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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ウーデゴーアの戦術的交代は空転…オープンプレーで決められなくなったアーセナルの課題とは?

「デクランは何かを感じていたので、外に出さなければならなかった。マルティンは、彼のサイドでリズムを変えるための戦術的な決断だった」。エヴァートン戦を痛恨のノーゴールで終えたアルテタ監督は、アンタッチャブルな2人を交代した理由を試合後のプレスルームで問われ、それぞれについて率直に語っています。

フラム戦も途中交代だったキャプテンは、62分という早いタイミングの離脱に不満げな表情を浮かべていました。代わって入ったのは、ジョルジーニョとヌワネリ。この策は失敗したといわざるを得ません。ウーデゴーアがいるときはシュート11本だったチームは、ヌワネリ登場後は2本しか打てず、5.7分に1本から14.5分に1本と停滞してしまいました。

69分にピッチに入ったトーマスはまずまずの出来でしたが、ジェズスは何もできなかったといっていいでしょう。いや、「ジェズスの2本以外にシュートはなかった」という事実のほうが重要なのかもしれません。「イーサンが決めたら、素晴らしいサブか? 決めなかったら、キャプテンを外しただけになる。それがフットボールだ」。指揮官は結果論を気にしていないようです。

直近の5試合で10ゴールを決めているものの、CKから4発でPKが2発。ブカヨ・サカが関与していないゴールは、トロサールのロングフィードでカイ・ハヴェルツが抜け出したハマーズ戦の4点めだけです。プレミアリーグでは、3試合連続でオープンプレーからのゴールはなし。チェルシーと4ポイント差の3位となったアーセナルは、何かを変えなければなりません。

アーセナルの攻撃を見ていて、気になることを挙げてみましょう。最初に触れたい懸念ポイントは、右サイド偏重のアタックです。今季プレミアリーグにおけるアタックのエリアを見ると、右が47%に対して左は32%。サカやウーデゴーアと絡むシーンが多いカイ・ハヴェルツが左に出るのは「クロスを決めにいくとき」で、左ウイングやインサイドMFとの連携は多くはありません。

センターに絞って中盤を強化する偽SBは、パスワークのバリエーションを増やす機能ですが、バランスを崩すとウインガーの孤立につながります。最近は、マルティネッリとトロサールがタッチライン際で封じられるシーンが目立っており、10月以降のプレミアリーグ10試合は2人合わせて3ゴールに留まっています。

サイドアタックの課題は、ニアに走り込む選手がいないケースが多いことと、ボックス内の枚数です。エヴァートン戦のウーデゴーアが30分までに中央から3本のシュートを放ったのは、この課題を認識しており、意図的に解決を図ろうとしていたからでしょう。ジョルジーニョとヌワネリが空回りした理由のひとつは、17歳を打てるエリアに入れるアイデアがなかったことです。

そして、ジェズス。彼の問題は、余裕なきシュート、周囲との連携、動きすぎといったところでしょうか。ここぞというチャンスで打てるスペースに走れなければ、クロスは長身の選手に合わせるしかなくなります。サカとマルティネッリがファーポスト際に上げる速いクロスは、強力な武器ではあるものの、苦しくなるとこのボールばかりの単調なアタックに陥りがちです。

カイ・ハヴェルツは、ボーンマス戦以降のプレミアリーグ8試合で1ゴール。ジェズスはリーグ戦23試合連続でノーゴール。こうなると、「ストライカーを獲得すべきか」という夏の議論が蘇ります。ジェズスに復活の兆しがない今は、イエスでしょう。イサクのような選手を獲れれば文句なしですが、冬のマーケットで即戦力をローンという選択肢もあるのではないでしょうか。

サカとウーデゴーアへの依存度を下げる試みは、いずれ必要となりますが、10月以降のプレミアリーグ8試合でクリーンシート5回のエヴァートンとのゲームは、キャプテンの創造力が必要だったのではないかと思われます。「この状況は長くは続かない。チャンスがあれば、決められるようになる」と語る指揮官が、現状の課題にどう対応するのかに注目しましょう。


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