【Chelsea×Liverpool】策士モウリーニョが勝負師ロジャースを圧倒。リヴァプール、またもや届かず!
この日は策士モウリーニョ、勝負師ロジャースとも、野心的なスタメンでした。ラミレスを出場停止で欠くチェルシーは、ダヴィド・ルイスをセンターMFに上げるという今季初めての布陣。フラナガンが負傷したリヴァプールは、左SBにアッガーを起用します。このコンバートはどちらに吉と出るのだろうか…と思いながらゲームを観ていると、3分にいきなりリヴァプールが先制します。左サイドからのFK。コウチーニョが中に低いボールを入れると、スアレスとイヴァノヴィッチが競り合ったこぼれ球に反応したのはシュクルテル。ノーマーク、ゴールはがら空きで、背番号37に求められたのは左足で触ることだけ。0-1となったことで、ゲームは一気にエキサイトします。直後の4分、反撃に出たアザールがグラウンダーの強いシュートを放ち、ミニョレがセーブ。こぼれ球はグレン・ジョンソンがクリアし、ここは同点ならず。7分にはランパードのFKをケーヒルがヘディングシュート。11分のランパードの強烈なミドルはミニョレが指先で弾き出すビッグセーブでしのぎ、ビハインドを解消したいチェルシーの猛攻をリヴァプールがかわすという図式でゲームが進みます。
チェルシーは、ウィリアン、オスカルといった前の選手のディフェンスがきいており、リヴァプールはいい形で中盤でボールキープすることができません。時折、サイドに張ったコウチーニョやスターリングにパスが出ても、1対2で囲まれるシーンが多く、後ろに戻す以外に手立てがありません。試合は完全なるチェルシーペース。リヴァプールは、スアレスを絡めたカウンターに勝機を見出したいところですが、スアレスが使いたいスペースはセンターMFダヴィド・ルイスとテリー、ケーヒルのCBコンビにつぶされてしまっています。
そして17分、いよいよチェルシーが同点に追いつきます。起点はウィリアン。リヴァプールのDFが詰めてくる前に軽くはたいたパスがオスカルに通り、オスカルはゴールに向ってドリブル。エトーに通そうとしたパスはママドゥ・サコがカットしますが、そのこぼれに走り込んでシュートしたのはベルギー代表MFアザールです。右足でカーブをかけてゴール右上を狙う得意のキックが狙い通りに絶好のコースに飛び、これにはミニョレも対応できません。1-1となり、さらにチェルシーは勢いづきます。リヴァプールは24分に、ジョー・アレンが抜け出してチャンスを創りますが、これを抑えられるとシュートレンジに侵入することすらままならなくなります。
すると33分、チェルシー、ついに逆転!ダヴィド・ルイスからアスピリクエタとつながったチャンスから、ゴール右にいたオスカルにボールがわたり、オスカルはサコにマークされながらも股の間から短いラストパスを中央に通します。これをニアサイドで受けたサミュエル・エトーは、シュクルテルよりわずかに速くボールにタッチしますが、うまく当たらなかった弱いシュートがミニョレの右手側に転がり…。弾けるボールだったのですが、ここまで再三、いいセービングを見せていた守護神は、これを触りながらも後ろにそらしてしまいました。その前の2つのプレイをCBがブロックできなかったので、GKのみに責任を背負わせるのは酷ですが、しかしこれは名手なら止めないといけないボールでしょう。マンチェスター・シティ戦でもネグレドのミドルを弾ききれずに決勝点を献上したミニョレは、またもここぞというシーンでベストのプレイができず、チェルシーに勝ち越しを許してしまいました。
前半を1-2で折り返したリヴァプールは、後半に入ると逆襲に転じます。50分、ヘンダーソンのパスからサコが放ったドンピシャのヘディングは無情にもポストを直撃。前半、まったくシュートを打てなかったスアレスの初シュートは、57分のヘンダーソンからの浮き球パスを受けたボレーでしたが、これはチェフの正面。チェルシーも53分にエトーがフリーでシュートを放つシーンがありましたが、こちらもミニョレの正面にいき、追加点を奪うことはできません。チェルシーはその後も集中力を切らさず、スアレスとコウチーニョを抑え込みます。
ダヴィド・ルイスとアッガーのコンバート勝負は、モウリーニョの圧勝でしたね。前者が戦術的シフトだったのに対して、やはり後者は窮余の策。アッガーの攻め上がりが弱いためにコウチーニョが孤立し、リヴァプールの左サイドは完全に殺されました。状況を打開しようにもケガ人の多いリヴァプールは手駒が足りません。アレンに代わって入った若いブラッド・スミスにはこのビッグマッチは荷が重く、フィットしていないイアゴ・アスパスに多くを求めるのは難しかったでしょう。リヴァプールはアレン、サコが傷つき、チェルシーも不動の右SBイヴァノヴィッチがリタイアした激しい試合は、70分を過ぎるとオスカルやグレン・ジョンソンのミドル以外にこれといったチャンスは生まれず、そのままタイムアップ。イエローカードを巡って、いくつか疑問の残るジャッジはありましたが、マンチェスター・シティ戦より紛れもなく、チェルシー勝利という結果は妥当だったと思います。「モウリーニョの作戦勝ち、ロジャース必死の工夫は空振りに終わる」といったところではないでしょうか。
リヴァプールは5位に落ちましたが、ケガ人の状況が懸念されるくらいで、悲観することは全くありません。彼らの後半戦のプレミアリーグ上位対決は、マンチェスター・ユナイテッド戦を除いてすべてアンフィールドです。アウェイ戦をこれだけ抱えながら首位と勝ち点6差なら、充分射程圏内でしょう。いずれにしても、1月には層の薄さを解消する補強が必要ですね。一方、チェルシーは、絶対的なレギュラーだったイヴァノヴィッチの負傷の程度が気になります。アスピリクエタとアシュリー・コールのセットで当面はしのげるので、致命的というほどではありませんが。もしかしたらモウリーニョ監督は、ミケルやエッシェンあたりをあっさりSBにフィットさせてしまうかもしれません。策士の引き出しには、まだまだ新しい戦術がしまってありそうです。
ふう。これにて、2013年のプレミアリーグはすべて終了しました。いやー、長くおもしろい5ヵ月でした。とはいっても年明け早々、元旦からゲームがあるので、振り返っている間もありませんね。明日の朝は、「2013年・偏愛的プレミアリーグベストイレブン&ベストマッチ」をお届けしたいと思っておりますので、よろしければまた、お立ち寄りください。では、ひとまずこれで。
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更新お疲れさまです
前半早々に失点した時はどうなるかと思いましたが勝ってくれてよかったです
ビッグマッチ特有のモチベーションがあるんでしょうけどこういう試合が出きるならいつもしてくれって言いたいところですが(笑)
スアレスやコウチーニョを今までのチームで一番押さえ込めてたんじゃないでしょうか?
ハーフタイムの時点でランプスをミケルを変えたのは単なるバランス調整ですかね?
明日の総括の記事も楽しみにしてます(^^)
スタメンを見ただけで負けたと思ったしアカデミー二人がサブに・・・
ホームではシティ並みに強いレッズは補強次第で優勝争いに参加出来る!
えっサコ2ヶ月・・・ 涙
はじめまして。
いつも大変楽しく拝見させていただいています。
私はリヴァプールファンですが、makotoさんの記事には
ずいぶんと励まされました。
確かにこの2戦の結果は悔しいものですが、おっしゃるとおり
けして悲観するべきでないと信じています。
1ファンとしては、次のホームのハル戦でしっかりと勝利の
道に戻ってくれることを願うばかりです。
また、私もすっかりmakotoさんのHPのファンになりました!
明日の記事も楽しみにしております。
今後ともぜひ更新を続けてください!
応援しています(*´∀`*)
チェルシーさん>
マンチェスター・シティよりもスアレス・コウチーニョ対策は万全でしたね。ランパードOutの理由はわかりませんが、体調が悪い、等の問題があったのではないでしょうか。「内科系のトラブルでハーフタイム交代」はたまに見かけるので。
モウリーニョ監督自身が、実はいちばん「ビッグマッチになるとテンションが上がる」人ですよね。もともとプライドが高く、自意識過剰な方が、「上位に勝たないと評価されない」レアル・マドリードにいって磨かれた感があります。昨年までのマンチェスター・ユナイテッドもそうでしたが、「チームは監督に似る」のかもしれません。
コウチさん これさわさん>
ロジャース監督、男らしかったですね。ヴェンゲル監督なら、スミスは出さずに(彼が女々しいといっているわけではありません。慎重ということです)、いけるところまでスタメンで走ったでしょう。ロジャースさんも「後半戦のプレミアリーグ上位対決はホームだから希望がある」といっていました。ケガ人続出は痛いですが、ウィズダムやルイス・アルベルト、アイビーなどが、フラナガンのように伸びてくれて、そこに新加入選手が加わればいいですね!
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