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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ギョケレスは不発、カウンターは空転…アーセナルがオールド・トラフォードで苦戦した理由。

マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルのゲームで、シュート数22対9と聞いたら、プレミアリーグファンの大半は「優勢だったアーセナルが快勝した」と思うでしょう。オールド・トラフォードの開幕戦は、得意のセットピースからカラフィオーリが決めたアーセナルが0-1で制しましたが、22本のシュートを浴びたのはアーセナルのほうでした。

両者の対戦で、ガナーズがこれ以上のシュートを許した試合は、サー・アレックス・ファーガソンとアーセン・ヴェンゲルが健在だった2011年8月の25本まで遡ります。ポゼッション39%も、信じられない数字です。期待のギョケレスは、ポルトガルでは1度もなかったシュートゼロ。パス成功はたったの4本で、スペースに走り込んでもボールをもらえず、ストレスを溜めていました。

アーセナルの苦戦の要因をいくつか挙げてみましょう。ひとつめは、プレスの連動とラインコントロールがうまくいかず、スペースに入り込むマテウス・クーニャと右サイドに張るエンベウモを自由にさせたこと。左のインサイドでプレイする時間が長かったメイソン・マウントは、意図的にエンベウモへのサイドチェンジを試みていました。

間延びしたラインのなかで、デクラン・ライスやズビメンディが振り回されるシーンを見て、昨シーズンのアモリムのチームを思い出しました。後半のシュートが12対4だったのは、リードを守ろうとしたからではなく、スムーズなビルドアップからサイドへの展開を許してしまったからでしょう。劣勢を強いられた理由の2つめは、サイドを制圧されたことです。

調子が悪いようには見えなかったブカヨ・サカは、敵陣ボックスで2回しかボールに触っていません。唯一のシュートはウーデゴーアのスルーパスに反応したダイレクトショットで、既に92分になっていました。サカと対峙したドルグはデュエル11勝で、後方でサポートしたルーク・ショーは勝率75%。逆サイドのマルティネッリも振るわず、ドリブル成功はゼロに終わっています。

3つめの要因は、カウンターが機能しなかったこと。昨シーズンのプレミアリーグのスタッツを見ると、このチームがいかに速いアタックを苦手としているかがよくわかります。カウンターからシュートに至った率を見ると、TOPはジェイミー・ヴァーディーを擁するレスターで96%。アーセナルの80%は、リーグ最下位です。

「テレグラフ」のダニエル・ゼキリ記者は、アーセナルは高い位置でボールを奪い返した際の効率も悪いと指摘しています。昨シーズンの335回のハイターンオーバーのうち、シュートにつながったのは14.3%で6ゴール。クリスタル・パレスは、252回の18.3%をフィニッシュに持ち込んでおり、アーセナルと同じ6ゴールをゲットしています。

マンチェスター・ユナイテッド戦におけるカウンターの問題は、サカとマルティネッリが中に絞り込んでくるため、パスのアングルが狭くなることでした。3対3で3トップが近い位置にいると、対峙する3人のDFも密集します。後方から上がってくる選手はドリブルのコース取りが難しくなり、前線にラストパスが出ても複数のDFに対応されてしまいます。

オープンな展開での速攻の応酬は、ラインブレーカーのギョケレスを活かしやすい状況ともいえますが、前線のランに工夫がなかったため、ウーデゴーアやマルティネッリのパスは空転しました。新生アーセナルは、欧州屈指のゴールゲッターが打てる形を創るプロセスを開発しなければなりません。速攻を操るのがうまいエゼは、スパーズにいってしまうのでしょうか…。

アーセナルは2023-24シーズン以降のセットピースで31ゴールを決めており、2位リヴァプールを11も引き離すぶっちぎりのTOP。一方、2023-24シーズン以降のマンチェスター・ユナイテッドは、セットピースでリーグワーストの23失点です。コレがあるから強いというべきか、コレに頼るのは危険と考えるべきか。その答えは、昨日の苦戦が雄弁に物語っているといえるでしょう。


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