イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「ウナイ・エメリのベストメンバーと最適布陣がわからない」…クラブOBの指摘に納得!

「スカイスポーツ」の記事を読んで、愕然としました。2018年5月の就任以来、プレミアリーグで50試合を消化したウナイ・エメリ監督がもたらしたスタッツと、アーセン・ヴェンゲル監督の最後の50試合を比較した表を見ると、現在の指揮官が勝る数字がほとんどなかったからです。スペイン人は25勝12分13敗、フランス人は27勝7分16敗で、獲得ポイントは前任者が1ポイント上回っています。ゴール数は96対89、失点は64対68。ポゼッションは61.4%から57.6%に下がり、クリーンシートは18から10に減り、オンターゲットは299本から223本と激減しています。枠内に打たれたシュートが42本も増えているのに、失点の増加が4点に留まっているのは、ベルント・レノの奮闘によるものでしょう。

Should Unai Emery stay or go? Charlie Nicholas gives his Arsenal verdict(ウナイ・エメリは出ていくべきか留まるべきか?チャーリー・ニコラスがアーセナルに評決を下す)」と題された記事でクラブOBが主張しているのは、「ウナイ・エメリ監督が就任してから、何も改善していない」「私たちは、彼の最高のスタートラインナップやベストフォーメーションを知らない」ということです。いわれてみれば、その通り。4-2-3-1か、4-3-3か、あるいは4-3-1-2か?どの布陣をとっても、主力と目されるメンバーが外れたり、適材適所とはいえないポジションに配する必要があったりします。

ルーカス・トレイラとグエンドゥジを中盤センターに並べる4-2-3-1は、トップ下にエジルを置ける形ですが、オーバメヤンかラカゼットをサイドにまわす必要があり、ダニ・セバージョスは便利なオプションという扱いになりそうです。4-3-3はエジルかニコラ・ペペが弾き出され、2人のストライカーのいずれかをサイドに配する悩ましさが残ります。4-3-1-2にすれば、オーバメヤン、ラカゼット、エジルをベストポジションで起用できますが、ニコラ・ペペにクラブレコードの7200万ポンドを費やした意味がわからなくなります。3バック…?サイドにベジェリンとコラシナツが張るのを前提とすれば、トップが1枚でも2枚でも3枚でも、前述の問題がそのまま残るだけです。

エメリ監督は、これまでの主力と新戦力に加えてサカ、ウィロック、ネルソンら若手を抜擢しています。ランパード監督のように勝ち点3につながっていれば、層が厚くなるのはウェルカムなのですが、勝ち越しゴールを奪えない展開が多いチームにおいては、「なぜ、最後のカードがマルティネッリ?」などと疑心暗鬼の種となることもしばしばあります。右サイドのベジェリン、メートランド=ナイルズ、チャンバースは誰がベストなのか?パパスタソプーロス、ダヴィド・ルイス、ホールディングは?コラシナツとティアニーなら…?ダニ・セバージョスとジャカの効果的な使い方は?エジルはどうする…!ペップのように、高いレベルでターンオーバーできるならいいのですが、活かされていない選手が多いという印象が拭えません。

今季プレミアリーグにおけるアーセナルのスタッツを見ると、ポジティブなのは1試合あたりのドリブル成功数がマン・シティに次いで2位(ニコラ・ペペのおかげ)であるぐらいで、他は凡庸あるいは懸念を示すものばかりです。喫緊の課題は、アストン・ヴィラ、ノリッジに続くワースト3位の被シュート数。1試合あたり16.4本は、TOP4で最も打たれているレスターの9.8本を大きく上回っています。アンカーにルーカス・トレイラを固定してスペースを埋めるのがベストだと思われますが、ファビーニョ、エンディディ、ジョルジーニョ、ロドリのような展開力がないと嫌うなら、グエンドゥジを横に並べる布陣がベターでしょう。

「スカイスポーツ」の記事と今季のスタッツを並べて、「エメリのベスト」を考えてみました。現実的な11人は、GKレノ、DFベジェリン、パパスタソプーロス、ホールディング、ティアニー。中盤センターにグエンドゥジとルーカス・トレイラ、2列めにオーバメヤン、ダニ・セバージョス、エジル、ワントップにラカゼットです。現在のぎこちないビルドアップでは、ダヴィド・ルイスはリスクが大きいと判断。オーバメヤン、エジル、ラカゼット、ニコラ・ぺぺを同時起用できれば盛り上がるのですが、プレミアリーグにフィットしていないニコラ・ぺぺと、ボールロストした際に追わないシーンが目立つエジルを近くに置くと、中盤センターの負担が増大するのも気になりました。

10番がデブライネやダヴィド・シルヴァのようなタスクをこなせれば、理想形は4-3-3です。アンカーにルーカス・トレイラ、インサイドにグエンドゥジとエジル、前線には昨季プレミアリーグ得点王、体を張れる9番、期待のドリブラーが並びます。最高給取りと移籍金クラブレコードを併用できればベストと考えましたが、いかがでしょうか。「誰をどこに」というカードゲームのようなお話よりも、「それぞれのポジションにどんな役割とアクションを求めるか」といった戦術の問題が大きいのは重々承知ながら。(ウナイ・エメリ 写真著作者/Amir Hosseini)

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“「ウナイ・エメリのベストメンバーと最適布陣がわからない」…クラブOBの指摘に納得!” への11件のフィードバック

  1. だしまる より:

    そうなんですよね

    トレイラ・ゲンドゥージ・エジルの中盤
    ティアニーとベジェ
    ラカにオーバと
    上手く使ってくれないかなと思うばかり。
    4-3-3だとハマりそうですよね。

    ただ、ぺぺは、自信を取り戻してから使ってほしいかな。
    右サイドは、ナイルズやチェンバースが控えていますし。

    さてさて、

    連勝もあり、勢いに乗っていた時期があったものの
    去年の後半からフォームがくずれはじめラストはぐだぐだでした。

    コッシーの退団、ジャカの怒りに続き、今度は、オーバメヤンの誰と付き合おうが勝手だしと

    もうチームの規律が乱れまくっています。

    エメリの言うことを選手たちが聞いているように見えません。
    どこで歯車が狂ったのでしょうか。

    昨シーズンのデニス・スアレス獲得あたりから、ミスリンタート退団、
    スアレスの怪我からプレーできるコンディションになかった
    終盤の負け続き
    EL決勝の完敗
    コシールニー退団

    と悪いことが続いている気がいたします。

  2. 4 より:

    2超は凄すぎレスター&チェルシーは凄くいい感じですね。トレイラにはロンドン好きになってもらう努力してペペ&テェアニ−にはプレッシャーの少ない今シーズンでPLに慣れてもらい来年はサリバも来るしホールディ復活。オーバラカZエジル売りたいなら売るなら売る。ザハとマディソン獲る。マルティネッリ−−。今年は観てきた中で1番はがゆいかも。エメリさんは嫌いではないです。マンUのマルシャルみたいなのが出てきてくれればいいですが。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    ウイイレ でやってろ、て感じ。

    サイドならともかく中央でエジルみたいな守備サボる選手使ってちゃ、そりゃあ勝てんよ。特に今のプレミアでは。

    3バックで物理的に後ろを厚くした方が、間違いなく安定はするだろうね。
    ベジェリンやルイスら守備に難のあるDFも使いやすくなるし。
    高い選手を使いたい!なんて言ってる場合じゃない

  4. ぐなです より:


    よく「間違いなく」なんて気軽に使えるなぁ笑
    間違いないアイデアを出せるならウイイレじゃなくて実際に監督になれるでしょ笑

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    高給のベテランとはいえ、買い手が見つからなかった、というのがいまのエジルを物語っているかなと。
    ジャカを使うよりマシ、と言われればそうかもしれない、と言えるかもしれませんが。
    はたして、アーセナル以外のビッククラブでエジルをトップ下で王様扱いするクラブはあるだろうか?ましてや右サイド?
    ゼロとは断言しませんが、同じように古典的な司令塔タイプを接待してるビッククラブはちょっと思いつかず。
    やはりエジル本人がインサイドで使えるようにならないといけない気がしますね。
    彼を売れなかったことが、そもそもの不振の原因のひとつな気が。

  6. エミリー より:

    なにやら良くない話をチラホラ聞きますね。
    エメリ監督、完全に求心力を失ったと見て間違いなさそうです。
    こうなってしまうと、もはや戦術うんぬんでは無くなりますからね(泣)
    どこに誰を起用しても、機能はしません。
    若手の積極起用も、まだ言うことを聞いてくれそうだからって理由なら、エメリ監督も気の毒なことです。
    どこでこんなにこじらせたものか?
    笑顔が消えたオーバメヤン、ラカゼットは今季で出ていくだろうな(泣)
    もしだけど、監督と選手を繋ぐ、最後の良心がジャカだったのだとしたら、キャプテンを任せた理由も頷ける。
    なんか、チームとして悲しすぎるでしょ、コレ(泣)

  7. 海苔助 より:

    現実世界で間違いのないアイデア出し続けてアーセナルまでのし上がってきた実際の監督がエジル干してるんだから当然然るべき理由がある訳で…

    ただ実際試合見て思うに、ラカオバメ辺りも大概守備サボる人です。気合入れて自陣ボックスでスライディングした3分後にボランチフリーにするタイプというか…

    よくよく考えればベンゲルの時もナスリやソング、サンチェスら辺は普通に造反かまして出て行ってましたよね

    そう考えるとドラスティックにズバッと整理するのも1つの手かも知れません、別にアンリやビエラ、セスク売る訳じゃあるまいし

  8. プレミアリーグ大好き! より:

    ↑たしかに。
    そもそもアーセナルのキャプテンが次々と出ていくのはベンゲル時代からの慣習だったなあ(笑)
    早速ベンゲルのほうが求心力あって人身掌握上手かったと懐古している自分がいた。

  9. 一介のグーナー より:

    ヴェンゲルと単純に比較はできないとは思いますが、少なくとも今の状況は改善が難しいでしょうね。
    格下にも点が取れずシュート打たれ放題のレノ頼みの中トレイラ使え、エジル使え、ウィロックサカらが一皮むける、ベジェリンホールディングらが帰ってくれば。自分自身劇的な改善を期待した布陣でなにひとつ変わらなかったあたり、現場は素人感覚で語れることではないんだなと反省しました。
    監督だけの責任でも選手だけの責任でもフロントだけの責任でもない、エミレーツの雰囲気含め多くの問題が絡み合っているので簡単ではないんですよね。
    叱咤にせよリスペクトだけは持ち続けたいところですが歯がゆい限りです。

    —–
    いや、ボールロストしたときにエジルは結構追いますよ。
    ロシアW杯の韓国ードイツの1点目の失点シーンだってエジルが戻って対応してましたし(そして呆気なくかわされましたが)
    エジルの守備における悪いイメージは、守備の時ボールに行かずまず人のマーク行く守備(つまりエジルがボール奪取することが少ない)と、前プレでパスコース切る時若干サボるクセがある(とは言ってもアーセナルの前線ラカゼット以外は似たようなものですが)ことに起因しています。
    本当に印象って怖いですね。

  10. マルシアルル より:

    今夏の移籍市場はアーセナル圧勝と思っていただけに、ここまで無策に手駒を余すとは思いもしなかったです。

  11. プレミアリーグ大好き! より:

    逆にボールロストしたときに追わない選手っているんか…。
    それしたらメッシでさえ批判されると思いますが。

コメントを残す