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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ウインガーの不振、歪なスカッド、左サイドの連携…開幕3試合で見えてきたアーセナルの課題。

ウルヴスとアストン・ヴィラに2-0で連勝した後、エミレーツのブライトン戦は1-1ドロー。デクラン・ライスのレッドカードというアクシデントがあったとはいえ、「1-0で畳めなかったのか?」と悔やむ声も多かったようです。今やチームに欠かせないMFが、プレミアリーグ245試合で初の退場となったのは49分。そこから失点までの9分で、5本のシュートを許しています。

ルイス・ダンクの縦パスで、ヤンクバ・ミンテがラインの裏に抜けた失点シーンは、ひとり少ないのにラインを上げすぎたのが致命傷となりました。ニューカッスルから来た20歳のウインガーが、サリバの背後に出た瞬間は4対4。ウェルベックはフリーになっており、トーマスがジョアン・ペドロを追わなかったのが数秒後のゴールにつながってしまいました。

同点になったのをきっかけにゴール前の守備を強化し、敗戦を回避したのは評価できるものの、現在のアーセナルの課題が露呈した一戦でした。カイ・ハヴェルツ、ブカヨ・サカ、ダヴィド・ラヤの好調はポジティブですが、数人の選手といくつかのポジションが潜在的なリスクになっています。最も気になるのは、マルティネッリの停滞です。

2022-23シーズンのプレミアリーグで、36試合15ゴール5アシストという素晴らしい数字を残したアタッカーは、昨シーズンは35試合6ゴール4アシスト。カットイン対策が進み、シュート数は79本から58本に落ちてしまいました。開幕から3試合連続出場の今季は、171分で1本のみ。ドリブル突破を試みて、難しければ戻すという単調なプレイに終始する試合が増えています。

最大の理由は、サイドに流れてサポートしてくれていたジェズスと、シュートレンジにパスを送り続けたグラニト・ジャカの不在でしょう。彼を活かすためには、中央に絞る偽SBと左のインサイドMFのフォローが必要です。サカ、ウーデゴーア、ベン・ホワイトの連携がスムーズな右サイドと比べると、左は足元へのパスが多く、崩しのバリエーションが少ないのが課題です。

ブライトン戦でパス成功率47%と散々な出来だったウーデゴーアも、3試合でシュート3本というもの足りない数字が目に付きます。こちらはいずれエンジンがかかると、楽しみにしていればいいのでしょうか。開幕からの5ゴールはすべてサカが関与しており、インサイドMFが打つ形を創れなければ、ポイントを落とす試合が増えてしまうでしょう。

3つめのリスクは、歪なスカッドです。シェシュコを獲り逃したのにエンケティアを放出し、カラフィオーリを獲得したのにティアニーやキヴィオルを手離せなかったチームは、最前線と中盤が脆弱で左SBがダブついています。「ほしい選手を手に入れた」とはいえても、「チーム作りは成功だった」とはいえないでしょう。

キヴィオル、ティンバー、カラフィオーリ、ジンチェンコに加えて冨安健洋も候補となる左SBと、マルティネッリ、トロサール、スターリングが鎬を削る左ウイングは、不満が溜まりやすいポジションです。トロサールとスターリングのセンター起用や、ジンチェンコを中盤にまわすなどの工夫がなければ、フィジカルとメンタルのマネジメントの難易度が高まります。

スターリングは今季限りのスーパーサブで終わるのか、黄金時代の一員としてグーナーの記憶に残るのか。アーセナルは、ときどき出場する選手にチェルシーが支払っていた高額サラリーを出す気はないでしょう。減額を呑んで残るという道ですら、可能性は高いとはいえません。彼が最初になすべきは、早期に目に見える結果を出してチームメイトの信頼を得ることです。

スミス・ロウとファビオ・ヴィエイラを手離したチームは、ミケル・メリノの負傷とデクラン・ライスの出場停止で、早くも左のインサイドの人選で悩まされています。ノースロンドンダービーは、トロサールを下げるのか、ヌワネリ抜擢か、ジンチェンコのコンバートか。「昨季よりも強くなった」といえるようになるには、目の前にある課題をクリアしなければなりません。


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