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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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さよなら天才エリクセン、インテル移籍がついに決定!

ついに、この日が来てしまいました。2019年の夏から、新たなキャリアを積みたいと語っていたクリスティアン・エリクセンのインテル入団が発表されました。トッテナムで過ごした6シーズン半で、公式戦305試合69ゴール89アシスト。プレミアリーグでは、226試合51ゴール62アシストという数字を残しています。スパーズの経営ボード、スタッフ、サポーターにとって、デンマーク人のプレーメイカーは、忘れえぬレジェンドです。ヨーロッパリーグが指定席だったクラブをプレミアリーグTOP4の常連に引き上げ、CLファイナルを戦うに至るまでの輝かしい歴史は、ハリー・ケインとエリクセンなくして築き上げられなかったものでしょう。

エリクセンがアヤックスから移籍したのは2013年。レイトン・オリエント、ミルウォール、ノリッジ、レスターと下部リーグで武者修業をしていたハリー・ケインも、同じタイミングで戻ってきています。初めてのシーズンで、プレミアリーグ25試合7ゴール8アシストとまずまずのスタッツを記録した天才MFは、イングランド代表のエースストライカーがブレイクした2014-15シーズンにはリーグ戦全試合出場を果たしています。

このシーズンから指揮を執ることになったマウリシオ・ポチェッティーノ監督は、2015年2月にデル・アリを得て、アグレッシブな「走るサッカー」を構築します。2015-16シーズンのプレミアリーグでは優勝争いに加わり、レスター、アーセナルに次ぐ3位フィニッシュ。ハリー・ケインとの連携が冴え、13アシストを積み上げたエリクセンは、22年ぶりにアーセナルを上回る2位に進出した2016-17シーズンには15アシストをマークしています。

豊富な運動量をベースに中盤でボールを奪い、直線的にゴールに迫るスパーズのフットボールは、欧州で結果を出すまでに3年という時間が必要でした。2016-17シーズンのチャンピオンズリーグは、モナコにダブルを喰らってグループステージ敗退。翌シーズンはレアル・マドリードとドルトムントを撃破して決勝トーナメントに進みますが、老獪なユーヴェにホームで敗れてベスト16で大会を終えました。

集大成は、2018-19シーズン。バルサに次ぐ2位でノックアウトラウンドに進んだスパーズは、お得意様のドルトムントに2試合トータル4-0で完勝し、マンチェスター・シティとの激戦を制すると、セミファイナルではエリクセンの古巣であるアヤックスと対峙します。初戦をホームで落とし、ヨハン・クライフ・アレナのハーフタイムで3-0という絶望的なギャップを抱えていたクラブは、ルーカス・モウラの奇跡的なハットトリックで欧州制覇に王手をかけました。リヴァプールに敗れたマドリードのファイナルが、ポチェッティーノの実質的な終焉だったのかもしれません。豊富な運動量とパスワークでチームを牽引したエリクセンは、CL12試合2ゴールで準優勝の立役者のひとりとなりましたが、彼らは既に前線から獰猛に奪いにいく集団ではなくなっていました

ここでできることはやりきった、ビッグタイトルには届かないと悟ったのか。自らの評価を高めたいと思ったのか。スパーズに別れを告げると決断したエリクセンは、プレミアリーグ20試合2ゴール2アシストという彼らしくない半年を過ごして、ついに旅立つことになりました。置き土産となる移籍金は、1690万ポンド(約24億円)。スパーズは、このお金をロ・チェルソを完全移籍に切り替える資金にまわし、レアル・ベティスに2720万ポンドを払ったと報じられています。

ポチェッティーノとエリクセン。ひとつの時代が終わりました。天才的なスルーパスと美しいプレースキックが、今もなお鮮明に像を結びます。ありがとう。そのひとことで、トロフィーを掲げる姿が観たかったという無念を断ち切りましょう。今はただ、祈るだけです。プレミアリーグを盛り上げてくれたプレーメイカーが、健やかなフットボール人生を全うできますように。

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