【Chelsea×Norwich】今日もゴールは遠かった…ひと足早く、チェルシー、事実上の終戦!
PFA最優秀若手選手賞をとったエデン・アザールがスタメンから外れたのは、先日のフランスメディアでのインタビュー騒動によるものでしょうか。チャンピオンズリーグ準決勝、アトレティコ・マドリードに敗退した後、アザールが「チェルシーはフットボールをする準備ができていなかった。カウンター攻撃だけ、できるようになっていた」と発言したと伝えられ、これを聞いたモウリーニョ監督は「彼はSBを助ける準備ができていない。アトレティコ・マドリード戦の1失点めを見れば、どこにミスがあり、なぜゴールを許したのかは明らか」と辛らつなコメントを残しています。おそらくこれは、悪意を以て導かれたインタビューなのではないかと思いますが、イギリスメディアに騒がれ、監督まで発言してしまったとなれば、事は穏便には収まりません。
ともあれ、アザールを欠いたチェルシーは、トップにデンバ・バ、右サイドにサラー、左にシュールレと、一段ギアを落としたメンバー構成。アウェイでおとなしいノリッジは、時折左右からのクロスでゴールを狙うものの、2-3で惜敗したリヴァプール戦で見せたような出足のよさはありません。ホームのチェルシーもまた、プレミアリーグ18位相手と思えないような静かな試合を展開します。チェルシーの攻撃の課題は、サイドからのラストパスに中の選手が合わせる、といった崩しが極端に少ないことにあるように思います。昨日のマンチェスター・シティのジェコやアグエロのような、「走り込んでシュートを放つ」シーンはほとんどありません。力学は常に縦に働いており、縦への突破が難しいとみるや、中に持ち込んでのミドルシュートというのが彼らの相場。サラーやアシュリー・コール、イヴァノヴィッチのクロスに、デンバ・バはもちろん、ウィリアンやシュールレが合わせるような攻撃ができれば、ノリッジのDF陣も守りづらかったのではないでしょうか。
チェルシーの前半のチャンスは、20分のCKからのテリーのヘッドと、32分にマティッチの見事なスルーパスから縦に抜けたシュールレが中に持ち直し、シュートが右ポストを叩いたシーンのみ。デンバ・バにヘッドもボレーもないことが、攻撃の引き出しの少なさを象徴しています。前半は0-0で終了。モウリーニョ監督は、事を荒立てるつもりはないようです。後半頭から、いよいよアザール登場。ランパードに代わって入ったダヴィド・ルイスとともに、攻撃に変化をもたらすことが彼のミッションです。
後半に入ると、アザールのドリブルでの仕掛けで、チェルシーのゴールの期待値が上がります。48分、右サイドでボールをキープしたアザールが中に入ったイヴァノヴィッチにパスを通すと、背番号2が落としたボールをダヴィド・ルイスがダイレクトシュート!GKルディが反応できない素晴らしい一撃は、入ったかに思われましたが、バーを直撃して先制ならず。56分には、ペナルティエリア内でDFをかわしたアザールが転倒しますが、このルーズボールを触ったテリーが戻りオフサイドを取られて、絶好のチャンスもゴールにつながりません。
攻めあぐむチェルシー、自陣にこもるノリッジ。何とかプレミアリーグ残留を勝ち取りたいユースチーム上がりのアダムズ新監督は、69分、エルマンデルを諦めレドモンドを投入。すると、代わって入ったこの22番が、ノリッジ最大のチャンスを演出します。
71分、ハーフライン付近で前を向いてボールを受けたレドモンドは、DFの裏に入ろうとするスノッドグラスに必殺のスルーパス。スノッドグラスにもう一段、積極性があれば、中に持ってDFを手で抑えて、GKと1対1になることもできたでしょう。しかし彼が選んだのは、追いかけるケーヒルを避けてやや外に逃げるドリブル。角度のついたシュートは、ケーヒルが間に合い、スライディングで足に当てます。先制点を奪えなかったノリッジには、再び自陣に引くよりほかに、勝ち点を得る手段はありません。
79分、交代出場のF.トーレスからパスを受けたアザールは、得意の中へ斬り込むドリブルでDFを簡単にかわすと、右足で強烈なシュート。しかしこれはGKルディがブロック。この一発を最後に、残り10分は、チェルシーに得点の匂いのするチャンスは訪れませんでした。シュート23本、ボールポゼッション71%もむなしく、まさかの0-0でチェルシー、終戦。第二次モウリーニョ政権の最初のシーズンは、プレミアリーグ3位で着地することになりそうです。
守りにおいては、誰が入っても同じようにクオリティの高い守備網を構築できるチェルシーも、こと攻撃となると、メンバー構成によってムラが生じます。この話をすると、ついつい、FWのタレント不足というテーマになりがちですが、ワンタッチで決めたいデンバ・バや、周囲の選手との連携からゴールを陥れたいエトーからすれば、「もう少し生きたボールをくれ」といいたくなる試合もあるでしょう。ルーニーやスアレスのように、周囲を活かすことも自ら局面を打開することもできる万能タイプならいいのですが、噂のジエゴ・コスタのような純粋なストライカーは、F.トーレスの二の舞になる可能性もあります。
来季、モウリーニョ監督は、カウンター以外の攻撃をブラッシュアップさせ、「これぞチェルシーの崩し」といえるものを構築できるでしょうか。ライバルのペジェグリーニ監督は、彼のスタイルを完成させつつあります。ここでモウリーニョ監督が動かなければ、来季のプレミアリーグも、マンチェスター・シティの背中を見続けることになるでしょう。さあ、どうなる、チェルシー。どうする、ジョゼ・モウリーニョ!
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
更新お疲れさまです
もういつも通りのお決まりのパターンでしたね
ユナイテッドまでの6チームに落とした試合は4つ、それ以下に9つと格下に固められたときの攻撃に課題があるのは明らかなので来季になんとかしてほしいものです
今季はタイプの違う三人のFWをローテしてたので形が定まりにくかったっていうのもあるかもしれませんね
あとはアザールに残留してもらわないと今のチェルシーは厳しいのでなんとか丸くおさめてもらいたいです
上位2チームにタブルをきめたチームが3位にいるという事実がチェルシーの構造的欠陥を示しています。
引いた相手をどう崩すかという問題はモウリーニョが永遠と抱えている問題です。
今までのチームには優れたフィニッシャー(ドログバ、イブラ、ロナウド)を要することでこの問題をうやむやにしていました。
まぁ、同じ一年目のマルティネスやペジェグリーニとの違いは監督としての思考の差異でしょうけどね。
—–
チェルシーさん リバサポさん>
うまく持ってこられるなら、「大物フィニッシャーで一発解決」もひとつの手段ではありますが、市場に出回りそうなタレントがいませんね。下に弱いというのは、「上位との対戦があらかた終わったタイミングで、どのチームでもシーズンに一度はくるバイオリズムの下がり目がきた」という面もあるような気がします。