偏愛的プレミアリーグ見聞録

ルーカス・トレイラ、右足首骨折！今季プレミアリーグで24試合に出場しているセントラルMFのリタイアは、CL出場権獲得をめざすアーセナルにとって大きな痛手となるかもしれません。FAカップ5回戦のポーツマス戦で、16分に担架で運ばれた小柄なMFは、一時は軽傷と伝えられていました。現在のファーストチョイスはジャカとダニ・セバージョスですが、リードを守りたい終盤にCBの前をカバーしてくれるウルグアイ代表の存在は、アルテタ監督のチームになくてはならないパーツです。

就任以来の公式戦14試合は7勝5分2敗、直近5試合を4勝1敗とチームを立て直した若き指揮官は、どんな采配で主力の離脱というピンチを切り抜けるのでしょうか。ポーツマス戦でガナーズデビューを果たしたパブロ・マリがフィットするなら、ダヴィド・ルイスをひとつ前で起用するというオプションがおもしろそうです。ヨーロッパリーグでオリンピアコスに激痛の敗戦を喫したガナーズは、プレミアリーグ28節までで8勝13分6敗の10位という微妙なポジション。4位チェルシーとの差は8ポイント、マン・シティがペナルティとなれば出場権がまわってくる5位との差は5ポイントです。

「CLに出られなければ、クラブは大きな打撃を受けることになる」と語るアルテタ監督にとって、最も大きな懸念はオーバメヤンの離脱でしょう。「答えはとても簡単。どんな状況に陥ったとしても、私は彼をキープしたい」。ポーツマス戦でビッグチャンスをものにできず、落ち込んでいたストライカーは、バルサやインテルへの移籍が取り沙汰されています。新監督がやってきてからのオーバメヤンは、左サイドにおける守備の負担が格段に上がったにもかかわらず、プレミアリーグ7戦6発のリーディングゴールゲッター。得点王レースのTOPを走るガボン代表の代わりを務められる選手は、スペインやドイツで物色してもほとんどいないといっていいでしょう。

プレミアリーグ出場25試合で、シュート数64はTOPに立つサラーの2/3。オンターゲット27はTOP10に入っておらず、ショットコンバージョン63％は驚異的です。チームの39ゴールのうち、オーバメヤンの17ゴールが占める割合は43.6％に達しており、最下位ノリッジで気を吐くプッキの44.0％に次ぐリーグ2位。アーセナルのショットコンバージョン30％は、プレミアリーグ首位を独走するリヴァプールの33.9％に続く数字ですが、これもまた絶対的エースがいなければ出せなかったはずです。ラカゼットやエジルが出て行っても何とかなりますが、彼の穴だけはどうにもこうにも埋まらないのは、これらのデータを見ても明らかです。

「エクスプレス」が、「アーセナルがヨーロッパリーグ出場権まで逃せば、オーバメヤン売却に踏み切るしかないと判断」と報じておりましたが、アルテタ監督はCL出場権を獲得してエースの流出を阻止することができるでしょうか。「もし、CLに出られなくても、選手を獲得する方法はある。本人が興味がなくても、彼らの妻がロンドンに住みたいかもしれない。どうにかするよ。心配は要らない」。まさかのロンドンブランド頼みというプランまで口にした指揮官には、ライバルをかわして5位以内に食い込み、オーバメヤンを口説き切るという正攻法を期待しているのですが…。今季プレミアリーグも残り10試合。マン・シティ、ウルヴス、レスター、トッテナム、リヴァプールとビッグマッチを残しまくっているチームの巻き返しに注目しましょう。