2025.05.10 アーセナルの話題
ビッグチャンスはパリより多かった…!欧州の頂点に立つために、アーセナルに必要なこと。

しかし2つの試合のスタッツを見ると、より多くのチャンスを創り出していたのはアーセナルでした。ビッグチャンスはホームの初戦が3対2で、xG(ゴール期待値)は1.7対1.2。敵地でのセカンドレグは2対4で、xGは1.7対2.9です。これらのスタッツがまっすぐスコアに反映されれば、ノースロンドンでは2-1で先勝。パリは2‐3のダブルでファイナル進出となります。
「両方の試合を分析したら、最も優れた選手は誰になるのか。MVPは同じ選手だろう。ゴールキーパー(ドンナルンマ)だ。チャンピオンズリーグはボックスで決まる。彼らは、そこを制した。今日の20分までの展開に加えて、ロンドンで起こったことまで見れば、明らかに全く違う結果になっていた可能性があるといえる」(ミケル・アルテタ)
欧州屈指のショットストッパーの完璧な180分が、パリを勝利に導いたという見方に異論はないでしょう。一方でダヴィド・ラヤもこれといったミスはなく、パルク・デ・プランスではPKをストップしています。この2試合の彼らは決定力に差があり、いくばくかの運もパリに味方したようです。とはいえ、「GKにあれほど止められたらしょうがない」で済ますわけにはいきません。
どんな展開だったとしても、180分で1ゴールは敗退を意味します。アーセナルがビッグイヤーを獲得するために、何が必要なのでしょうか。ストライカーが足りなかったという指摘は、認めざるを得ないでしょう。カイ・ハヴェルツとミケル・メリノは、8番として期待されていた選手で、最前線で機能したのはポテンシャルが高かったからです。
カイ・ハヴェルツとジェズスという2人の9番でシーズンを乗り切ろうという目論見が、そもそも無謀だったのでしょう。アルテタ監督は、負傷者を過去数年の実績並みと想定しており、2月までに2人ともシーズンアウトという可能性は考慮していなかったのだと思われます。悔やまれるのは、冬のマーケットでストライカー獲得を断念したとき、9番のオプションを用意しなかったことです。
トロサール、マルティネッリ、スターリング、ヌワネリのいずれかが中央で機能するようになっていれば、カイ・ハヴェルツが休む時間を増やせたはずです。次の夏にストライカーを獲得したとしても、ずっと使い続けるわけにはいきません。サカとマルティネッリのポジションを含め、主力を温存した際のオプションのレベルアップは、指揮官の最大の課題といえるでしょう。
数年かけて戦力を強化したのに、13人~14人でプレミアリーグを戦っているように見えるチームは、常時ターンオーバーできるチームに進化する必要があります。新たな9番とアンカーをレギュラーにして、サカ、マルティネッリ、デクラン・ライス、ウーデゴーアを固定させれば、カイ・ハヴェルツやミケル・メリノの主戦場は国内カップというもったいないチームになってしまいます。
最近のアーセナルを見ていて気になったのは、どうしてもゴールがほしい状況になっても、ウーデゴーアが下がりすぎるシーンが目立つことです。キャプテンをストライカーの背後に置く4-2-3-1や、トロサールかマルティネッリを中に絞らせる4‐4‐2、偽SBが中央に絞る3-3-4など、戦い方を明確に変える采配も必要なのではないでしょうか。
カラフィオーリやティアニー、ジンチェンコの投入によって、左サイドの連携が変わることはあっても、右サイドはサリバが持ち上がるなどのマイナーチェンジしかない試合が多いようです。パリとのファーストレグは、60分以降のシュートが3本のみ。セカンドレグで2-0とされてからのオンターゲットは、サカのゴールだけでした。
猛攻を仕掛けていても、チームの機能とパスワークが変わらなければ、相手の守備陣に攻め方を読まれてしまいます。ユーティリティーが高い選手を揃えながら、役割固定の選手とあちこちを任せられる選手が分かれているのも気になります。マルティネッリは、入団当初は中央でも素晴らしいプレイを見せていました。ルイス=スケリーとジンチェンコは中盤でも活きるはずです。
噂になっているスビメンディとギョケレスを引き入れれば、トロフィーにさらに近づけそうですが、厳しい状況の打開策を増やせなければ、今回のような負け方を繰り返してしまいそうです。9番を全員失い、最終ラインを統率するCBが不在でもなお、ここまで戦えるチームを称えつつ、「今季はアーセナルの年だった」といわれる圧倒的な強さで欧州を制してほしいと願う次第であります。
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