2024.10.19 アーセナルの話題
78%はリーグNo.1!最前線に蹴り出すダヴィド・ラヤのゴールキックは、アルテタ戦術の新機軸…?
ベンヤミン・シェシュコは194cm、ヴィクトル・ギョケレスは187cm。ストライカー獲得をめざしていた夏、アルテタ監督のなかには既にこの構想があったのでしょう。プレミアリーグファンの多くが、意外と感じるであろう事実を紹介しましょう。今季のアーセナルは、ゴールキックからビルドアップをスタートせず、前線にロングボールを蹴る率がNo.1のチームです。
2023-24シーズンのアーセナルは、40メートル以上のゴールキックは34%で14位でした。しかし現在のダヴィド・ラヤは78%で、ジョーダン・ピックフォードの63%を大きく上回るぶっちぎりのTOPです。50%を超えているチームは6つしかなく、ガナーズとトフィーズ以外はノッティンガム・フォレスト、イプスウィッチ、ウェストハム、レスター。ビッグ6はひとつもありません。
マンチェスター・ユナイテッドのオナナは26%で、マン・シティのエデルソンは25%。リヴァプールは16%に留まっており、何が何でもつなごうとするブライトンは7%です。トッテナムのグリエルモ・ヴィカーリオは0%!GKが両脇のCBに預けて、ビルドアップを始めるのが主流となっているなかで、アルテタ監督は意図的に逆行しています。
前提として押さえておきたいのは、ブライトン戦とマン・シティ戦でデクラン・ライスとトロサールがレッドカードをもらい、10人の戦いを強いられたことです。ダヴィド・ラヤのスタッツを見ると、エミレーツのブライトン戦は30本、後半からゴール前に引きこもったペップのチームとの激闘は31本を前線に蹴り出しています。
ウーデゴーアが元気だったアストン・ヴィラ戦の7本と、CLのアタランタ戦とノースロンドンダービーの21本という数字から、自陣で受けるのがうまいキャプテンの不在の影響もあると考えられますが…。いや、リスクヘッジに関してはペップの100倍シビアなアルテタ監督ですが、間違いなく前向きな理由でこの作戦を導入しています。その証拠は、後ほどお出ししましょう。
ダヴィド・ラヤはなぜ、ロングキックを多用するようになったのか。意外な事実をレポートした「アスレティック」のジョーダン・キャンベル記者とマーク・ケアリー記者は、「Opta」が先月行ったリサーチの結果を紹介しています。今シーズンは、ビルドアップのミスや厳しいプレスからのボールロストの失点率が、過去10年で最高になっているそうです。
アルテタ監督がGKに蹴らせるようになった理由のひとつは、プレスをかいくぐるのが難しい状況で、ミスによるピンチを回避したかったからでしょう。しかし、この説明はエヴァートンやノッティンガム・フォレストなら妥当ですが、プレミアリーグ制覇をめざすチームとしてはあまりにも消極的です。無残な失点の可能性が減る一方で、相手にボールを渡すリスクもあるからです。
おそらく最大の理由は、「ロングキックでもマイボールにできるから」。言い換えれば、「プレミアリーグで最もキックがうまいダヴィド・ラヤがいるから」でしょう。かつてユルゲン・クロップに、「10番もやれる」と絶賛された守護神は、ピンポイントで味方の足元や頭に合わせられます。では、彼のロングボールが最も多く届くエリアはどこでしょうか。
「アスレティック」が作成したMAPを見ると、最も多いのはブカヨ・サカの足元で、その次はカイ・ハヴェルツがいるエリアです。右サイドの31%に対して、左は18%。今季からスタートした新たな戦術は、キープ力がある右サイドのウインガーと、空中で戦えるストライカーの存在によって成立していることがよくわかる数字です。
敵陣でマイボールにできるなら、自陣でまわす必然性はなくなります。アルテタ監督は、すべてがうまくいかなくても、高い確率で成功すると確信しているのでしょう。指揮官がビルドアップの失敗を怖れているわけではなく、ポジティブに捉えている証拠を提出しましょう。2-0で完勝したパリ・サンジェルマン戦とサウサンプトン戦のラヤは、ロングキックは5本しかありません。
なぜ、この2試合は大きく蹴らなかったのか。理由は明確で、最前線にいたのが175cmのガブリエウ・ジェズスだったからです。チャンピオンズリーグ制覇を狙う欧州の強豪と、プレミアリーグの降格候補に同じ選択を取っているという事実は、ビビッて蹴らせているのではないという主張の根拠になるでしょう。
これを見て、冒頭の問いが頭に浮かびました。シェシュコやギョケレスといった長身のストライカーに、カイ・ハヴェルツと同じ役割を求めていたのではないか?188cmで欧州屈指のデュエルマスター、ミケル・メリノもラヤのターゲットとしてカウントしていたのかもしれません。常識に囚われない指揮官の思考の深さを垣間見るエピソードのひとつです。アルテタ、恐るべし…!
2023-24シーズンのアーセナルは、40メートル以上のゴールキックは34%で14位でした。しかし現在のダヴィド・ラヤは78%で、ジョーダン・ピックフォードの63%を大きく上回るぶっちぎりのTOPです。50%を超えているチームは6つしかなく、ガナーズとトフィーズ以外はノッティンガム・フォレスト、イプスウィッチ、ウェストハム、レスター。ビッグ6はひとつもありません。
マンチェスター・ユナイテッドのオナナは26%で、マン・シティのエデルソンは25%。リヴァプールは16%に留まっており、何が何でもつなごうとするブライトンは7%です。トッテナムのグリエルモ・ヴィカーリオは0%!GKが両脇のCBに預けて、ビルドアップを始めるのが主流となっているなかで、アルテタ監督は意図的に逆行しています。
前提として押さえておきたいのは、ブライトン戦とマン・シティ戦でデクラン・ライスとトロサールがレッドカードをもらい、10人の戦いを強いられたことです。ダヴィド・ラヤのスタッツを見ると、エミレーツのブライトン戦は30本、後半からゴール前に引きこもったペップのチームとの激闘は31本を前線に蹴り出しています。
ウーデゴーアが元気だったアストン・ヴィラ戦の7本と、CLのアタランタ戦とノースロンドンダービーの21本という数字から、自陣で受けるのがうまいキャプテンの不在の影響もあると考えられますが…。いや、リスクヘッジに関してはペップの100倍シビアなアルテタ監督ですが、間違いなく前向きな理由でこの作戦を導入しています。その証拠は、後ほどお出ししましょう。
ダヴィド・ラヤはなぜ、ロングキックを多用するようになったのか。意外な事実をレポートした「アスレティック」のジョーダン・キャンベル記者とマーク・ケアリー記者は、「Opta」が先月行ったリサーチの結果を紹介しています。今シーズンは、ビルドアップのミスや厳しいプレスからのボールロストの失点率が、過去10年で最高になっているそうです。
アルテタ監督がGKに蹴らせるようになった理由のひとつは、プレスをかいくぐるのが難しい状況で、ミスによるピンチを回避したかったからでしょう。しかし、この説明はエヴァートンやノッティンガム・フォレストなら妥当ですが、プレミアリーグ制覇をめざすチームとしてはあまりにも消極的です。無残な失点の可能性が減る一方で、相手にボールを渡すリスクもあるからです。
おそらく最大の理由は、「ロングキックでもマイボールにできるから」。言い換えれば、「プレミアリーグで最もキックがうまいダヴィド・ラヤがいるから」でしょう。かつてユルゲン・クロップに、「10番もやれる」と絶賛された守護神は、ピンポイントで味方の足元や頭に合わせられます。では、彼のロングボールが最も多く届くエリアはどこでしょうか。
「アスレティック」が作成したMAPを見ると、最も多いのはブカヨ・サカの足元で、その次はカイ・ハヴェルツがいるエリアです。右サイドの31%に対して、左は18%。今季からスタートした新たな戦術は、キープ力がある右サイドのウインガーと、空中で戦えるストライカーの存在によって成立していることがよくわかる数字です。
敵陣でマイボールにできるなら、自陣でまわす必然性はなくなります。アルテタ監督は、すべてがうまくいかなくても、高い確率で成功すると確信しているのでしょう。指揮官がビルドアップの失敗を怖れているわけではなく、ポジティブに捉えている証拠を提出しましょう。2-0で完勝したパリ・サンジェルマン戦とサウサンプトン戦のラヤは、ロングキックは5本しかありません。
なぜ、この2試合は大きく蹴らなかったのか。理由は明確で、最前線にいたのが175cmのガブリエウ・ジェズスだったからです。チャンピオンズリーグ制覇を狙う欧州の強豪と、プレミアリーグの降格候補に同じ選択を取っているという事実は、ビビッて蹴らせているのではないという主張の根拠になるでしょう。
これを見て、冒頭の問いが頭に浮かびました。シェシュコやギョケレスといった長身のストライカーに、カイ・ハヴェルツと同じ役割を求めていたのではないか?188cmで欧州屈指のデュエルマスター、ミケル・メリノもラヤのターゲットとしてカウントしていたのかもしれません。常識に囚われない指揮官の思考の深さを垣間見るエピソードのひとつです。アルテタ、恐るべし…!
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
コメントを残す