ロンドンのおいしいもの (6)アフタヌーンティーならブラウンズ
ロンドンに行ったらやっておきたいこと、のひとつがアフタヌーンティーでした。以前にオールド・トラフォードを訪れたとき(試合はマンチェスター・ダービーで無念のドロー、未だに無念!)、ロンドンで愉しんだのが「ブラウンズ・ホテルのアフタヌーンティー」。前回は改装工事中で入れなかったこともあって思いは募り、もう一度行きたい、あのフカフカなソファ、落ち着いた空間でのんびりした時間を過ごしたい!ということで、フラムの試合を観て、そのままバスでグリーンパークまで戻り、足を運びました。
「ローストビーフならコヴェント・ガーデン」「中華ならレスター・スクエアのチャイナタウン」「百貨店ならオックスフォードサーカス」と、外からは同じように見えるロンドンの中心街も、駅によって何となくの棲み分けがあったりします。もんじゃ焼きの月島、焼肉の鶴橋、といった感じでしょうか…いや、そこまで強烈ではないか。では、アフタヌーンティーは?といえば、有名どころが集まっているのは「グリーンパーク」なのです。ジュビリー・ライン、ヴィクトリア・ライン、ピカデリー・ラインのアンダーグラウンド3線が交差する便利なロケーション。駅を出るとすぐそばにザ・リッツ、少し歩けばブラウンズ・ホテル、さらにピカデリーサーカス寄りにフォートナム・アンド・メイソンがあります。
ブラウンズ・ホテルは、ボンド・ストリートから一本、西側にある静かな通り沿いに佇んでいます。アフタヌーンティーを愉しめるラウンジは、エントランスのすぐ脇。店内に入ると、いかにも英国風の、落ち着いた色調でどこかかちっとしたインテリアと大きなピアノが目に入ります。クリスマスの季節、大きなツリーが飾られ、恋い焦がれた場所に戻ってきた、というような安堵感に包まれます。せっかくだから、いろいろ行けばいいのに、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、性格なんでしょうね、気に入るとのめってしまうほうなんです。つき合わせている相方には迷惑をかけているかもしれません。
これからロンドンに行かれる方もいらっしゃると思いますので、私なりのアフタヌーンティー選びのポイントを簡単に紹介します。何のことはありませんが、「雰囲気」「スコーンとケーキ」「オプション」の3つです。基本は、紅茶、サンドウィッチ、スコーン、ケーキの4点セットなのですが、それなりのところに行けば、紅茶がまずいなんてことは絶対にありません。サンドウィッチも、キュウリ、サーモン、カニ、鴨などを中心に、店によってちょっとしたオリジナリティはあるものの、たいてい愉しめます。ところが、スコーンとクロテッドクリーム、ケーキがいまひとつだと、残念な気分で店を出ることになります。はじめて行かれるときは、写真と評判をチェックするくらいでよいので、少しこだわってみてください。オプションというのは、シャンパンが付いていたり、シーズナリティのあるイベントメニューを用意しているお店がある、ということです。こちらはお好みで、どうぞ。
ブラウンズ・ホテルのアフタヌーンティーは、2009年に英国紅茶協会から最優秀に選ばれており、紅茶、スコーンとも申し分ありません。今回はクリスマスだったので、ケーキはクリスマス仕様。季節柄か、家族連れが多かったように思います。店の方々の対応は柔らかく、暖炉の前の席で、座り心地のいいソファに深々と腰かけ、ゆっくり紅茶と食事を愉しむことができました。ここは、すべてお代わり自由で、ときどきサンドウィッチやケーキをにっこり勧められるのがクセモノ。ついつい、食べ過ぎてしまうのです。さすがに、サンドウィッチをまるっと2人分はやりすぎたか…と少し、反省。
お値段は40ポンド前後と多少、値が張りますが、いい時間と空気を買うと思えばいいのではないでしょうか。そうそう、ブラウンズは緩めのスマート・カジュアルで、ジャケット着用であれば大概、大丈夫そうですが、ザ・リッツはジーンズとスニーカーNG、要ネクタイです。私は一度、サヴォイにてドレスコードで入店拒否を喰らったことがあります。ご注意を。
最後になりますが、凝り性なもので、以前、日本でアフタヌーンティーが素晴らしいお店を探そう、と毎週のように出かけていたことがありまして、今は同じものをやっているかどうかはわかりませんが、おすすめをいくつか、ご紹介します。雰囲気ならリッツカールトン、椿山荘フォーシーズンズ、ウエスティン東京。おいしかったのは、素朴系が神楽坂のアグネスホテル、正統派は椿山荘フォーシーズンズ。オプション充実はオリジナルのフィンガーフードが多彩なパーク・ハイアット東京、シャンパンやフルーツメニューが愉しいリッツ・カールトンでしょうか。行ったことはありませんが、マンダリンやペニンシェラもがんばっているようですね。ご興味ある方、ぜひ調べて行っていただいて、ご感想を聞かせてください。
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Calling all cars, calling all cars, we’re ready to make a deal.