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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

去就が話題になり始めたアーセナルのエメリ監督。課題解決のキーポイントは中盤の再構築⁉

プレミアリーグ4勝3分1敗、マンチェスター・シティと1ポイント差の3位。ウナイ・エメリ監督は、現在はまずまずのポジションに立っていますが、経営ボードの要望に応えられるのでしょうか。彼の去就が突然話題になったのは、木曜日に開催されたグーナーが集うフォーラムで、ヘッド・オブ・フットボールとして辣腕を振るうラウル・サンレヒ氏がこんな発言をしたからです。

「昨季は、チャンピオンズリーグの出場権を逃してしまったじゃないかとウナイにいった。今年こそは、より強いスカッドであなたがそれを実現すると期待している」

アーセナルとエメリ監督の契約は2年で、クラブが12ヵ月延長できるオプションが付いていますが、「デイリー・ミラー」など現地メディアは「CL出場権を連続で逃せば契約が満了となる可能性がある」と報じています。ある日本のメディアが「CL出場権逃せば今季限りで退任」と断定的な見出しを立てていますが、これは飛ばしすぎでしょう。あくまでも退任は可能性のひとつであり、今季中にガナーズとエメリ監督が新たな契約を締結するという可能性もあります。

エメリ監督の将来を決める要素として、今季プレミアリーグでTOP4フィニッシュを達成するか、5月にファイナルで敗れたヨーロッパリーグでリベンジを果たすかは非常に重要ではありますが、最終的な判断は「次につながる終わり方ができるかどうか」によるのだと思われます。

プレミアリーグ8節という早いタイミングで、指揮官の去就に注目が集まるのは、指揮官の戦術や用兵に疑問が生じているからでしょう。3位につけているとはいうものの、最下位ワトフォードとの一戦は31本のシュートを撃ち込まれて青息吐息のドロー。終盤は押していたノースロンドンダービーも、ニコラ・ペペ、グエンドゥジ、ダニ・セバージョス、ジャカらの素晴らしいシュートをことごとくロリスにストップされ、勝ち切ることができませんでした。マンチェスター・ユナイテッド戦もマクトミネイに先制ゴールを許し、オーバメヤンの抜け目ない動きで返した1点に留まりました。ビッグ6との直接対決は2分1敗で、未だ勝利はありません。

昨季プレミアリーグでは、8節終了時点で6勝2敗。後半に切った交代カードが当たって勝ち点3をゲットした試合が目立ち、ヴェンゲル時代からの変化を実感して期待を膨らませたグーナーが急増しました。あれから1年、チームは進化しているのでしょうか。4500万ポンドしか予算がないと喧伝された夏のマーケットでは、クラブレコードとなる7200万ポンドでニコラ・ぺぺを獲得するなど、過去10年で最高額の1億3700万ポンドを投下しています。しかし、ここまでの評価は「可もなく不可もなく」といった表現に落ち着くのではないでしょうか。昨季は8節までで19ゴール10失点だったチームは、13ゴール11失点。得点の過半をオーバメヤンが占めており、エメリ初年度は6ゴールだった中盤は、ルーカス・トレイラの1発に留まっています。

ポジティブな要素を挙げるなら、ウィロック、ネルソン、サカら若手の台頭と、ダニ・セバージョスやダヴィド・ルイスが早期にフィットしたこと。課題は中盤の守備力と得点力不足に加えて、ニコラ・ペペが持てる力を発揮できていないことでしょう。「メトロ」は、高額な移籍金で連れてきたウインガーについて、「フォーメーションの変化の激しさに戸惑っており、プレミアリーグの平均的なウインガーのスタッツしか残せていない」と指摘しています。

ジャカの重用とルーカス・トレイラの冷遇、エジルのオミットもグーナーの懸念材料です。エメリ監督に、昨季プレミアリーグで8節までに2ゴールを決めていたエジルよりウィロックやネルソンを優先する理由を聞いても、曖昧な答えしか返ってこないのではないでしょうか。運動量は決して少なくないエジルの弱点を挙げれば、ボールを奪われた後の戻りの遅さとムラがある守備ですが、パスコースを切る守り方を徹底させられれば、ダヴィド・シルヴァのように機能する可能性はあるのではないかと思います。

「こんなアーセナルを見てみたい」「エメリ監督が意地を張らなければ実現できるのではないか」…そんな願望をスタメンに込めてみましょう。GKレノ、DFベジェリン、パパスタソプーロス、ダヴィド・ルイス、ティアニー。MFグエンドゥジ、ルーカス・トレイラ、エジル、FWニコラ・ペペ、ラカゼット、オーバメヤン。エジルが上がった際には、ルーカス・トレイラとグエンドゥジがスペースをカバーする戦い方は、ポグバの背後をマティッチとエレーラでフォローしていたチーム(暫定監督就任から最初の12試合は10勝2分でした…涙)を応援してきた者としてはリアルです。2トップにしてエジルがトップ下、ダニ・セバージョスを左のインサイドというオプションも楽しみです。

攻めているようで中盤の押し上げが弱く、守備を重視しているようで最終ラインの前のスペースが空いてしまう…後半に陣形が間延びして劣勢になるシーンが増えたアーセナルは、課題をつぶしきって連勝街道を快走することができるでしょうか。押しつぶせるチームが相手ならジャカもありですが、守備のクオリティを高めたいなら別な選択肢があるはず。得点力UPをめざすなら、エジルをうまく使うのが近道です。17節のマン・シティとの直接対決までで、勝ち点を落としても仕方ないといえるのはアウェイのレスター戦ぐらいでしょう。プレミアリーグ16試合11勝3分2敗、得点32失点16。こんな数字を残せれば、エメリ監督の去就は話題にならなくなると思います。ここまでは悪くありません。期待してます!

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“去就が話題になり始めたアーセナルのエメリ監督。課題解決のキーポイントは中盤の再構築⁉” への6件のフィードバック

  1. 新参 より:

    アーセナルファンの憂鬱を現しているような記事で、めっちゃ共感しました。

    中盤の守備力が取り上げられていますが、SBの守備力がここまではネックだったと思います。エメリも4231の使い手ですが、サイドのケアと前線からの制限を重視して433を採用していたと思います。

    エジルもトレイラも正しい位置で起用したいものの、433ではベストポジションがないのが実情です。個人的な好みで冷遇していると捉えられがちですが、組織のバランスを考慮した判断だったと思います。

    ベジェリンやティアニー、ホールディングが戻ってきてもチームの状態が変わらなければ、エメリもいよいよと思いますが…

    彼らが戻ってきたらトレイラを中盤の底で起用することも、エジルをトップ下起用することもやりやすくなるのではないでしょうか。

    代表ウィーク明けにどんな戦いをするのかに注目したいです。

  2. 匿名 より:

    兎に角内容が乏しいでしょ。Man.Cityと1pt差とか。笑かしよんな、しかし。サッカーが判定競技であれば開幕2試合も負けでしたよ。

    以前も書かせてもらったかもしれません。交代が成功して後半で逆転ってありましたけど、例えばロナウドやメッシを後半から使って彼らが逆転ゴールを決めたとして、それって名采配なんでしょうか?去年やってたのはそれでしょ。オーバメヤンを控えで使ってたんですよ。ラムジー干してたんですよ。それがエメリだったわけで。

    メンバーを固定しないのは確かに新鮮に感じたけど、「毎日ラーメン喰ってたところに焼き魚定食。大変おいしゅうございます」って程度の話だったんじゃないかと思う今日この頃。だって内容がねーんだもの。

    去年は熱い試合もありました。ホームのリバプール、スパーズ、チェル・・。今思えばすべて就任前からいた主力と既に完成されてたトレイラのパフォーマンスで成り立ってたのかな、と。彼の戦術や育成によるものだったかというと疑問がある。選手は去年も居たし、今年も居るし。ふつうに使ってくれれば。それを我々は期待してたんじゃないのかしら。

    未だに、未だに、未だに守備の改善がない。むしろ悪化してるように見える。どんだけスベッても「ヴぇんがるの負の遺産のせいだってばよっ!!」って言ってくれるシンパがいるうちに結果、いや内容を残せよ、ウナイ。応援はしてるし、エメリ・アーセナルをCLで見たいとも思ってる。

    偏プレ分析にうなずく部分も多いのですが、可もなく不可もなくではなく、現状、可もあるが不可の方が(かなり)多い、といのが自分の見立てです。

    Man.C. と1pt差・・・。gotta be fucking kidding me.

    いやぁ、面白いっすね。サッカー。

    —–
    ティアニー、ホールディング、ベジェリンが戻り、そろそろラカゼットも復帰してくる。
    まあ、今よりは内容は良くなるはずです。

    —–
    私はエジルは一度引退して仕切り直しがいいと思っているのですが、ブログ主様の案に賛成です。何でもいいからエジル出してくれい、が本音です。
    最近、ハードワークすべきはエジルよりエメリかと思うのです。批判を恐れて?信頼してないエジルを出しても、負けそうになると嫌いだから下げるみたいな中途半端さ。キャプテン選びもそうでしたし、自分のコメントをサニエリに援護してもらったりとか。チーム一の人気選手を外すならもっとエメリ自身が厳しくあらねば。togetherとか言って満足してるうちは駄目よ。

  3. ガナユ より:

    エジルとトレイラ使いこなせない時点で諦めてます。

    バイタルがスカスカで攻撃は単発のオーバ頼み。チームとしての形が見えませんね。昨シーズン序盤はSBの攻め上がりからチャンスを作って得点演出していたのでティアニーとベジェリンが戻れば攻撃の形は良くなるかもですが

    守備の形が無いとヴェンゲル切ってエメリになったのに攻撃も魅力なくなって守備変わってないとか悪夢いがいの何者でも無いですな。

  4. 海苔助 より:

    最終ライン3枚とラカゼット欠いて3位で解任解任言われるエメリが気の毒ですね

    昨年のムスタフィ、今季のジャカの扱い、方々で見る飽きっぽいファンの「ぼくの考えた最高のチーム」を見るに、選手を信頼して守るという意味でのヴェンゲルの偉大さを改めて感じる次第です。

    CL出場権とスカッドの新陳代謝、二兎を追って二兎を得ようとしてるのに…自分はエジルよりもトレイラよりもブレないエメリを信用してます。

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    正直このままCL権を確保してもエメリは解任でいいと思います。構造的問題は人を変えても起こりますし、多くの方が指摘している怪我人の影響も、ラカゼット以外はシーズンに入る前からわかっていたことなので昨シーズン終盤の失速の言い訳はできても今シーズンの言い訳には(ここまで酷いと)ならないと思います。ラカゼットもタイプは違えど最高級の選手がかわりにトップにはいるわけですし。エメリが勝てない監督だとは思いませんが、この規模のクラブにはクラブカラーとある程度一致する内容が求められると自分は考えます。その点に関して懐疑的と言わざるおえないです。

  6. アン より:

    たまたま3位なだけでいつ落ちてもおかしくない状況ですね。今3位だからとエメリを支持する理由にはならないし、中盤の構成など素人目から見ても明らかにおかしい。
    早々に解任し、リフレッシュしてほしい。
    まだ間に合います。

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