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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【MAN.UTD×Fulham】幸運な2得点と必然の2失点。マンチェスター・ユナイテッドの放り込みに未来なし!

この試合を「まさかのドロー」と表現している報道も見かけますが、結果は「必然」だったのだと思います。プレミアリーグ前節、ストーク戦のチャーリー・アダムのような大当たりロングシュートがうっかり入ってしまったのなら、「信じられない」というトーンの表現もあるでしょう。しかし、追加タイム残り1分強という時間に、ヴィディッチのヘディングのクリアをあっさりさらわれ、逆襲で簡単にゴールを奪われるという結末は、運不運の問題ではありません。2得点も、いずれも狙って奪ったゴールでもなく、ドローという結果は妥当でしょう。

マンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグ最下位のフラムに、本拠地オールド・トラフォードで2-2で引き分けました。ルーニーとファン・ペルシがスタメンに戻ってからの2試合を、下位に沈む相手に1分け1敗。問題はケガ人の多さや戦力にはないことは、もはや明白です。

この日、マンチェスター・ユナイテッドが挙げたクロスは、81本にも及びました。ボールポゼッションも70%を超え、シュートは31本。これは、ホームチームが圧倒的にゲームを支配した結果というより、フラムが1点を先制した後、勝ち点を得るためにいかに引きまくったかを表す数字でしょう。この守備的な相手に対して、外から浮き球のクロスをひたすら放り込み、中にいる2~3人が合わせるといった攻撃を繰り返していてもラチがあきません。マンチェスター・シティなら、サイドの選手を絞り込ませて至近距離からグラウンダーを中に通すような攻め方をしたでしょう。アーセナルはダイレクトパスを多用し、チェルシーやリヴァプールは、相手に一定持たせて、主戦場をハーフライン付近に求める引き込み方をするに違いありません。

しかしマンチェスター・ユナイテッド、いや、モイーズサッカーは、相変わらず、アウトサイドからの放り込みに終始します。このサッカーなら、マタも香川真司も、ルーニーですらも要りませんね。FWは、フィジカルが強く、速いボールをコントロールするのがうまいドログバや、ヘディングで制空権を支配できるクラウチがいいでしょう。中盤の選手も、バレンシアタイプの屈強なドリブラーだけ並べておけばいいと思います。ただしこれは「プレミアリーグで5~6位を獲れば合格点」、すなわち、昨季までのエヴァートンのようなクラブなら、のお話です。最大の問題は、こういうサッカーではプレミアリーグも欧州も制覇できないことです。

19分に、トッテナムからやってきたこの冬新加入のMFホルトビーにCBが上がった裏を突かれ、左から中央に浮き球を通されると、走り込んだシドウェルに誰もついていけず、フリーでダイレクトシュートを左隅に決められてしまいます。ここからは、長い長い「放り込みの時間」。後半に入り、62分にフレッチャーをヤヌザイに代えて放り込みのための発射台を増やし、69分にはヤングをチチャリート、ラファエウをバレンシアにスイッチ。発射台をさらにピカピカにして、ゴール前の受け皿をも増やすという作戦は、中盤を空洞化させ、相手をゴール前に張り付かせてペナルティエリア内を渋滞させるという悪影響しか生みませんでした。

やっと同点にしたのは78分。これは、徹底したクロスが功を奏したわけではなく、マタが打った枠を外れたシュートの先に、たまたまファン・ペルシの左足があったという「結果オーライ」の一発。80分のキャリックの逆転ミドルも、ゴールに引きこもり過ぎたフラムが、キャリックの足元に飛び込もうとしなかったために決まったゴールです。プレミアリーグ最下位チームだから、この攻撃が成立しましたが、アーセナルやチェルシーはもちろん、セインツや好調ハル・シティですらも同じことを許してはくれないでしょう。

37分に、フラムFWタンコヴィッチがカウンターを仕掛け、左を走るリチャードソンがGKと1対1になったシーンで決められ、0-2とされていたら、勝ち点1すら危なかったでしょう。彼がシュートを打ち上げてくれて助かりました。38分のキャリック、ファンペルシの連続シュートや、54分にエヴラのクロスのこぼれ球をマタが落とし、ルーニーが至近距離から放ったシュートをステケレンブルクのビッグセーブに阻まれるなど、「ビッグチャンスはあったじゃないですか」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、いや、相手はプレミアリーグ最下位のどん底フラムです。この相手に残り15分まで点が奪えず、逆に2点も獲られてしまえば、勝てないのは自明です。

課題が多過ぎて、どこから手をつけていけばいいのかわかりませんが、いちばん何とかしたいのは、中央の守備と単調な攻撃です。たとえば中盤センターを3人にして、ひとりは脆弱なCBコンビの前のスペースをひたすら埋めて、脇のふたりがSBと連携してペナルティエリアの幅だけ使って攻撃、などと、目に見える荒療治をしないと改善は難しいでしょう。4-3-1-2なら、ファン・ペルシとルーニーの直下にマタや香川真司、ヤヌザイを配することができ、ワールドクラスのふたりへの配球源を増やすことも可能です。前にもほぼ同じことを書きましたが、モイーズ監督はやらないだろうな…。

繰り返しになりますが、ファン・ペルシとルーニーを揃えても勝てないのは、戦力の問題ではなく戦略の問題。香川真司やマタ、ヤヌザイなどの人材を活かせていないのは、適材適所を考えられない指揮官の器量の問題。今の延長線上に改善の見込みがないとすれば、答えはひとつです。さあ、アレックス・ファーガソンさん、経営陣のみなさん、どうしますか。そろそろ、ご決断を!

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“【MAN.UTD×Fulham】幸運な2得点と必然の2失点。マンチェスター・ユナイテッドの放り込みに未来なし!” への3件のフィードバック

  1. makoto より:

    そんなユナイテッドに普通に敗けそうで怖いです。リバプール戦のように早い時間帯でセットプレーや、クロスの応酬で点を取られて、ナーバスになってそのままズルズルいってしまいそう。

    —–
    せおさん>
    サポーターはお互い、びびってますね、きっと(笑)。

  2. Uボマー より:

    モイーズってエヴァートンの監督してたときはもう少し上手いサッカーしてたような気がしてたんですがね…。
    ロスタイムで追いつかれるっていう守備陣の集中力のなさも気になる所です。今年格下相手だとそういう試合が多いですよね。モイーズが選手にバカにされているんじゃないかという気がしてなりません。
    感情剥きだしにして怒るか、あるいはゴールを決めても静観を決め込むか、もう少し選手と監督との違いをはっきりさせるべきなんでしょう。モイーズがファーガソンのようなビッグクラブに相応しい風格を備えるにはどうしたって時間が必要でしょうね。
    それにしても中盤と守備陣の補強は急務ですね。夏はどうしましょう…。ポグバを買い戻そうなんて話も出ているようですが。

  3. makoto より:

    Uボマーさん>
    昨季までのエヴァートンのサッカーは、シンプルな速攻と、フェライニ、アニチェベなど屈強な前線のポストプレイが基本。フィジカル重視で、センターMFが攻撃に出ていかないあたりは、今季のマンチェスター・ユナイテッドと近いです。モイーズ監督は、エヴァートンで「安い選手しかいなくてもプレミアリーグ5~6位を狙えるリーズナブルなサッカー」をしており、今季、「それしか技がない」ことが露呈したのだと思います。選手からも批判が出始めていると聞いており、明らかにグリップがきいてないですね。

    ボグバはユーヴェが出さないでしょうね…。チャンピオンズリーグに出られるかどうかで、獲れる選手が変わってきそうなので難しいところですが、DFならフンメルス、ギュンドアンやケディラみたいな選手がくるといいと思います。…アーセナル観すぎて、ドイツかぶれしてますかね!?

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