半分はプレミアリーグ!フォーブス発「世界のサッカー選手・年収ランキングトップ20」
クリスティアーノ・ロナウドの収入の内訳は、年棒が4900万ドル(約49.8億円)、ナイキやエミレーツ航空などからのスポンサー収入が2400万ドル(約24.2億円)。2位メッシも同様に、年棒4200万ドル、スポンサー収入2300万ドルで、しめて6500万ドル(約66.1億円)となっています。イヴラも含めた「30億超えトリオ」は、もう別格。見なかったことにしたいくらいです。その下のネイマールからは、15億~20億円台のところにおさまっており、現在の”一般的な”ワールドクラスの選手の年棒相場は「20億円前後」ということになります。
やはりここでも羽振りがいいのはプレミアリーグ勢です。そもそも、サッカー選手が高額年棒とスポンサー契約で天文学的な収入を得る流れを決定的にしたのは、マンチェスター・ユナイテッドに所属していた頃のデヴィッド・ベッカムでしょう。テレビ局が払う高額の放映権料を背景に、クラブの収入が上がり、それに伴って選手に支払うギャランティも高騰し続けている、というのが現状。2012-13シーズンも、7位ルーニーを筆頭に、トップ20の半数はプレミアリーグの選手たちです。上位にいるのは、スポンサー収入もそれなりに多い選手たちですが、「単純に年棒が高い選手」ということでいえば、ここにアザール、ナスリ、テリーらが加わります。ルーニーは、2014年2月の契約更新で1560万ポンド(約26億5000万円)にアップしたと報道されているので、来年のランキングではさらに順位を上げているはず。顔ぶれを見ても、チェルシーのFW以外は概ね、クラブにおける重要度と報酬がリンクしている状態ではあります。
■フォーブス調べ「2012-13シーズン サッカー選手年収ランキング」
1位/クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード) 7300万ドル(約74億2000万円)
2位/メッシ(バルセロナ) 6500万ドル(約66億1000万円)
3位/イヴラヒモヴィッチ(パリ・サンジェルマン) 3400万ドル(約35億6000万円)
4位/ネイマール(バルセロナ) 2800万ドル(約28億5000万円)
5位/ファルカオ(モナコ) 2600万ドル(約26億4000万円)
6位/ベイル(レアル・マドリード) 2400万ドル(約24億4000万円)
7位/ルーニー(マンチェスター・ユナイテッド) 2200万ドル(約22億4000万円)
8位/アグエロ(マンチェスター・シティ) 2100万ドル(約21億4000万円)
8位/ヤヤ・トゥーレ(マンチェスター・シティ) 2100万ドル(約21億4000万円)
10位/F・トーレス(チェルシー) 2000万ドル(約20億3000万円)
11位/ファン・ペルシ(マンチェスター・ユナイテッド) 1900万ドル(約19億3000万円)
12位/リベリー(バイエルン・ミュンヘン) 1800万ドル(約18億3000万円)
13位/ジェラード(リヴァプール) 1700万ドル(約17億3000万円)
14位/ダビド・シルヴァ(マンチェスター・シティ) 1600万ドル(約16億3000万円)
14位/ランパード(チェルシー) 1600万ドル(約16億3000万円)
14位/シュヴァインシュタイガー(バイエルン・ミュンヘン)1600万ドル(約16億3000万円)
14位/エジル(アーセナル) 1600万ドル(約16億3000万円)
18位/ラーム(バイエルン・ミュンヘン) 1500万ドル(約15億3000万円)
18位/カカ(ACミラン) 1500万ドル(約15億3000万円)
18位/スアレス(リヴァプール) 1500万ドル(約15億3000万円)
※所属は現在のクラブ
しかし、率直にいえば「選手の年棒は高過ぎ、クラブ経営における最大のリスクとなっている」のではないでしょうか。今さら難しいのかもしれませんが、トップクラスの選手でも、年棒はこの半分に抑えないといけないのではないかと思います。というのも、マンチェスター・シティが払っている年間のサラリー総額は320億円にも及び、クラブ収益の87%を占めるところまでいっているからです。日本企業の感覚でいえば、人件費比率が80%を超えている年間売上500億程度の「中小企業」になど、怖くてお金は貸せません。
何だかしょっぱい話になってしまいましたが、プレミアリーグを愛するがゆえの心配です。法外な放映権料、スポンサー収入にはどこかでストップがかかります。そうなったとき、ポーツマス、リーズ、マラガ、マジョルカ、ペルージャ、デポルティーボ・ラコルーニャのようなお話を、チャンピオンズリーグ出場権を持つクラブで聞かされるのは勘弁してほしいな、と憂う次第。しかし、どうすればよいのでしょうか、これ。アーセナルやリヴァプール、トッテナムあたりがプレミアリーグを優勝し続ければ、マンチェスター勢やチェルシーなど、選手に金をかけているクラブも考え直すかもしれませんね。まったく、解決策の提案にはなっていませんが…。
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それからもう1点、金満の被害者がリーガやセリエの中堅クラブであるという主張。
これも違うと思う。
物凄く具体的に言うと、シティとチェルシーが金満化したことで被害を受けたのは、バレンシアではありませんし、金満のせいでバレンシアの負債が増えた訳でもありません。
シルバとマタは、シティとチェルシーが居なくても放出された可能性が極めて高い。
そしてその時は、リーガ2強やマンUのような「伝統ある金満クラブ」にもっと安い値段で買われていたでしょう。
バレンシアがシルバとマタを放出した要因は、彼等自身の経営体力と不健全経営です。
バレンシアより金のあるクラブがいる限り、バレンシアは選手を売ります。ちょうどバレンシアが格下のクラブから選手を引き抜いているように…
更に言うと、バレンシアはシティやチェルシーとCLEL出場権を争うこともありません
一番の被害者を挙げるとすれば、プレミアのライバルクラブでしょうか?
チェルシー、シティの金満化がなければ、マンUの優勝回数は増えていたはずだし、トッテナムはあと何回かCLに出場できていたはず。
他にも狙、っていた選手を横取りされたり、移籍金を引き上げたられり…
既得権益を守るという観点から見ると、金満は非常に都合の悪い存在です。
だからこそ、FFPに期待するコメントが出てくるんでしょう。
バレンシアやセビージャはあまり興味無さそうですけど。彼等が興味があるのは、リーガの放映権分配の方ですね
のブログを見ていて、金満批判系の記事には激しい違和感を感じてしまいます。
全てを批判する訳ではないし、現地観戦記などは楽しくよませていただきましたが、やはり金満批判の時には、
「ここは明らかに違うだろ…」
と思わざるを得ない部分があるからでしょうか
まず1つは、デポルティボやリーズの問題と、チェルシーやシティの問題を並べている点。
これは明らかに違う。
資金源がオーナーの資産であろうと、スポンサー収入であろうと、チケット収入であろうと、金は金です。
デポルティボは金が無いのに収入増を見越してチキンレースに参加したから、経営危機に陥ったのであって、有る金を使っても経営危機には陥りません。
マラガも元々経営難だった上、オーナーが大して金を出さなかったから今の状況になった訳です。
仮にアブラモビッチやマンスールが数年後にクラブを手放したとしても、後に残るのは増強された設備、トロフィー、強化されたブランドだけです。
あとは彼等が経営をスリム化すればいいだけ。分かりやすい例がアンジ。
もっとも、アンジとチェルシー、シティではベースの収入が違うので、あそこまで極端なスリム化は必要ないと思いますが…
所謂悲劇については、金が無いのに勝手に使うクラブの自業自得としか言い様がありません
過去にも投稿してますが… さん>
そもそものところで、大きな誤解があります。
1)このテーマで金満批判はしていませんよ(あいつらに勝ちてぇ、というような発言は別な話でよくしますが)。「全体的な人件費高騰は、より多くのクラブの経営を圧迫するので心配です」といっています。マンチェスター・シティを例にとったのは、彼らが世界一、選手給与の高いクラブだという報道があり、かつ決算内容についても情報があるからです。最後に「マンチェスター勢」という書き方をしているのを見ていただければ、オイルマネーの有無という概念ではなく「比較的高額で選手を獲るチーム」ということをいっているとご理解いただけるかと思います。
2)金満批判をしておらず、金満という概念は本記事にはないわけですが、仮にあるとすると、「選手の移籍金や年棒高騰化に加担しているクラブ(私が応援しているマンチェスター・ユナイテッドも、マタやフェライニの例をみれば、残念ながらこちらに入っています)」ということで、これはプレミアリーグのクラブに限った話ではありません。一方で、本記事をプレミアリーグ特化で書く意義は、「放映権収入が上がっており、その恩恵をいちばん受けているリーグ。それが入ってくることを前提に経営していると、はじけた時は逆にいちばん怖い」「スペインなどより、リーグがコンペティティブであること。この環境を守れたほうが、全体としては発展させやすい(あるいは、衰退しにくい)ので、ぜひそうしてほしい」ということがあるからという認識です。
マンチェスター・シティが、将来マラガのようにならない、ということが本当にいえるのでしょうか。規模が大きかろうと小さかろうと、オーナーが手を引いたら、経営のスリム化が実現する前にキャッシュがアウトする、というリスクは一様にあります。過去にも投稿してますが… さんは、結果から逆引きして「つぶれたクラブ、選手を売るクラブは放漫経営だった」といっているようにみえますが(誤解だったらすみません)、マンチェスター・シティの数字を見る限りでは、経営上のリスクとして、いくつか共通項があるようにみえます。「金があるなし」ではなく、赤字か黒字か、儲かるか儲からないか、払えるか払えないか、が判断基準ですから。記事を普通に読んでいただければわかりますが、収益や投資された資金には一切触れておらず、あくまでもコストとPLの話をしています。お金があるクラブでも、アテにしていた収益が一気になくなり、リカバー策が見出せなければ、投資グループはさっさと引くと思われます。
ちなみにこの記事は、単発の移籍金ではなく、固定費である年棒を語っているのがミソです。「増強された設備、強化されたブランドだけ」といただいていますが、設備投資やブランディングには相応のランニングコスト、すなわち固定費に近しい費用がかかるものです。私は6年ほど、数十億の予算規模があるブランディング部門の責任者をやっていたのでよくわかりますが、日本国内のマーケティングだけでも、十億単位のお金はあっという間です。「経営のスリム化」も、プレミアリーグのトップクラブの規模になると、簡単ではありません。「資金源が手を引いたから、お金を使わないようにしよう!」というジャッジだけで済むのであればいいのですが、固定費をはがすのは結構大変です(このあたりも、傾いていた会社の止血に携わったことがあるので一定、わかります。「経営破綻したクラブ=放漫経営」というのは乱暴で、経営者に力があっても、クラブの規模を拡大するのは、やはり難易度が高いのだと思います。
私がいっているのは、「無茶して欧州サッカー界全体のリスクを上げないでね」「つぶれないでね」「オーナーが手を引いても受け身が取れるようにしておいてね」ということであって、「金満やめろ、云々」ということはいっておりません。プレミアリーグの被害者がどこの国の…などという話もしておりません。金満チームが選手をあさるのがよくない、といっているのではなく、選手の年棒が高騰すると、どのクラブも経営リスクが上がるといっているので、被害者などは存在しないという認識です。「リーガやセリエの中堅」の話もしていないうえに、私の記事にないバレンシアがなぜ出てきたのでしょうか。とにかく誤解が多いようなので、まずはここまで、お伝えしたいと思います。