2025.10.01 アーセナルの話題
戦術も個々の役割も自由自在!ニューカッスルを落胆させたアーセナルのセットピースを振り返る。

ソーシャルネットワークには、「オープンプレーで決められない」「美しくない」と揶揄する声もありますが、最初の6試合のうち5試合がチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグに出場するチームとの対戦という厳しいドローだったことを押さえておく必要があります。セットピースを活用しながら1試合あたり2ゴールをゲットし、4勝1分1敗はまずまずの立ち上がりでしょう。
これまでの6戦でオープンプレーからの失点は、レインダースとハーランドが仕掛けたカウンターのみ。堅牢な守備についても語りたくなりますが、今回のテーマはセットピースです。アーセナルの最大の脅威は、狂気のバリエーション。CKだけをとっても、ニア、ファー、ショートのそれぞれでゴールへの道筋が多彩で、過去の映像を分析しても万全の対策にはなりえないでしょう。
セットピースにおける得点力のベースにあるのは、デクラン・ライス、ブカヨ・サカ、マルティン・ウーデゴーアの精度の高いキックです。オールド・トラフォードの決勝ゴールを何度も確認したのですが、デクラン・ライスは直接決めにいっていたように見えます。サリバに体をぶつけられたバユンドゥルは弾き切れず、カラフィオーリのヘッドは結果論でした。
リーズ戦はティンバーが2発、ノッティンガム・フォレスト戦はズビメンディが2発。ニューカッスル戦はミケル・メリノ&ガブリエウと、ヒーローは日替わりです。相手の状況を見ながら戦略を変えたり、選手交代によって役割を変えたりするのも自在で、3バックの基本戦術すら消化できないチームは真似できないでしょう。
過去2シーズンで3試合連続ノーゴールと難攻不落のセント・ジェームズ・パークでは、前半と後半で攻めるポイントを変えていました。前半はインスイングのボールをファーに合わせるシーンが多く、外から数人がゴール前に殺到すると、トロサールだけが後ろに下がってポスト際で受けようとしていました。この作戦は、うまくいったとはいえません。
ニューカッスルは4人がマンマーカーで、5人がゾーンディフェンス。ファーのトロサールに通っても、ゴール前は渋滞しており、折り返しに競り勝つのは難しい状況になります。後半に入るとニアへの走り込みに合わせるボールが増え、ショートコーナーも交えてきました。ゾーンで守る5人を分散させれば、出せるポイントが増えると考えたのでしょう。
60分のショートコーナーは、デクラン・ライスからエゼ、ズビメンディとつなぎ、ファーにいたサリバが頭で折り返して最後はティンバー。84分は、デクラン・ライスからエゼ、ウーデゴーアまでは同じ流れです。10番からパスを受けたのが右利きのズビメンディだったら、ここでもファーのサリバを見て、体を開いて浮き球を入れていたかもしれません。
ブルーノ・ギマランイスに詰められたレフティは、クロスのコースがないと判断してデクラン・ライスに戻しました。ゴール前にいたゾーンの5人のうち、2人はウーデゴーアのパスコースを消しにいき、3人はチェックすべき相手を確認して散らばっています。70分にミケル・メリノを投入した際に、ショートコーナーで高さを活かすというプランは既にあったのだと思われます。
その証拠は、ガブリエウのアクションです。デクラン・ライスが蹴る直前に、中央にいたCBが意図的に下がったのは、ダン・バーンを自分に引き付けてミケル・メリノと勝負させないようにするためでしょう。23番の背後に入ったボトマンは先に触れる態勢ではなく、完璧なバックヘッドがネットを揺らしたのを見て頭を抱えました。
ウーデゴーアがニアに絶妙なボールを入れた決勝ゴールは、サリバがニック・ポープを押さえてガブリエウが勝負という得意の形でした。キャプテンのキックの精度を信じて、ダン・バーンの前で頭を振ったCBをほめるしかありません。守護神の飛び出しを遮ったサリバは、ヘディングで打とうとしており「合法」です。
セットピースのクオリティがいざというときの武器になるとはいえ、今後はサイドアタックや速攻を決めてセーフティリードを築く試合を増やしたいところです。ウェストハム、フラム、クリスタル・パレスと続くロンドンダービー3連戦は、フィット感が高まってきたギョケレスやエゼの爆発を期待しましょう。毎試合アレでコレだと、さすがに不安ですよね?
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