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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグ&FAカップで4連勝!攻撃が活性化したアーセナル、改善の理由と今後の課題。

ミケル・アルテタ監督が解任寸前と報じられた背水の陣…ビッグロンドンダービーを3-1で勝ち切ってから、プレミアリーグとFAカップで4連勝。「アーセナルが完全に復調」と見出しを立てるのは、オーバメヤンが量産モードに入るまで待ったほうがよさそうですが、深刻なゴール欠乏症に陥っていたひと頃の危機は乗り切ったといっていいでしょう。プレミアリーグ14節までは、1試合あたりのシュート数が10.4本しかなかったのですが、直近3試合は15.7本で、リーグ2位のマンチェスター・シティのシーズン平均を上回っています(1位は15.9本のアストン・ヴィラ!)。アーセナルは、どこが変わったのでしょうか。あらためて、直近の戦いを振り返ってみたいと思います。

話を始める前に、前提として挙げておきたいことが、ひとつあります。4連勝にケチをつけるわけではないのですが、チェルシー戦以降の3試合は、相手に恵まれていたのは確かです。0-1と苦戦したブライトンは、プレミアリーグ17位。0-4で圧勝したWBAは19位で、サム・アラダイス監督に代わって4戦めと突貫工事中のチームでした。FAカップで延長戦にもつれ込んだニューカッスルは15位。攻撃が活性化したとはいえ、上位と当たった際にゴールを決められるかどうかは、今後の試合を見てみないとわかりません。

それでも、アタックについては明確に変わったといえるでしょう。キーマンは、チェルシー戦で大抜擢されたスミス・ロウ、ユーティリティと突破力が魅力のサカ、クロスの質が高いティアニー、最前線で拠点を築けるラカゼット。戦術的な表現をするなら、「パス&ゴーをさぼらないスミス・ロウが、スペースを突く動きで守備網を混乱させている」「常にラカゼットの居場所を把握しているサカが、縦パスとドリブルで攻撃をスピードUPさせている」「DFを背負いながらワンタッチで味方につなげるラカゼットが、連動性を高めている」「サイドアタックに専念できるようになったティアニーが、質の高いクロスとアグレッシブな仕掛けて決定機を生んでいる」といったところでしょうか。

チェルシー戦では、左サイドでリース・ジェームズを抜き去ったティアニーがPKをゲット。ジャカの素晴らしいFKで追加点を奪うと、スミス・ロウのパスを受けたサカがループシュートをファーポストの内側に当てて勝負を決めました。ブライトン戦のサカのドリブルは、ニアにいたラカゼットにいつ出すかを考えながら進んでいるように見えました。WBA戦の先制点は、ファーロングをかわしたティアニーの完璧なコントロールショット。2点めこそが、現在のチームの真骨頂です。サカに縦パスを出したスミス・ロウのスプリントと、サカからもらったラカゼットのダイレクトタッチが、スミス・ロウのグラウンダーをサカというフィニッシュのキーポイントでした。

3点めは、サカのクロスをクリアし切れなかったアジャイのミス。スミス・ロウの強烈な一撃は何とかブロックしたものの、こぼれ球を外さないラカゼットの前に転がったらジ・エンドです。4点めは、ティアニーの完璧な高速クロス。ラカゼットにボレーを決めさせた左SBは、ニューカッスル戦でもオーバメヤンのダメ押しゴールをお膳立てしています。

90分をスコアレスで過ごしたFAカップ3回戦の決勝ゴールは、WBA戦のゴールの応用編。好調の3人のストロングポイントを凝縮した美しいショートカウンターでした。敵陣で奪ったスミス・ロウがダイレクトでサカに預け、すかさずスプリント。ラカゼットの居場所はわかっているサカが浮き球を出すと、DFをプロテクトした9番がヘッドで右に流し、スミス・ロウがフリーになりました。4連勝のMVPは、3ゴール1アシストのラカゼット?1ゴール2アシストでPKも得ているティアニー?1ゴール2アシストのスミス・ロウ?2ゴール1アシストで、ニューカッスル戦のゴールにも絡んだサカ?難解な4択に、正解を求めなくてもいいのではないでしょうか。

最後に、守備についても触れておきましょう。コロナウイルスに感染してしまったガブリエウ・マガリャンイスも、穴を埋めたパブロ・マリも最終ラインの安定に貢献しており、サイドアタックに対する強度は確実に高まっています。2-0で敗れたトッテナム戦以降のプレミアリーグ6試合で、オンターゲットを4本以上打たれた試合はゼロ。オープンプレーからの失点は2つしかありません。気になるのは、中盤のチェックです。1試合あたりのタックル数とファールの回数はリーグ最下位で、相手の2列めに対してもっと強くいったほうがいいのではないかと思います。

今後の課題を挙げるとすれば、クロスの精度を高めること、サカが絡まなくても速攻を決められるようになること、連動性のあるアタックを増やすことでしょう。ニューカッスル戦の2点めで見せたティアニーとジャカのパス交換のようなプレイを意図的に狙えるようになれば、オーバメヤンが完全復活するはずです。ガブリエウ・マガリャンイスとトーマス・パーティーが復帰し、マルティネッリが本領を発揮できるようになれば、攻撃に厚みが増して上位と伍するチームになるのではないでしょうか。次節はクリスタル・パレス、その次はニューカッスル。キーマンたちの躍動を期待しましょう。


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