2023.05.18 アーセナルの話題
あれから3年7ヵ月、彼は変わった。ノースロンドンに別れを告げると報じられたジャカに思うこと。
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レヴァークーゼンから声がかかっているという話は、月初から聞こえてきていました。グーナーはもちろん、プレミアリーグのファンは、彼に関するゴシップに慣れています。移籍金1300万ポンド(約22億4000万円)はリアルだな…ぐらいの反応で、スルーした人が多かったのではないでしょうか。
今季プレミアリーグで35試合5ゴール7アシスト、公式戦トータルでは7ゴール。アルテタ監督が導入した偽SBのシステムにフィットし、攻め上がりが増えたグラニト・ジャカは、今やなくてはならない存在です。プレミアリーグのイエロー4枚は、入団以来最少。苦しい展開のゲームでチームメイトを鼓舞する姿は、世界じゅうのグーナーのテンションを爆上げしました。
彼の去就に関する話がにわかに盛り上がったのは、ファブリツィオ・ロマーノさんが冒頭のツイートを発信したからです。日本時間の5月17日、0時43分。トランスファーマーケットの最新事情に精通するジャーナリストは、「退団が決まった」「新契約に関する交渉はなく、6月にお別れ」「行き先はレヴァークーゼンで、移籍金は1500万ユーロ(1300万ポンド)」といい切っています。
チャンピオンズリーグの出場権を手に入れたのに、なぜ…!疑問に対する答えは、ツイートの最後の行に添えられていました。「2027年6月までの4年契約で、個人条件はほぼ合意している」。30歳になったMFにとって、4年という長期契約はあまりにも魅力的です。アーセナルは、同等の条件を提示できないと判断し、本人の意向を汲んだのでしょう。
ボルシアMGからアーセナルに移籍したのは、2016年5月。当時の指揮官はアーセン・ヴェンゲルで、レスターに次ぐ2位で終わったシーズンの直後でした。当初の印象は、ハードワーカーではあるものの、守備時のポジショニングと体の使い方に難があるプレーヤー。デュエルで不利な体勢になるシーンが多いため、余計なファールをしてしまうのが気になっていました。
まじめでハートが強く、チームメイトからリスペクトされる一方で、最初の4年は2ケタのイエローカードを記録しており、激しやすい性格が課題でした。多くのグーナーの脳裏をよぎるのは、2019年10月27日のクリスタル・パレス戦でしょう。途中交代となり、ピッチを去るときにブーイングを浴びたジャカは、キャプテンマークを投げ捨ててスタンドに悪態をついてしまいました。
ウナイ・エメリ監督にキャプテン剥奪を告げられたジャカは、オフシーズンを待たずにチームを去るのではないかと噂されました。アルテタ監督が就任し、もう一度アーセナルでがんばろうと決意してからも、移籍ゴシップは絶えませんでした。
2021年にはローマに行くという話があり、昨夏はティーレマンス獲得のために放出される可能性があると報じられました。1年前までは、売却してもいいという声が少なからずあったと記憶しています。しかし今、彼の移籍の報を聞いたグーナーたちは、「ショック」「残ってほしい」「代えが効かない」と叫んでいます。
ジンチェンコが中央に絞るフォーメーションのなかで、時にサイドをカバーし、左から攻める際にはゴール前に突っ込み、CBと中盤と前線をリンクさせる…今季のガナーズで彼が担った役割は、簡単な仕事ではありませんでした。努力を続け、結果を出して自らの評価を変えた素晴らしいプロフェッショナルに、惜しみない拍手を送りたいと思います。
願わくばあと1年…入団初年度以来となるエミレーツのCLの雰囲気を味わってから、次の旅を始めてほしかったという思いがあります。しかし彼は、自らのキャリアと家族のために、今こそ新しいステージを選ぶタイミングと思い定めたのではないでしょうか。
人は変わる。周囲を変えられる。そんな大事なことを教えてくれた稀有な存在でした。これからプレミアリーグを長く見続けていくなかで、「あの選手は終わった」「チームに不要だ」などと、軽々にいわないようにしようと心に決めています。
最終節のウルヴス戦の後、彼はどんな表情でピッチから去っていくのでしょうか。すべてをやりきった人間が見せる晴れやかな笑顔に出会えればと期待しています。
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人は変わる、周囲を変えられる。
仰る通りだと思います。感動しました。
アンフィールドで相手サポを焚き付ける未熟な対応。ジャカ関係無く周りが変わった。プレミアでは幻滅するほどのアジリティの低さ。もう十分です。ありがとうございました。より結果を求めるなら彼の別れは前向きに捉える事象です。