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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

監督解任ラッシュのプレミアリーグ!【前篇】テコ入れ6チームの解任判断は成功か、失敗か!?

先日、スウォンジーがついにラウドルップ監督を解任しました。ラウドルップ氏の言い分では「レター1枚で解任を通告され、説明もなければ選手に挨拶する時間も与えられなかった」とのことで、プレミアリーグのリーグ監督協会(LMA)を通じて法的措置を講ずると表明しており、何やら揉めそうなムードです。しかしながら、解任に関するコミュニケーションと手続きには問題があったとしても、昨今の不振ぶりに「解任やむなし」という声があるのもまた事実。ロベルト・マルティネス、ブレンダン・ロジャース、ミカエル・ラウドルップと続いたスウォンジーのパスサッカーを継承する人物は、果たして誰になるのでしょうか。

ちなみにリーグ監督協会というのは、プレミアリーグの監督の権利や労働環境を守る協会で、2012年3月にはリチャード・ベバン代表が「9年間で8人も監督を交代するのはオーナー、クラブ、サポーターとプレミアリーグ全体にとって大きな恥」とチェルシーのアブラモヴィッチオーナーを批判しました。サー・アレックス・ファーガソンやアーセン・ヴェンゲル、ストーク時代のトニー・ピューリスなど、従来からプレミアリーグのクラブは長期的に監督をまかせるケースが多く、イタリアのように、ちょっと不振に陥ると「とっかえひっかえ」「行き当たりばったり」に監督をクビにするクラブはさほどなかったものでした。

ところが、最近はその文化も怪しくなってきており、今季はまさに解任ラッシュ。既に7人がクビになっており、さらに解任が噂されるクラブが複数ある状態です。さて、実際のところ、どうなんでしょう。監督を代えれば、不振チームは息を吹き返すのでしょうか?昨季、11月に稀代のモチベーター、ハリー・レドナップを招へいしてもプレミアリーグ残留が叶わなかったQPRの例もあります。そこで今回は、「監督解任を断行した6クラブの解任前・解任後の成績&状態比較」を行い、どういう状況なら効果的なのかといった「監督交代・成功の方程式」を導き出してみようと思います。…いささか大風呂敷を広げ過ぎた感はありますが、気後れを飲み込んで、やってみましょう。では、さっそく。

■トッテナム=成功 
ヴィラス・ボアス監督⇒ティム・シャーウッド監督
解任前8勝3分け5敗⇒解任後5勝2分け1敗
★トッテナムが抱えていた問題は、「夏の大量補強で新戦力をフィットさせるのに時間がかかった」のではなく、「ヴィラス・ボアス監督がやろうとしていたサッカーと、所属するメンバーの資質がズレていた」のだと思います。後任のシャーウッド監督は、ポゼッションや高いライン設定を捨て、スピードを活かしたサッカーに方向転換。それまで使われていなかったアデバヨルをトップに据え、ベンタレブを抜擢。エリクセン中心のチームづくりを推進しました。「適材適所ができておらず、戦力を使いきれていない」「方針が不明確」など、チームのディレクションに改善余地が多い場合は、指揮官とコンセプトを変える手は有効ということを証明したケースだと思います。

■サンダーランド=成功
ディ・カーニオ監督⇒グスタボ・ポジェ監督
解任前0勝1分け4敗⇒解任後6勝5分け8敗
★練習中や移動中の携帯電話禁止はいいとしても、「ケチャップ・マヨネーズ禁止」など、あまりにエキセントリックな規律で選手を縛ったディ・カーニオ監督が選手と溝を作ってしまっていたのが、プレミアリーグ序盤戦のサンダーランド。選手とバトルモードになったら、監督はおしまいです。この成功のポイントは、後任に選手を盛り上げるのがうまいポジェ監督を連れてきて、きっちり「課題解決」をしたことでしょう。元々、10人を超える補強をして、今季に賭けていたチームです。その後の成績上昇、とりわけキャピタルワンカップ決勝進出は、ポジェ監督のお手柄です。

■クリスタル・パレス=成功(ただし要経過観察)
イアン・ホロウェイ監督⇒トニー・ピューリス監督
解任前1勝0分け7敗⇒解任後6勝2分け8敗
★クリスタルパレスもまた、プレミアリーグでの指導経験豊富なピューリス監督を連れてきて、シンプルなサッカーを徹底するという「課題解決」で、チーム状態が上向きつつあります。新監督がこのチームにうってつけだったのは、戦力がプレミアリーグ最低レベルというなかで、「弱者の戦い方を知っている」から。裏を返せば、この貧弱な戦力では他のチームががんばってしまえば降格が妥当ということでもあるので、しばらく様子をみないと、「成功!」とまではいえません。

■カーディフ=微妙(失敗に向かいつつある)
マーキー・マッケイ監督⇒オーレ・グンナー・スールシャール監督
解任前4勝5分け9敗⇒解任後1勝1分け4敗
★スールシャール監督就任時に、私は「火中の栗を拾う」と表現しましたが、この監督交代はありえないですね。マッケイ監督に特段の落ち度はないのに、マレーシア人のタンオーナーが癇癪を起してクビを宣告。監督を変え、補強したものの方針不明、といった状態です。スールシャール監督の船出は、6試合でわずか1勝と芳しくなく、このオーナーなら、もう1回ぐらい解任劇があってもおかしくありません。オーナーが監督とコミュニケーションを取れず、フロント主導の選手補強をすると失敗する、というサンプルがまたひとつ増えるだけに終わりそうです。

■WBA=変わらず
スティーブ・クラーク監督⇒ペペ・メル監督
解任前3勝6分け7敗⇒解任後1勝5分け2敗
★ロイ・ホジソンとスティーブ・クラークのチームづくりで、ここ3季を11位、10位、8位と躍進中だったので、今季の不振ぶりが目にあまったのでしょう。12月にクラークを解任し、スペインのベティスをクビになったばかりのペペ・メル監督にスイッチしました。このチームは、補強がうまくいかなかった、という面が大きいのではないでしょうか。アニチェベ、セセニョン、アネルカは、いずれも期待を下回っていると思います。だとすれば、彼らを完全に外すわけにもいかないチームを好転させるには時間がかかるでしょう。地力はあるので、降格するイメージはありませんが…。

■フラム=失敗だが、補強効果に期待
マルティン・ヨル監督⇒レネ・ミュレンステーン監督
解任前3勝1分け9敗⇒解任後3勝0分け8敗
★これぞ「行き当たりばったり」の好例となってしまいました。泥沼6連敗で収拾がつかなくなっていた状況を考えれば、「ヨル監督解任」はやむなしですが、先に長期的にまかせられそうな監督を検討してからアクションすべきだったのではないかと思います。彼らの問題は、明らかにDFのスキルとコンビネーション不足。これについて、監督を代えても課題解決ができてないので、順位は上がらないでしょう。後は、新加入のハイティンハが個人力でどこまでやってくれるか、ですね。ミトログル、クヴィスト、デンプシー、ホルトビーという冬の大量補強が功を奏せば残れるはずですが、私はこの監督では厳しいのではないかとみています。

というわけで、「監督交代で成功する」ためには、
1)うまくいっていない要因を明確にしている
2)監督に明らかに問題があり、それを本人が解決できない・解決する気がない
3)新しい監督に、現状課題・長期的課題を解決できる能力がある
4)フロントと新監督に意志の疎通があり、補強などの打ち手を連携して行える
といった要素がないと厳しいのではないでしょうか。この稿、長くなりましたので、後篇に続きます。後篇では、昨季プレミアリーグの監督交代で最大級の話題となった「調子を上げていたにも関わらず、サウサンプトンはなぜナイジェル・アドキンスをクビにしたのか」というテーマに触れつつ、いいフロント、いい監督選びについて、引き続き考えてみたいと思います。UPは、11時くらいでしょうか。

「監督解任ラッシュのプレミアリーグ!【後篇】なぜ、昨季のサウサンプトンは監督を解任したのか?」をみる

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