偏愛的プレミアリーグ見聞録

「Coronavirus: Premier League clubs committed to completing season（コロナウイルス：プレミアリーグのクラブは、シーズンを完了させることにコミット/BBC）」。今季限りの契約となっている選手たちが、6月30日までで現在の契約が切れてしまうという問題をクリアするために、一部のクラブが「2019-20シーズンは7月以降は行われない」というデッドラインを主張していました。このテーマについて、プレミアリーグは、金曜日にクラブの代表者によるリモートの会議を開催。2時間もかからず散会となった議論では、6月30日という期限は設けられませんでした。まずは、プレミアリーグのスポークスパーソンが発表したステイトメントを紹介しましょう。

「プレミアリーグとクラブは、他のビジネスや業界と同じく、複雑な今後のシナリオ作りに取り組んでいます。放送関係のパートナーなどの関係者と密に連携しており、政府の全面的なサポートによって安全と判断された場合に再開すると確認しました。選手、監督やコーチ、スタッフ、サポーターの健康と安全が最優先であり、医療ガイダンスにより許可を得てから再開となります」

「本日の会議では、スケジュールモデルについて議論がなされました。2019-20シーズンの完了が目標であることは変わらないものの、コロナウイルスの影響が拡大している状況下であり、すべてのスケジュールは暫定的です」

現在、イギリスにおける感染者は12000人を超え、政府はロックダウンの3週間延長を発表しました。プレミアリーグ再開の第一条件は、「安全かつ適切に開催できると政府が判断し、ゴーサインが出ること」です。残り92試合が始められる前に、選手たちはコロナウイルスに感染していないことを証明する必要がありますが、これについても「国民が広く一般に検査を受けられる状況」が前提となります。「BBC」の名物ジャーナリスト、サイモン・ストーンさんは、「現在は、議論を広げるのに適切な時期ではなかったという感触がある。個々のクラブは、サラリー引き下げと短期間の契約延長について選手たちと交渉しつつ、来週開催されるUEFAの会議がどうなるかを注視するはずだ」とコメントしています。

プレミアリーグを取り巻く現状と、金曜日の議論の中身を伝える「BBC」の記事を読んでいて興味深かったのは、以前に彼らが実施したアンケートの結果です。「プレミアリーグは、2019-20シーズンをどうすべきか」と題された投票で1位だったのは「シーズンを無効とする」で、39％の支持を集めています。「どれだけ時間がかかってもシーズンを完了させる」が28％で2位となっており、「今すぐ終了として順位を確定」「できるだけ早く、短期間のフェスティバル・オブ・フットボールを開催して決着をつける」がいずれも12％。1試合あたりの平均ポイント数で順位をつけるという案は、8％しか得られませんでした。

有効と無効は、61対39。残り試合を実施するべきか否かで分けると、40対60となります。意見が割れていますが、「現在の順位テーブルのままで確定させることには、概ね否定的」と捉えるのが妥当なのではないでしょうか。サイモン・ストーンさんは、「トレーニングに戻って試合に耐えられるフィットネスを回復させ、9ラウンドのゲームをプレイしてシーズンを完了するのに、8週間という期間は充分と感じている」といっています。予断を許さない状況ではありますが、ドイツのクラブはトレーニングを再開しており、セリエAは5月上旬のウイルステストを行う準備を進めています。プレミアリーグにも、1ヵ月以内に光が差してくると信じて、静かに待ちたいと思います。