偏愛的プレミアリーグ見聞録

MVP、監督、 ベストイレブン…さまざまなテーマで2013-14シーズンのプレミアリーグ総括をやってまいりましたが、いよいよ最終回でございます。今回は、「2013-14プレミアリーグ10大ニュース」ということで、今季プレミアリーグのさまざまな出来事をランキング形式でまとめてみました。紹介に先立ちまして、ひとつだけ申し上げたいのは、「サポーターの数だけ10大ニュースは存在する」ということです。

応援しているクラブによって、見えている景色は違います。私にとっては、以下のランキングが心に残った事件なわけですが、たとえばトッテナムサポーターの方なら、ヴィラス・ボアスさんの解任やアデバヨル復活のほうが、SAS云々よりもマインドシェアが高いでしょう。ガナーズなら「エジル＆フラミニ入団」「FAカップ優勝」。チェルシーファンは、パリ・サンジェルマンを迎え撃ったスタンフォード・ブリッジの夜は忘れないに違いありません。

というわけで、この稿は「ランキングの上位・下位がどうこう」ということにはあまりこだわらないでいただければと思います。ちなみに選考基準をいうならば、「最終順位に大きな影響があった出来事を上位に」というぐらいですね。読んだ方々が、穏やかな気持ちで「ああ、そんなこともありましたね」と、プレミアリーグでこの1年に起こったさまざまな事件を振り返って楽しんでいただいたならば、まとめた甲斐もあるというものです。では、さっそく。

■2013-14プレミアリーグ10大ニュース
10位　開始12秒にGKが先制！ベコヴィッチが決めた、セインツ戦のびっくりゴールキック
9位　 今世紀最大の誤審!?ギブス＆チェンバレン、退場者間違え事件
8位　 パーデュー監督、メイラーに頭突きで7試合出場停止＆罰金総額2700万円！
7位　 ウィッカム大暴れでジャイアントキリング連発！最終盤でサンダーランドが嵐を巻き起こす
6位　 プレミアリーグ優勝争いを演じたアーセナル、FAカップ制覇で9年ぶりのタイトル奪取！
5位　 仔馬、ジャガー…モウリーニョ発言が火を着けた監督たちのプレミアリーグ優勝譲り合いバトル
4位　 プレミアリーグ上位に新監督が続々登場！監督解任ラッシュで総勢10人が続々退場！
3位　 かみつき事件を完全に払拭。躍進リヴァプールの象徴、SASがプレミアリーグを席巻！
2位　 マンチェスター・ユナイテッド、ワーストレコードを次々に更新！
1位　 優勝を左右した一瞬の判断…リヴァプールVSマン・シティ、ヘンダーソン一発退場！
（それぞれのタイトルのリンクをクリックすると、以前に掲載した記事に遷移します）

10位と9位は、10年に1回あるかないかの珍事件でした。ベコヴィッチのゴールは、大きく蹴ったゴールキックをCBデヤン・ロブレンとフォンテが同時に追うのをやめ、GKに任せたとたんに起こった悲劇です。GKのゴールはときどきありますが、開始12秒というのがニュースですね。9位の退場者間違え事件は、冤罪を被ったギブスが、抗弁もせずいさぎよくピッチを去った後ろ姿が忘れられません。主審はともかく、副審は近くで目撃していたはずで、故意に手を出してボールをはじき出した「真犯人」チェンバレンが主審に自供したにも関わらず、試合がそのまま流れていったのも不可解でした。レフェリーの誤審も何かと話題になったシーズンでしたが、そのなかでも「世紀の誤審」と呼ぶにふさわしい大ミス。試合後のFAとレフェリーの狼狽ぶりも、なかなかの事件だったと思います。

8位のパーデュー監督は、一時の激情で大きなものを失いましたね。こともあろうに、ピッチで相手選手に頭をゴン！罰金2700万もベンチ入り禁止もさることながら、終盤のニューカッスルの6連敗は、監督が選手の信頼を失ったことと無縁ではないでしょう。OBアラン・シアラーに「辞任すべき」とまでいわれたパーデューさんは、来季続投するのでしょうか。ここまで崩れてフィニッシュとなると、トップを変えないと立て直すのは難しいのではないかと思いますが…。

そして、毎年繰り広げられるプレミアリーグ残留バトルでは、サンダーランドの健闘が光りました。ポジェ監督を救ったのは、マン・シティ、チェルシー、マン・ユナイテッドから勝ち点7を奪う原動力となった、21歳のコナー・ウィッカム。プレミアリーグ優勝クラブと3位からの3ゴールは、お見事でした。思わず笑ってしまったのは、最終戦手前までの5試合を4勝1分けで駆け抜け、残留を決めたサンダーランドが、最終戦は抜け殻のようになって、ホームでスウォンジーに負けたことです。サッカーに勝つためには、やはり気合いは大事です。

6位のアーセナルFAカップ制覇について、ひとつだけ添えたいのは、今季のアーセナルはケガ人だらけだっただけでなく、クジ運も最悪だったということです。キャピタルワンカップでは、4回戦で早々にチェルシーと当たって敗退。チャンピオンズリーグは決勝トーナメント1回戦で優勝候補筆頭だったバイエルン・ミュンヘンと激突。FAカップでも、リヴァプール、エヴァートンとぶつかっての優勝です。グーナーのみなさんは、最近タイトルを獲ってなかったからか、「上位に勝てない」「チャンピオンズリーグで勝てない」と、悪いところに目がいきがちですが、私は逆に「よくまあこのケガ人とクジ運でタイトル獲ったなぁ」と感心します。もっと胸張って威張りましょうよ。価値あるタイトルを手にしたのですから。

長くなりましたので、「前年王者凋落、監督解任ラッシュ、SAS…2013-14プレミアリーグ10大ニュース！【後篇】」に続きます。