偏愛的プレミアリーグ見聞録

チャンピオンズリーグは、マンチェスター・シティVSパリ・サンジェルマンとチェルシーVSレアル・マドリード。ヨーロッパリーグは、アーセナルVSビジャレアルとマンチェスター・ユナイテッドVSローマ。2018-19シーズンにリヴァプール、トッテナム、アーセナル、チェルシーがファイナルを独占したプレミアリーグ勢は、今季も同じ快挙を実現するチャンスが残されています。本命のバイエルンが敗れ、バルサ、ユーヴェ、アトレティコ・マドリードといった強豪も早期に散ったCLは、実力伯仲。来季のEL出場権内にいるのがマンチェスター・ユナイテッドだけというELも、本命がすんなり勝つという予想に乗りにくい組み合わせです。

セミファイナルですら予測不能ですが、トロフィーの行方を占ってみましょう。国内リーグで強いクラブが欧州を制すると考えるなら、マンチェスター勢のタイトル独占となります。パリ・サンジェルマンはリールの後塵を拝しており、レアル・マドリードはライバルのアトレティコ・マドリードに1ポイント差の2位。1月にフランク・ランパードが解任となったチェルシーは、プレミアリーグ5位という苦しいポジションに甘んじています。

ELのローマとビジャレアルは国内で7位、アーセナルはEL出場権すら絶望的な9位。一見、プレミアリーグ2位のレッド・デヴィルズが優勢ですが、国内で不振のチームはCL出場権獲得に集中して死に物狂いでぶつかってくるでしょう。スールシャール監督にとっては、エールディヴィジを独走するアヤックスのように、大会に対するモチベーションが一段下がりそうなチームのほうがやりやすかったのではないでしょうか。

今季の大会で強いチームを評価するとしても、CLは9勝1分のマンチェスター・シティです。21ゴールに対して失点はわずか3。7試合をクリーンシートで終えており、許したオンターゲットは18本のみと堅守を示す数字が際立っています。7勝2分1敗のチェルシーは19ゴール＆3失点。グループステージでシャフタール・ドネツクにダブルを許すなど大苦戦だったレアル・マドリードは、6勝2分2敗で3番手です。リヴァプール以外は中堅クラブばかりと戦ってきたスペインの名門は、4チームのなかで最少の18ゴールと、ダントツの11失点という数字が気になります。

6勝1分3敗で21ゴール10失点のパリ・サンジェルマンは、最もクジ運が悪かったチームです。グループステージはマンチェスター・ユナイテッド、ライプツィヒと同居する死のグループ。ラウンド16はバルセロナ、ベスト8はバイエルンと、やっかいな相手が続きました。アウェイゴールが重要なノックアウトラウンドは、決め手があるチームが優勢と見るなら、9戦8発のムバッペと7戦6発のネイマールが並ぶ昨季のファイナリストがNo.1でしょう。

ELの戦績は、ビジャレアルがぶっちぎりのTOPで11勝1分。アーセナルとローマが9勝2分1敗で、CL敗退でこちらにまわってきたマンチェスター・ユナイテッドは4勝2分です。わがクラブは、ローマには直近5試合を4勝1分と相性がいいのですが、スペイン勢を苦手としており、2019-20シーズンまでの18試合を2勝6分10敗と大きく負け越しています。

今季はレアル・ソシエダとグラナダに3勝1分と苦手を克服しつつありますが、ELで優勝3回＆準優勝1回の帝王ウナイ・エメリ率いるビジャレアルとの決勝となれば、勝てる気がしません。いえ、アーセナルなら勝てそうといっているわけではありません。ローマに勝てたとしても、モチベーションが高いラスボスが待っているのだなと身震いする次第であります。

ペップ・グアルディオラが勝てば、10年ぶり3回めのビッグイヤー獲得となり、マンチェスター・シティは悲願の初優勝。堅守という新たな武器を携えたチームは、前人未到の4冠ゲットも達成しているかもしれません。パリを率いるポチェッティーノ監督は、2018-19シーズンのファイナリスト。パリを追われたトーマス・トゥヘル監督は昨季のファイナリストで、それぞれリベンジを狙う大会です。「解任」「勇退」「残留」と信号のようにメディアの見出しが変わるジダン監督は、勝てば4回めの優勝で単独1位となります。「ラ・リーガと欧州を制して勇退」が、頭の中で描かれているシナリオなのではないでしょうか。

ELの楽しみは、エメリVSアルテタの新旧ガナーズ監督対決、オーレ・グンナー・スールシャールとパウロ・フォンセカの初優勝、エメリの最多優勝記録更新、アーセナルの初戴冠＆5シーズンぶりのCL復帰といったところでしょうか。7ゴールを決めているローマのマジョラルは、ひとつ決めれば単独得点王。5ゴール4アシストのニコラ・ペペは、2ゴール1アシストを加えれば両部門のTOPに躍り出ます。

CLの予想は、いや、半ば願望ですが、チェルシー先輩と挑戦者マン・シティの新旧オイルマネー対決で、われわれの行く手をことごとくつぶしたペップと選手たちをリスペクトできればと思います。ELはもちろん、マンチェスター・ユナイテッドVSアーセナルの「ホントはCLでやりたかった夢の対決」を希望。スールシャールのチームの優勝を願っておりますが、スミス・ロウやサカのプレイにテンションが上がったプレミアリーグファンとしては、彼らの活躍で「苦闘の果ての栄光」が実現したら、心からの拍手で称えられるでしょう。いよいよ、セミファイナルです。8チームとも、できる限りのベストメンバーでナイスゲームを！