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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ファール、イエローカード…アーセナルとニューカッスルの意外な共通項を発見!

プレミアリーグ10節を終えて、わずか3失点。オープンプレーからゴールを許したのは、カウンターからのハーランドの1発だけです。チャンピオンズリーグは、4戦連続クリーンシートの4連勝。2024-25シーズンをリーグ最少の34失点で終えたアーセナルは、さらに守備力が高まっています。数字でわかる最大の改善は、イエローカードとレッドカードの激減です。

昨季の10節終了時点でイエロー24枚とレッド3枚を積み上げていたチームは、今季はイエロー10枚に留まっています。こちらもプレミアリーグ20クラブで最も少ない数字で、イエロー21枚のスパーズや、20枚とレッド3枚のチェルシーの半分以下です。デクラン・ライス、トロサール、サリバが立て続けにレッドを突き付けられていたチームは、何が変わったのでしょうか。

アルテタ監督が実現しようとしたのは、「自陣のゴールからボールを遠ざける」「ハーフラインの手前で劣勢になるシーンを最小化する」ことです。「アスレティック」のジェームズ・マクニコラス記者とマーク・ケアリー記者が集めたスタッツをチェックしてみると、イエローをもらうようなプレイを撲滅するための策が見えてきます。

ポゼッション58.4%は、リヴァプールとチェルシーに次ぐ3位。「Opta」が計測している「シークエンススタート(=守備のアクションやシュートなど、攻守の連続するプレイが行われた位置)」は、自陣のゴールラインから53.1mで、最も高いチームとなっています。守備時の4-4-2は規律厳守で、前線にプレスをさぼる選手はひとりもいません

イエローが最少と聞くと、「ファールが少ないチーム」と思う人もいるでしょう。しかしアーセナルのファール102回は、少ないほうから数えて8番めで、マンチェスター勢やリヴァプールより多くのホイッスルを受けています。指揮官の目標はフェアプレーではなく、自陣でピンチに陥らないことなので、「大事件を未然に防ぐためなら、前線の軽犯罪はOK」なのです。

この思想を最も体現したゲームは、9節のクリスタル・パレス戦です。「エゼが決めて1-0」の激シブな一戦は、ファールが6回しかなく、しかもすべて敵陣でした。ファールがあったエリアを示すMAPを見ると、大半のチームがディフェンシブサードに全体平均より多いエリアがあるのですが、アーセナルのファールはミドルサードのサイドと敵陣ボックスの左手前に集中しています。

さて、実はここからが本題です。「アスレティック」が掲載しているスタッツを眺めているうちに、アーセナルと極めて近い傾向があるチームを発見しました。エディ・ハウのニューカッスルは、シークエンススタートが49.8mでアーセナルに次ぐ2位。ディフェンシブサードにファール頻発のエリアがないのは、ガナーズとマグパイズだけです。

「イエロー1枚あたりのファール数」は、いわば「軽犯罪比率」ですが、ニューカッスルは10.6回で1位、アーセナルが10.2回で2位。エディ・ハウのチームはイエローの枚数も少なく、アーセナルに僅差の11枚でこちらも2位です。「ショートカウンターを喰らわないよう、敵陣でパスをまわす」「奪われたら、できるだけ前で奪い返す」といった考え方が共通しているのでしょう。

イエローを減らしたければ、タックルが必要となるシーンを減らすべきですが、ニューカッスルの79回はリーグ最少で、アーセナルの87回は下から4番めです。この数字でエディ・ハウに勝ちたければ、やるべきことは明確で、全体の35.6%を占めているタックル職人のユリエン・ティンバーを外すのみです。

いろいろ数字を見ているうちに、1-2でアーセナルが勝ったセント・ジェームズ・パークのゴールシーンを思い出しました。ヴォルテマーデの先制ゴールはショートコーナー、ミケル・メリノの同点ゴールもショートコーナー、ガブリエウの決勝ゴールは右からのCK。リスクマジメントに長けた指揮官の激突らしいプロセスと決着だったといえるでしょう。

今週末のプレミアリーグは、アーセナルがサンダーランド、ニューカッスルはブレントフォードで、両者ともにアウェイです。興味がある方は、彼らのビルドアップ、前線のプレス、ディフェンシブアクションに注目してみてください。アルテタもエディ・ハウも補強は人柄重視で、日頃からチームの雰囲気を気にしているのは、守備の連携を強化するためなのかもしれません。


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