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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ジェズス、カイ・ハヴェルツ、トロサール…ドバイをきっかけに激変した3人のストライカーの明暗。

2023年のプレミアリーグは、12勝4分4敗。37ゴール20失点のアーセナルは4位に留まっており、首位リヴァプールに5ポイントの差がありました。ところが年が明けると、13勝1分1敗の快進撃。48ゴール8失点という文句なしの数字を残し、最前線が課題と指摘していたジャーナリストたちを黙らせています。

ウインターブレイクに実施したドバイ合宿は、結束力をもたらしただけでなく、アルテタ監督の戦術のアップデートという想定外の効果もあったようです。エースとしてゴールを量産するはずだったジェズス、前線のスーパーサブだったトロサール、ジャカの後継者として加わったカイ・ハヴェルツ…化学変化を起こしたかのように、彼らの評価は激変しました。

今となっては、「3人のストライカー」と表現しても違和感はないでしょう。ワールドカップカタール2022で右膝を負傷して手術を受けたジェズスは、新たなシーズンに入っても膝とハムストリングを痛めてしまい、年末までのプレミアリーグは14試合3ゴール1アシスト。なかなかペースが上がらなかったものの、チャンピオンズリーグでは最初の4戦で4ゴールをゲットしています。

ドバイから戻ってきた後、巻き返しが期待された9番は、2月に入るとこの1年で3度めとなる膝の負傷でリタイア。ノッティンガム・フォレスト戦で1ゴール1アシストを決め、調子を上げてきた矢先のアクシデントでした。復帰後のプレミアリーグは、7戦ノーゴール。CLのノックアウトラウンドでは先発ゼロで、バイエルン戦でトロサールの同点ゴールをお膳立てしただけでした。

「最後に痛みを感じずにプレイしたのがいつだったか、覚えていない」。トップフォームを取り戻せないストライカーからポジションを奪取したのは、勝利を重ねるごとにフィット感を高めていたカイ・ハヴェルツです。2月まではCFで2試合しかプレイしていなかった29番が、再び最前線にコンバートされたのは、2月24日のニューカッスル戦でした。

1-0の24分、右に流れたマルティネッリの折り返しに走り込んで右足でプッシュ。4-1で快勝したこの試合が、ゴールラッシュの幕開けとなりました。直近のプレミアリーグ10試合のうち、最前線に入った8試合は7ゴール5アシスト。左のインサイドは、10年前からプレイしていたかのようにデクラン・ライスが仕切っています。

前半戦は3ゴールだったトロサールも、ドバイをきっかけに激変した選手のひとりです。公式戦19試合9発、プレミアリーグは15戦7発。CLのポルト戦とバイエルン戦では、トータルスコアをイーブンに戻す貴重なゴールを決めており、左サイドでも中央でも結果を出し続けています。アルテタ監督は毎試合、右ウイング以外のポジションの人選に悩まされているのではないでしょうか。

ジェズス、エンケティア、トロサールだった最前線の序列は、「カイ・ハヴェルツと他の3人」に変わった感があります。ヘッダーと左足はカイ・ハヴェルツ、右足はトロサール。ショットコンバージョンが最も高いのは43%のカイ・ハヴェルツで、精度の高いクロスはトロサール。チェルシーから来たドイツ代表はデュエルも強く、ジェズスがNo.1といえるのはドリブルだけです。

得点力が高まったアーセナルの来季の最前線は、どんな陣容になるのでしょうか。「アスレティック」のジェームズ・マクニコラス記者は、「買い手が現れれば、ジェズスは売却される可能性がある」とレポート。「新たなストライカーを獲得するプランは消えておらず、エンケティアとジェズスを手離すという話はオープンになるだろう」と付け加えています。

「アーセナルが売却を検討しているという事実は、劇的な変化だ。かつて新生アーセナルの看板だった選手は、端に追いやられている。アーセナルには、ジェズスのクオリティやキャラクターを疑う者はいない。となると問題は、彼のフィットネスとフィニッシュの両方に対する信頼性だろう」

カイ・ハヴェルツはビッグチャンスの48%をものにしており、58本のシュートで12ゴール。ジェズスは30%しか決めておらず、54本で4ゴールに留まっています。マン・シティで公式戦53試合23ゴール14アシストという数字を叩き出した4年前のレベルを取り戻せれば、エドゥSDはサウジアラビアに売り込む必要がなくなります。

ジェズスの復活はあるのか。カイ・ハヴェルツがエースとして君臨するのか。あるいは新たなストライカーが9番を身に纏うのか。トロサールは変わらず、淡々とゴールを積み上げていくのでしょう。ゴールもアシストも美しいブラジル代表のストライカーが、晴れやかな笑顔でトロフィーを掲げる姿を見たいのですが…。


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