冷静で的確…選手の奮闘と経営陣の明快な判断を求める、アーセナルの現地サポーターの言葉。
アーセナルは、そこから別なチームに豹変しました。プレミアリーグ8試合を2勝1分5敗、得点11失点16。順位は6位に落ち、ゴール数はチェルシーとトッテナムに抜かれて4位。深刻なのは失点数で、3失点のゲームを4つも重ねたためにサウサンプトンとミドルズブラを上回ってしまい、あっという間に8位に転落しました。「スカイスポーツ」によると、アウェイゲーム4連敗はヴェンゲル体制になってから初体験。1955年以降のワーストレコードです。さらに、「アウェイで4試合連続3失点」は、1929年以来88年ぶりの厳しい数字です。コシールニーの欠場が増え、チェフまでチームを離れ、中盤の守備も緩くなったガナーズは、負担が大きくなったムスタフィが混乱する姿が目立つようになりました。得失点差は22に落ちてマンチェスター・ユナイテッドに並ばれ、21のエヴァートンにも抜かれる寸前のチームに改善の兆しはありません。
3月7日にエミレーツでバイエルンに1-5と惨敗したときは、プレミアリーグでは2位トッテナムと実質3差。優勝は難しいとしても、2位で終われる可能性があるチームの監督が退任を求めるプラカードを掲げられている状況に、私は違和感を覚えていました。マンチェスター・シティとトッテナムが旧勢力を凌駕し始めたプレミアリーグは、優勝できなければ解任などとしていたら監督が足りなくなるぐらいの壮絶な競争環境となっています。そんななかで2位に食い込み、次季に希望をつなげるなら及第点。グーナーは厳しすぎるのではないか。「変化=よくなる」という図式が成り立つとはいえないのに、次期監督の名前がないまま、毎年優勝争いを繰り広げてきた監督にダメ出しするのか、と考えていたのです。
しかし、ヴェンゲル監督が就任以来初めてとなるプレミアリーグ5位以下でシーズンを終えるとなれば、話は変わってきます。3月31日付で、「ヴェンゲル監督は残るべきか?辞めるべきか」というテーマのアンケートを実施した「アーセナル・サポーターズ・トラスト(AST)」のデータとコメントに対して、反論するための材料はなくなりつつあります。以前に本ブログに掲載した「2016-17シーズン現地観戦記」で紹介したこのアンケートを、昨日の「スカイスポーツ」が取り上げていました。伝統あるサポーター団体のメンバーのうち、78%が「辞めるべき」と答えつつ、その大半が「ヴェンゲル監督はリスペクトされなければならない」「感謝している」と添えている冷静なサーヴェイです。「選手たちは、ファンの批判に対してポジティブに応えてほしい」と語るASTのボードメンバーであるアキル・ヴィヤスさんは、「スカイスポーツ」の記事のなかで以下のような興味深いコメントを残しています。
「最後の8試合は、結果如何に関わらずこのクラブの素晴らしいキャリアのための祝祭だろう。しかし認識されていないのは、ファンにとって、あるいはおそらく選手たちにとっても問題が起こっていることだ」
「トロフィーが重要なのは確かだ。そしてTOP4は5000万ポンドをもたらし、選手たちをより惹きつけることがことができるだろう」「TOP4にいなければ、サンチェスやエジルが残るかどうかはわからない」
「TOP4を外したとしても、経営陣に対するウェイクアップコールにはなるだろう。財政的なサイクルを確保でき、すぐに上位に復帰できればクラブが目覚めるための機会になりえる」
「サポーターが望んでいるのは選手たちが100%の力を出し切ることだが、このクラブは何かがおかしくなっている」
FAカップ準決勝はマンチェスター・シティと戦うビッグゲームではあるものの、TOP4フィニッシュをめざすことをおざなりにするとヴェンゲル監督の将来に大きなインパクトがあると語るサポーターの代表の言葉は的確です。選手たちがアーセン・ヴェンゲル監督を慕っているのなら、ピッチの上で全力でバックアップしてほしい。経営陣には、結果をふまえた判断をきちんとしてほしい。78%を占めた意見をベースに、指揮官の交代を直接クラブに要求したと宣言しているサポーターズトラストは、最後にこんな言葉でサーヴェイの報告を締めています。
「私たちは、アーセン・ヴェンゲルがアーセナルにもたらした素晴らしい貢献を認識しています。彼の契約についての現在の議論とは関係なく、クラブへの長期的な貢献に対すて敬意と感謝の意を表します。アーセナルファンだけでなく、イングランドの試合を見続けているすべての人々に最高のサッカーを届けてくれたことも」
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まあアーセナルがシーズンの大事なところでこけるのは例年通りのこと。
それより続投派は3%という数字のほうが衝撃を受けたんだがそれは書かないんですねw
Ozilさん>
ASTのレポートでは続投派は15%ですので、「辞めてほしい方が8割近くを占めている」というインパクトがある情報をお伝えすれば充分と思われるのですが。本文の趣旨は、「プラカードやデモなど、過激な面が報道されがちなヴェンゲルさんの退任話について、伝統あるサポーターズトラストが極めて冷静に意見を表明している」ということであり、「解任派が正しい」「続投派は極小である」ということを伝える趣旨ではありません(=メリット・デメリットがそれぞれある話であり、そもそもどちらが正しいというお話ではないと思ってます)。
Ozilさんのご要望に添わなかったことで不都合がおありでしょうか?この文章において「恣意的に書かなかったことはない」とだけお返しいたします。書いたことについて、違うのではないかというご指摘があれば受け止め、検討しますが、「書かなかったこと」については、あからさまに事実を曲げているような場合以外は、批判されるいわれはないのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
顔真っ赤っすねw
いいんじゃないですか。個人のブログですし、好き勝手やってれば。
なんとなく感想書いただけなんで。
Qzilさん>
いただいたコメントには、できるだけきちんと返したいと思っていますので。
個人的にはこの初めての屈辱になるかもしれないシーズン後こそヴェンゲルがどう反応するかを見てみたいんですが、、現地のサポーターはもう待ってくれなそうですね。どんな変化が起こるのかまったく想像がつかないです。
元グーナーだった人間から言わせてもらえば、首脳陣かベンゲルのどちらかは、もっと早く辞めさせるべきだったと思います
「CL権を獲得出来たから良し」と、思考が停止していたようにしか思えないシーズンを何度見てきたことでしょうか?
シーズンインの「我々のスカッドは充実」発言→怪我人続出→困った困った→CL権取ったから良し
学習能力がないから、何度も同じ失態を繰り返すんです、そして、その愚行の繰り返しを咎める首脳陣もいない
実績は確かに素晴らしいです
しかし、当時は、有能な監督or戦術であっても、時の流れは残酷です、変わらないものはなく、まして「監督の手腕や戦術」は尚更です
いつまで経っても守備組織の構築が出来ない、ローテーションが出来ない、戦術の幅がない&広げる意思がない(ようやく今季はサンチェス1TOP)
本来なら、退任すべき、あるいは、改善策を打ち出すべきだった
なのに、ズルズルと引き延ばしてきた結果がこの惨状を招いた
ハッキリ言って、アーセナルは、数シーズン前から、時代遅れの監督の老後の遊戯でしかなかったです
だから自分は、元グーナーとして叫びます
Wenger Out
更新ご苦労様です。
現地の反応はごく自然です。現状を見れば来期もベンゲルに託そうと思う方が厳しいと私も思います。ベンゲルの後釜にふさわしい指揮官を見つけた上で政権交代するという理想的な環境を誰もが望んでいるのでしょうけどそんな悠長な状況かな?という疑問が
今まで以上に現地にはあるのではないでしょうか?その心境も私は理解できます。
私は今季のアーセナルの最終順位には興味がありません。CL出場権を確保するかにも興味がありません。マン・Uやチェルシーやリバプールだけでなくあのバルサでさえもその権利を逃したシーズンがあります。そこまで大事ですか?私の本音です。
アーセナルに話を限れば何だかんだでCL出場権を確保出来て良かったねでシーズンが終わるよりもCL出場権を失った上でその座を取り返す為にクラブに変化が起きる方が意味があると思います。もちろん大きなリスクと生みの苦しみがあるでしょうが・・・
その為にも最大限の敬意と共にベンゲルとの別れが必要だと私は思います。
プレミアリーグ大好き!さん>
ご本人が「責任を取る」という気がします。クラブが後継者候補とつながっていればいいのですが。
プレミアリーグ大好き!さん>
非常に苦しいシーズンなのは確かですが、6つの強いチームで4つの椅子を争う難しいリーグになったなかで、「4位フィニッシュは厳しくなってきたが、まだ可能性はある6位」を、惨状というのは大げさな気がします。マンチェスター・ユナイテッドは3年で2度のTOP4逃し、リヴァプールは8位、チェルシーは10位に落ちてますので。ASTも強調してましたが、私も安定的な戦績を残してきたヴェンゲルさんをリスペクトしています。
tomoさん>
ASTは、悠長なことをいっていられないからこの時期に提言しているのではなく、「ヴェンゲルさんの契約延長が決まってからでは遅いから」「クラブが次の準備をするための時間が必要だから」でしょう(後者は彼らの声明文に明記されています)。監督や経営ボードが「すべてはシーズンが終わってから」といっていたら、もう少しタイミングは遅かったかもしれません。また、「ふさわしい後継者を見つけたうえで政権交代」は、クラブにとってはmustでしょう。マンチェスター・ユナイテッドが4番手以下の候補を選んで失敗したのを見ていたにも関わらず、同じ轍を踏むわけにはいきません。
ASTが後任に触れないのは、「それはクラブの仕事であり、サポーターが人選にまで踏み込むべきではない」と考えているからで、そのことは声明文からも読み取れます。ヴェンゲルさん交代という選択は、クラブを強くするうえで有力な選択肢ではありますが、後任候補の当てがないまま退任だけ決めるというリスクは、クラブもサポーターも望んでいないでしょう。このたびのASTのリリースを読んで、彼らは「やばい」「なりふり構わっていられない」といった感情的な動機ではなく、時間軸をおさえながら民主的かつ冷静にアプローチしているのだと認識しています。「次の準備もしっかり進めてくださいね」と。