偏愛的プレミアリーグ見聞録

よっぽど、プレミアリーグに来たかったのでしょうね。マンチェスター・ユナイテッドの監督就任が発表されたファン・ハールさんの大放言大会が始まっています。監督がこんなにうれしそうに夏以降の話ばかりしていて、ワールドカップのオランダ代表は大丈夫なのでしょうか。しかも、たった数日にもかかわらず、その発言はいちいちデンジャラス。さっそく、「危ないファン・ハール最新語録」を一部紹介いたしましょう。

「今回の話が決まって、最初にメールしたのも返信をくれたのも（バルセロナ監督時代、アシスタントコーチとして補佐してくれた）モウリーニョ。彼は、私の監督就任を祝福してくれていたよ。今まで私が率いたクラブのリストに嫉妬する、と言っていたね」
…私信をこんなにあっけらかんとバラして大丈夫なのでしょうか。しかも相手は、こういうことを最も嫌がりそうな、プライド高き「元スペシャル・ワン」です。

「私のほうからマンチェスター・ユナイテッドに電話したことはない。バイエルン・ミュンヘンもそうだ。いつでも電話はクラブからもらっており、それを誇りに思っている」
…そりゃあ、そうでしょう。逆に若手監督は恐れ多くてビッグクラブに電話なんかできません。「どう？私、モテるでしょ？」といわれているようで、絡みづらいことこのうえなし。この発言に対するほとんどの人の反応は「はあ…」でしょう。

「サー・アレックス・ファーガソンとは、間違いなく近いうちに1杯いくよ。私たちは、今までも何度か飲みに行っている。彼とはうまくやっていけるだろう。私が仕事をする上で、彼の存在が問題になるとは思わない。なぜならいちばん私にプレッシャーを与えているのは、他ならぬ自分自身だからだ」
…サー・アレックスのお好きなワインでも、どうぞ、存分に飲んでください。これもまた、俺様モード爆発です。

「ファン・ペルシは私のキャプテンであり、私が指揮した1年半のオランダ代表で、トップスコアラーだ。彼はオランダ代表の歴代最多得点プレイヤーでもあり、ファンタスティックなストライカーで、そのパフォーマンスには満足している。キャプテンを選ぶときには、自分と共通した意識や哲学を持ったプレイヤーを選ぶものだ。ファン・ペルシと私は同じ哲学を共有している」
…あらあら、「キャプテンをやりたい」といってくれている、ウエイン・ルーニーと面談する前にそんなことをいっちゃって大丈夫ですか!?

やはり、今回の監督交代は、劇薬注入だったようです。来季のプレミアリーグでは、モウリーニョ、ファン・ハール、ペジェグリーニ、ヴェンゲル、ロジャースの5人が、今季よりもさらに激しく、ピッチの外でもやり合うのでしょうね。あまりに濃すぎて、もう既に私は引き気味ですが、ときどき深呼吸でもしながら、せいいっぱい、場外バトルを楽しませていただくこととしましょう。

さて、ファン・ハール監督就任が決まれば、次の話題は当然、補強。ゴシップ大好きイギリス人が、このおいしいネタを放置するわけがありません。イギリス紙の新シーズン関連記事も一気にヒートアップ。「ガーディアン」によると、補強予算は250億円を超えるとのこと。「デイリー・メール」が、マンチェスター・ユナイテッドの補強候補選手を解説すれば、「caughtoffside」は、ファン・ハール監督がクラブに渡した獲得希望リストとして8人の名前を掲載。昨日はさらに「アリエン・ロッベンに触手」と報道しています。まずは、ファン・ハール直々のオーダーとされる「獲得希望選手リスト8+1」の顔ぶれを紹介しましょうか。

ウィリアム・カルバーリョ、トマス・ミュラー、マルコ・ロイス、ルーク・ショー、トニ・クロース、ケビン・ストロートマン、マッツ・フンメルス、エディソン・カバーニ、そしてアリエン・ロッベン。

このなかで、ストロートマン、トニ・クロース、ルーク・ショー、フンメルスは、「デイリー・メール」の予測記事と重なっており、より有力なのでしょう。これらの記事が、どこまで信頼できるのかはわかりませんが、事実だとすればナニとアシュリー・ヤングは完全にお払い箱。香川真司とチチャリートも危険。トム・クレヴァリーは出番なしです。私がぜひ獲ってほしいのは、トニ・クロース、フンメルス、ルーク・ショー、あと…あれ？デイリー・メールと完全にかぶっちゃいました。もしかしたら彼らの記事は、予測でも分析でも何でもなく「願望記事」だったのかもしれません。

というわけで、直近で熱いのはマンチェスター・ユナイテッドですが、今後すぐに火が着きそうなリヴァプール、アーセナル、トッテナムはじめ、プレミアリーグの移籍関連情報については随時、お伝えしてまいります。しかし、トニ・クロース30億円は安すぎるような…。