2025.02.21 アーセナルの話題
現地記者が提言!「アーセナルのカウンター強化は、ストライカー問題の解決策になりえる」
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「アスレティック」のジョーダン・キャンベル記者とトム・ハリス記者は、いくつかの数字を用いて「カウンターを強化すべし」と説いています。ひとつめは、彼らの守備がいかに堅牢かを物語るもので、対戦相手のxG(ゴール期待値」はリーグ最少の21.6。2シーズン連続で、オープンプレーからの失点が最も少ないチームとなっています。
敵陣からの攻撃をディフェンシブ・サードに持ち込まれる率はペップの次に低く、ポゼッションとプレスで相手の侵入の頻度を減らそうとしているのがよくわかります。今回の記事がこの事象を紹介しているのは、「堅守なので、引いてカウンターという選択を取っても低リスク」「守備の安定へのこだわりが、カウンターの成功を妨げている」という2つの面があるからでしょう。
2つめは、本題の核心に迫る数字です。敵陣でのボール奪取142回は、イラオラのボーンマスに次ぐ2位で、前からのプレスと直線的なアタックを志向するリヴァプールの117回を大きく上回っています。相手のゴールに近いエリアで奪うのがうまいのに、カウンターを仕掛けたのは22回。リヴァプールは57回、ボーンマスは36回で、トランジションに改善の余地があるのは明らかです。
「アスレティック」の記者たちは、「ボールを奪取した後に10秒以内でシュートに至る率」も調べています。10%を超えるTOP3はボーンマス、ウルヴス、ノッティンガム・フォレストで、ビッグ6で最も高いのはニコラス・ジャクソンとコール・パルマーを擁するチェルシー。9%は全体の7位で、リヴァプールとトッテナムがその後に続いています。
アーセナルは、6.6%で18位。下にいるのは、トータルのゴール数がワースト2のイプスウィッチとサウサンプトンだけです。セットピースの可能性を追求しているアルテタ監督は、プレスを徹底させながらも、奪った後は陣形の安定とボールの支配を優先しているのでしょう。過去3年で速攻からのゴールとチャンスメイクが最多のマルティネッリを欠くと、スローになりがちです。
アルテタ戦術を体現しているウーデゴーア、サカ、デクラン・ライスは、よほど有利な状況でなければ、無理めのフィードよりキープを選びます。最前線のカイ・ハヴェルツがスピードで勝負するタイプではないことも、カウンターの率が低い要因のひとつでしょう。しかしレギュラーのFWを失った今、前線の選手たちの強みは変わっています。
トロサール、ヌワネリ、スターリングのフロントスリーは、速攻のほうが決定率が上がりそうです。思い出すのは、1月のノースロンドンダービー。44分の決勝ゴールは、トーマスがハーフラインで奪ってからのカウンターでした。こぼれ球を拾ったウーデゴーアが左に出すと、ボックスに持ち込んだトロサールが完璧なシュートを右隅に突き刺しました。
レスター戦でバーとポストに当てたヌワネリのシュートは、いずれも自陣からのシンプルなカウンター。ボックス手前での真っ向勝負は、サカよりも自ら決めようとする意識が高いことを証明するかのようでした。スターリングはいわずとしれたスピードスターで、ひとたびカウンターに入れば、戦術へのフィット感は問われません。
トーマスは速攻のきっかけとなる縦のフィードが多く、イタリア代表でのカラフィオーリは、馬車馬のようなドリブルを持ち味とする「攻めるCB」です。キングパワーでアウェイサポーターを盛り上げたトロサールとミケル・メリノのカウンター完結は、相手が必死に戻っている状況ではアーリークロスが効果的と心得ているウインガーが印象的でした。
インサイドでプレイする機会が増えたデクラン・ライスも、ウェストハムでは自陣から一気にゴール前に持ち込むドリブルを武器としていました。年明けから美しいカウンターが目立つようになったチームは、直線的なアタックを有力なオプションにできれば、欧州の強豪相手のCLでもゴールを増やせるでしょう。とはいえ、ハマーズ戦はプレス、プレス、キープ、ラストパスか…。
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