテーマをクリアできているのではないでしょうか。

「ゴールキックをボックス内の味方に渡せる」という新ルールについては、何人かのGKがゴールキックをどこに蹴ったかを図示しているのですが、それぞれのプレースタイルが浮き彫りになるおもしろいレポートに仕上がっています。最も特徴的なのはマンチェスター・シティのエデルソンで、12本中「Goal-kicks in box」が9本。残りの3本は、得意のロングパントを敵陣ボックス前まで飛ばすという極端なプレー選択が鮮明になっています。ブライトンのマット・ライアンはボックス内22本、センターサークル手前に2本、敵陣に7本。新ルール活用率70%超えはこの2人だけで、他のGKは今まで通りに外にフィードする率が30%以上となっています。

おもしろいのはアドリアンのフィードを示した図です。ボックス内が12本あるレッズの第2GKは、高い位置に張る左SBロバートソンには8本を通しているのに対して、右のアーノルドが上がるとゼロ。「BBC」の記者は、「アドリアンはロバートソンが好き」というひとことで解説を終わらせています。ハマーズのファビアンスキについては、「ボックスにいた味方に1回出してみたが、楽しめなかったようでオールドスタイルに回帰してしまった」。ボックス内ゼロの「アンチ・エデルソン」は、ウルヴスの守護神ルイ・パトリシオ、シェフィールド・ユナイテッドのディーン・ヘンダーソン、ニューカッスルのドゥブラフカ、バーンリーのポープの4人で、ルイ・パトリシオは27本中22本をセンターサークルの右脇からサイドのエリアに集中させています。

しばらくの間は、VARを介したジャッジの是非がメディアを賑わせそうですが、オフサイドとシミュレーションをしっかり拾ってくれさえすれば、「微妙なジャッジは人間でもビデオでも永遠のテーマ」ということでいいのではないでしょうか。本日、お伝えしたかったのは、「インターナショナルマッチウィークの現地メディアのレポート記事は、いろいろ趣向が凝らされていておもしろい」ということです。紹介した「BBC」のレポートは、「Premier League 2019-20: What are the trends of the season so far?」という記事のタイトルをGoogleの窓に入れれば出てきますので、ぜひ確認してみてください。今週は試合がないんですよね…苦しいです(涙)。

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“「VARはPKやレッドカードを増やしていない」…「BBC」が2つの新ルール導入の影響を検証!” への1件のコメント

  1. アイク より:

    いつも楽しませていただいて、ありがとうございます!
    BBCのデータを根拠にしたVARの考察に、先の何でも賭けの対象にしてしまうブックメーカーの世界のご紹介まで、フットボール文化の分厚さを感じました。とても面白いですね。

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