偏愛的プレミアリーグ見聞録

ウーデゴーアと冨安健洋は負傷リタイアで、ボーンマス戦で1発レッドのサリバはサスペンデッド。日曜日の夜、エミレーツにリヴァプールを迎えるアーセナルは、苦しい戦いを強いられそうです。ブカヨ・サカとティンバーはトレーニングに復帰していますが、ベストの状態には戻らないでしょう。CLで膝を痛めたカラフィオーリは、検査の結果が出るまでは何ともいえません。

最終ラインのベストの布陣は、ベン・ホワイト、ティンバー、ガブリエウ、カラフィオーリ。負傷した選手たちが間に合わなければ、トーマス、ベン・ホワイト、ガブリエウ、キヴィオルでしょうか。ジンチェンコは今季プレミアリーグで79分しかプレイしておらず、モー・サラーを封じるというミッションにふさわしい選手ではないでしょう。

ノースロンドンに乗り込むリヴァプールも、アリソン、エリオット、ジョッタ、フェデリコ・キエーザを欠いています。優勝候補が激突するシックスポインターは、どんな展開になるのでしょうか。最大の見どころは、「グーナーの声援に後押しされたアーセナルが、今季プレミアリーグで最少となる3失点の堅陣を崩せるのか」。私が注目しているのは、2つのマッチアップです。

マルティネッリVSアーノルドと、カイ・ハヴェルツVSファン・ダイク。昨季プレミアリーグで35試合6ゴール4アシストと停滞していたマルティネッリは、今のガナーズで最も好調なアタッカーです。マン・シティ戦以降の4試合は2ゴール2アシスト。守備力と推進力に長けたカラフィオーリが左サイドに定着したことによって、高いポジションをキープできるようになりました。

対峙するアーノルドは、「自らの強みとなる攻撃力を活かしながら、守備を安定させる」という難しいミッションをクリアしようとしています。今季プレミアリーグにおける90分あたりのタックル数は2.8回で、昨シーズンの1.6回から大幅にUP。成功率71.4％は、レッズの右サイドでレギュラーになってから最高の数字です。

チェルシー戦では、4回のタックルがすべて成功。自陣右サイドのカバーエリアを広げており、90分あたりのドリブルで抜かれた回数は2.5回から1.1回に激減しています。重心を後ろに移せば、攻撃への関与度は下がるのはやむなしです。90分あたりのタッチ数は95.9から73.8、パス本数は86.1から64.7、ロングパスは20.7本から14.0本とそれぞれ減っています。

それでも攻撃における貢献度はさほど落ちておらず、チャンスクリエイト16回はサラーと並ぶチームTOP。プレミアリーグのDFでは、ペドロ・ポロの15回を上回るNo.1です。明日の決戦では、アーセナルの左サイドの人選が勝負を分けるポイントとなるかもしれません。カラフィオーリがサラーを封じ、マルティネッリが攻撃に専念できればアーノルドは忙しくなります。

そしてもうひとつ、アルテタ監督がカイ・ハヴェルツをどこで起用するのかにも注目しています。ファン・ダイクにぶつけるのか。ジェズスを前線に置いて右のインサイドから上がっていくのか。今季プレミアリーグの空中戦勝利数ランキングを見ると、TOPのカルヴァート＝ルーウィンが36勝、カイ・ハヴェルツは2位で34勝、3位のファン・ダイクは31勝です。

2024-25シーズンのエミレーツで7戦6ゴール（アウェイではノーゴール…）のストライカーが決めるのか、今季プレミアリーグで勝率71.3％のデュエルキングが抑えるのか。アーセナルが勝ちたければ、アーノルドとロバートソンを振り回し、コナテとファン・ダイクをサイドに引っ張り出さなければなりません。

過去3シーズンのプレミアリーグは2勝2分2敗ですが、2022-23シーズンからの4試合に絞るとアーセナルは負けていません。リーグ屈指の堅守対決は、サイドの攻防を制したほうが果実を得るのではないでしょうか。攻守の主軸を欠くアーセナルが不利に見えますが、CLのハーフタイムにベン・ホワイトを下げた監督の勝利への執念が不気味です。