偏愛的プレミアリーグ見聞録

2015-16シーズン、極度の不振に陥ったチームを立て直せなかったジョゼ・モウリーニョが解任となったのは衝撃的な事件でした。前シーズンのプレミアリーグを制した名将が率いるチームは、当然の優勝候補筆頭でしたが、新加入のペドロ・ロドリゲスはフィットするのに時間がかかり、ラダメル・ファルカオは沈黙。ジエゴ・コスタは明らかにコンディション不良で、テリー、アザール、マティッチが連鎖的にスランプに陥る惨状でした。全試合を消化したシーズンを5位以下で終えたことがなかった指揮官が、降格を心配しなければならないポジションに落ちるとは…。スタンフォード・ブリッジを追われた指揮官は、3年後のマンチェスター・ユナイテッドで同じ失敗を繰り返してしまいました。

「ペップ・グアルディオラのチームが崩壊するかもしれない」などといえば、多くのプレミアリーグファンの嘲笑に耐えなければならなくなるでしょう。2017-18シーズンのプレミアリーグは、32勝4分2敗で史上初の勝ち点100に到達し、ぶっちぎりの初制覇。リヴァプールとのマッチレースとなった昨季は、終盤の14連勝で首位の座を譲らず、 2008-09シーズンのマンチェスター・ユナイテッド以来となる連覇を達成しています。

エースのアグエロと、今季プレミアリーグアシスト王のデブライネはワールドクラス。左右から斬り込んでくるスターリングとマフレズも、リヴァプールのウイングに負けず劣らず破壊力抜群です。ベルナルド・シウヴァのピンポイントクロスや、バンジャマン・メンディ＆カイル・ウォーカーの強引なオーバーラップも簡単には止められません。中盤を仕切るロドリは、試合を経るごとにフィット感を高めていくでしょう。リーグ屈指の守護神エデルソンの前方を抑える4人は、ラポルテの離脱さえなければ大崩れは考えられません。

ペップが創り込んだコンセプチュアルなチームが、今もって最強の称号にふさわしいのは重々承知です。それでも私は、3連覇を逃したチームに一抹の不安を覚えるのです。「指揮官が納得する補強ができなければ、次のシーズンの彼らは大苦戦するのではないか」と。懸念材料は、ダヴィド・シルヴァの離脱、フェルナンジーニョやオタメンディの衰え、レロイ・サネのバイエルン移籍の可能性、若手やサブの選手たちの停滞感、そして未だ決着していない「チャンピオンズリーグ出場権剥奪によるモチベーションの喪失」です。

フィル・フォーデンやギュンドアンは、シーズンを通じてダヴィド・シルヴァの抜けた穴を埋められるのか。アグエロやジョン・ストーンズなど負傷が多いキーマンが離脱したとき、好不調の波があるガブリエウ・ジェズスやオタメンディは機能するのか。ジョゼ・モウリーニョが味わった苦しみには至らないかもしれませんが、チェルシーやマンチェスター・ユナイテッド、アーセナルとのTOP4争いに呑み込まれる可能性は充分にあるのではないでしょうか。

「テレグラフ」が、「バイエルンがレロイ・サネ獲得に向けて5000万ポンドのオファーを準備している」と報じています。マン・シティがこれを容認するのは、代役の目星がついたときでしょう。彼らが弱点を放置したまま、開幕を迎えるとは思えません。来季も優勝候補です。しかし現在、彼らの前にはコロナウイルス蔓延による経済的なダメージと、スポーツ仲介裁判所預かりとなっている厳しいペナルティの予感が横たわっています。

再開後のプレミアリーグ9試合の戦績と、勝ち残っているチャンピオンズリーグの結末が、来季のマン・シティが王国を維持するのか、普通の強いチームに堕するのかの予兆となるような気がしています。私のチェックポイントは、スターリングとフェルナンジーニョです。少し先の話になりますが、ペップと選手たちがどういう形で苦しいシーズンを畳むのかに注目したいと思います。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします！

---

“王国崩壊はありえるのか…マンチェスター・シティが抱える5つのリスク。” への2件のフィードバック

1. gpj より:

   2020年5月14日 11:38 PM

   どうでもいいかもですが、ロシアw杯関連の記事等、過去記事一部がアクセスすると全てファルカオのチェルシー移籍記事に飛んでしまいます。。。

   返信
2. makoto より:

   2020年5月17日 1:42 PM

   gpjさん＞
   ご指摘ありがとうございました。修正しました。

   返信