フリット氏が暴露…!?「プレミアリーグ入りを熱望するファン・ハール氏がトッテナム監督就任」
フリット氏がBBCラジオで語ったのは、「トッテナムのレヴィ会長がファン・ハールの家を訪れた(見たんか!?)。交渉は順調で、契約は成立していると思う。最終的に決まるまでは、何が起こるかわからないのがサッカー界の常だけどね」というもの。確かに、ファン・ハール氏は年明けからプレミアリーグ行きを熱望しており、夏に契約が切れるオランダ代表監督の仕事が終わればイングランドに来るであろう、という話は既定路線ではありました。昨季からヴィラス・ボアス監督にチームを任せていたレヴィ氏が、コレクティブなサッカーを志向するファン・ハールを獲得しようと考えたとすれば、それはそれで納得です。しかしまあ、仮にフリット氏が語ったことが、事実に基づいたものだったとしても、口が軽いことこのうえなし、ですね。
さて、この話が実現したとして、ファン・ハール氏のプレミアリーグ挑戦は成功するのでしょうか。私は、1994-95シーズンに、アヤックスを指揮してエールディビジとチャンピオンズリーグを無敗で制する怖ろしいチームを創り上げた頃から、彼が素晴らしい監督であることに疑いを持っていないので、期待度大ではあると思っています。ただし、この方、当たりハズレが大きいんですよね。アヤックスとAZでは大成功、バルセロナと1回めのオランダ代表で大失敗、バイエルン・ミュンヘンでは初年度にダブル達成、チャンピオンズリーグでは準優勝しながら、2年めの不振で解任と微妙です。
もし、ファン・ハール氏が自らのポリシーを貫き、4-3-3、3-4-3型の攻撃的なサッカーを押し通そうとすれば、必ずしも適材が揃っているとはいえないトッテナムは、またもや大量の選手入れ替えが必須となり、空中分解しそうです。一方、現在のオランダ代表では、2002年の日韓ワールドカップにいけなかった失敗をふまえて、与えられた選手をどう使うか、若手をどう成長させるかに心を砕いているようなので、現状に合わせたチームづくりからスタートできればうまくいくかもしれません。AZ時代に若手を育ててリーグ優勝まで登りつめたように、ベンタレブやハリー・ケイン、リヴァモア、タウンゼント、トム・キャロルらを機能させてプレミアリーグの優勝争いに食い込んだら、今季のリヴァプールのように盛り上がりそうです。
そんな話がイギリス国内を飛び交うなかで、「スカイスポーツ」によれば、現監督のシャーウッド氏は「来季の獲得・放出希望選手リストをレヴィ会長に渡した」とコメントしているそうです。うーん、こちらはこちらで必死の残留工作ですね。ただし、彼が来季のプレミアリーグで、トッテナムのベンチに座って頬杖をついている映像が観られる可能性はほとんどないでしょう。今のトッテナムのサッカーには見るべきものがなく、これならヴィラス・ボアスでもよかったのでは?という状態です。何らか、彼のなかに未来についていい展望があれば別ですが、「4~5人は放出も必要」とおっしゃっているところからして、いかがなものかと思います。
というのは、トッテナムが今季、苦しんだ理由のひとつが「大量補強でチームをゼロから作らなければならないなかで、ヨーロッパリーグとプレミアリーグをパラレルで戦うタイトなスケジュールに翻弄されたこと」だと考えるからです。ヨーロッパリーグ直後のゲームで2点以上奪ったのは、「混乱仲間」のマンチェスター・ユナイテッド戦だけ。ノースロンドンダービーで沈黙し、ニューカッスルはホームでクリーンシートを許し、リヴァプールには0-5惨敗です。あくまで「プレミアリーグ6位を死守して欧州行きが決まった場合」「経済的に許せば」ではありますが、今季、機能しなかった選手を売りさばいて昨夏同様のスクラッチにするのではなく、今ある戦力をベースとして、何人かの選手には「再生プラン」を施してあげるくらいのほうが、いいスタートが切れると思われます。
私としては、マンチェスターにいらっしゃることを秘かに期待していたファン・ハール氏ですので、今回のニュースは非常に残念。とはいえ、結論めいたことをいえば、彼が来ればトッテナムは若い選手が元気になり、成功するのではないかと思います。ファン・ハールさんの成功パターンは、「子飼いの選手を創れるかどうか」なんですよね。バルセロナでの失敗は、自分の息のかかった選手を大量に入れたことで、スペイン人選手やサポーターとの不協和音を生んでしまったこと。最初のオランダ代表でコケたのも、1998年フランスの準決勝進出組の大物たちをうまく御せなかったこと、ですから。来季、トッテナムが強くなったら、さらにプレミアリーグが盛り上がりそうですね。楽しみ!…と手離しでいえるほど、レヴィ会長同様来季の監督問題で苦悩する私に気持ちの余裕があるかはわかりませんが(ルイ・ファン・ハール 写真著作者/Paul blank)。
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