イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ギョケレスに8400万ポンドを投じても黒字で着地?アーセナルの移籍収支をシミュレーション!

リカルド・カラフィオーリはロンドンでメディカルチェックを行い、無事に移籍が決まりそうです。レギュラーポジションは、CBか偽SBか。彼の加入で、ティンバーとジンチェンコがどこで起用されるのかがわからなくなりました。ミケル・メリノを獲得すれば、トーマスとファビオ・ヴィエイラが居場所を失い、ギョケレスが最前線ならカイ・ハヴェルツとジェズスの出番が減りそうです。

ミケル・アルテタ率いるアーセナルは、プレミアリーグのトロフィーをペップのマン・シティから奪うために、さらなる進化を遂げています。この夏のトランスファーマーケットで特筆すべきは、3人のワールドクラスを引き入れても、収支はさほどマイナスにならない可能性があることです。ターゲットといわれる選手を並べて、補強と売却の総額をそれぞれ試算してみましょう。

まずは、使うお金を足し込んでみます。ブレントフォードから買い取ったダヴィド・ラヤは2700万ポンド、カラフィオーリ獲得でボローニャに支払う移籍金は、アドオン込みで4200万ポンド。レアル・ソシエダとの契約が残り1年のミケル・メリノは、2100万ポンド程度でいけるといわれており、ギョケレスとスポルティングCPの間にあるバイアウト条項は8400万ポンドです。

アヤックスから来たGKトミー・セットフォードはタダ同然で、5人のトータルは1億7400万ポンド。これに対して、ラツィオにローン移籍したヌーノ・タヴァレスの買取オプションは500万ポンドで、セヴィージャに貸し出したサンビ・ロコンガは1000万ポンドで完全移籍となります。フラム入団が決定的といわれるスミス・ロウは、3500万ポンドをもたらしてくれそうです。

今後、売却の可能性があるのは、マルセイユと交渉中のエンケティア、レスターから打診があったリース・ネルソン。アーセナルは、エンケティアに3000万ポンド、ネルソンは2000万ポンドを要求していると報じられています。ここまでの5人で1億ポンド。潜在的な売却候補といわれているラムズデールとトーマスは、2人合わせて4000万ポンド以下にはならないはずです。

カラフィオーリの獲得で、キヴィオルも出ていくことになりそうな雲行きです。契約は残り4年で、インテルとミランが興味ありと伝えられた際に出ていた1700万ポンドを譲る気はないでしょう。ユーロ2024で負傷したキーラン・ティアニーの移籍は、冬にずれ込むのでしょうか。彼に2000万ポンド以上のタグが付けば、単純なプラスマイナスは黒字に転じます。

ただし会計上の収支やキャッシュフローとなると、支払いサイト、売上と減価償却費の相殺、年度内に計上するかどうかなど、さまざまな要素が混じるので、外からは計算できません。今年度は、移籍金がそのまま利益となるユース出身の売却が多く、ストライカー以外にハイリスクな投資がないので、悪くない決算に落ち着く可能性が高いといえるでしょう。

そして実際のディールも、なかなか買い手が見つからなかったり、移籍金を下げざるを得なかったり、買取オプションが行使されなかったり、いろいろなことが起こります。今いえるのは、エドゥSDによって補強を若手にシフトしたアーセナルは、ベテランがフリーで退団という残念な終わり方がなくなり、余剰戦力もそれなりのお値段で売れるようになったということです。

「スカイスポーツ」のメリッサ・レディ記者によると、カラフィオーリの獲得は数ヵ月前から準備が行われており、ユーロの前に決まらなかったのは「大会に集中したい」という本人の希望を尊重したからだそうです。イタリア代表での大活躍を見たアーセナルのスタッフは、「移籍金が爆上がりするかも」とジョークを飛ばしていたといいます。

レアル・マドリードのハイジャックが失敗したのは、エドゥSDがすべてをまとめ上げた後だったから。ボローニャとの交渉が難航している最中も、密なコミュニケーションで納得感が高まっていた選手は、チェルシーからの誘いを断っています。的確なマーケテイングと入念なリサーチ、ターゲットをその気にさせるトークも、近年の補強におけるアーセナルの強みです。

「アーセナルには、明確なヴィジョン、マネージャーとスポーツディレクターの素晴らしい関係、効果的で持続可能なプロセス、そしてソリッドなスカッドがある。エドゥは『成功とは何か』と自問するのが好きである。彼らは既に、成功しているといえるだろう。あとは、より多くのトロフィーで裏打ちするだけだ」(「スカイスポーツ」メリッサ・レディ)

必要な人材は揃いつつあり、戦う体制は整っています。今後問われるのは、理想に近づいたスカッドを指揮官が活用し切れるかどうかです。サカ、カイ・ハヴェルツ、マルティネッリを並べて勝った3日後に、ジェズス、ギョケレス、トロサールで圧勝する姿を見られれば、グーナーの多くがプレミアリーグ制覇とビッグイヤー獲得をリアルにイメージできるようになるでしょう。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“ギョケレスに8400万ポンドを投じても黒字で着地?アーセナルの移籍収支をシミュレーション!” への1件のコメント

  1. アイク より:

    今日も面白い記事をありがとうございます。クラブ全体が健全性を保ちながらどんどん進化している姿に、驚きと賞賛の気持ちを覚えます。
    控えまで含めたスカッドの充実はレアル以外のどのクラブも悩ましい問題だと思います。アグエロがいるポジションに補強によって競争を生み出すペップの域まで、アルテタは到達できるかもしれませんね。ワールドクラスにベンチを受け入れさせるという難題すらもこのまま解決してしまうのか、大変興味を持ってウォッチしております。

コメントを残す