偏愛的プレミアリーグ見聞録

敵地でのファーストレグは1-3。アンフィールドで1失点以内に抑えれば勝ち抜けが決まるリヴァプールは、序盤の失点でベンフィカに自信を与えてはいけません。クロップ監督は、プレミアリーグ32節のマン・シティ戦から7人を入れ替えています。キックオフの前から鳴り響くサポーターのチャントも、ホームチームの大事な戦力です。

GKアリソン、DFジョー・ゴメス、マティプ、コナテ、ツィミカス、MFヘンダーソン、ミルナー、ナビ・ケイタ、フロントスリーはジョッタ、フィルミーノ、ルイス・ディアス。立ち上がりから、両者ともに厳しいプレスで縦のパスコースをカットしており、5分を過ぎてもボールが落ち着かない展開が続いています。

8分から2回にわたり、ボックス左を突破したジョッタは、ラストパスを味方に通せず。11分に左サイドでマティプを抜いたダルウィン・ヌネスは、ゴールライン際からのグラウンダーをヘンダーソンにカットされます。13分のアウェイチームのカウンターは、サイドチェンジを受けたエヴェルトンのミドルが惜しくも左にアウト。1分後、フィルミーノとのワンツーで左からゴールに迫ったジョッタは、GKヴラホディモスに先に触られました。

20分に右サイドをスプリントしたのはルイス・ディアス。ニアに出たグラウンダーに走り込んだミルナーのタッチはGKに阻まれ、フォローしたフィルミーノのシュートもブロックされました。直後のCKで、レッズが先制。右隅に叩きつけたコナテのヘッドはパーフェクトです。26分にジョー・ゴメスのパスをボックス右手前でもらったルイス・ディアスは、ヴァイグルをかわして打った強烈な一撃をヴラホディモスにセーブされました。

29分のCKをクリアされてボールが高く浮くと、落下点にいち早く動いたルイス・ディアスが頭で中央にラストパス。フィルミーノのヘッドはフェルトンゲンの背中に当たり、追加点はなりません。32分、バイタルエリアで競り合ったミルナーに触れたボールが、ラインの裏を狙っていたゴンサロ・ラモスの足元へ。左隅に打ったシュートがネットを揺らし、両者のギャップは2点差に戻りました。

38分、左に出たミルナーが縦に浮き球をフィード。裏に抜けたフィルミーノが右にラストパスを出すと、ルイス・ディアスの前でスライディングしたグリマルドがぎりぎりでクリアします。45分のレッズの速攻は、ジョッタのクロスのクリアを止めたナビ・ケイタのミドルがわずかに右。ハーフタイムでトータル4-2は、レッズにとって悪くない展開です。

後半の立ち上がりも、レッズのプレスが目立っています。敵陣で奪ったボールを速くつなげない時間が続きましたが、55分に相手のミスを突いて追加点をゲットしました。ナビ・ケイタが中央のルイス・ディアスに鋭いパス。23番と1対1になったヴラホディモスは、先着しながらファンブルしてしまい、ボールは左のジョッタの足元に入りました。完璧なクロスをフリーでプッシュしたのはフィルミーノ。ベンフィカにとって、3点は絶望的なギャップです。

クロップ監督は、リードした直後にヘンダーソン、ミルナー、ジョッタを下げ、サラー、ファビーニョ、チアゴを投入。65分にツィミカスのFKをボレーで叩き込んだのは、またもフィルミーノです。66分、ルイス・ディアスに代わってマネ。クロップ監督は、もう2～3点取って終わろうとしているのでしょうか。72分、グリマルドが縦に走らせたスルーパスでヤレムチュクが抜け出し、アリソンをかわしてトータルスコアを6-3としました。

83分、レッズはジョアン・マリオにラインの背後を突かれ、左から上がったダルウィン・ヌネスがトラップミスを拾って右隅に収めました。6-4となって、勢いに乗るアウェイチーム。1分後にダルウィン・ヌネスが強烈なミドルを左のポスト際に放ちますが、プレミアリーグ屈指の守護神が素晴らしいセービングでピンチをしのぎました。

90分にフィルミーノが下がり、オリギが前線へ。最後まで攻めたレッズが準決勝進出を果たしました。3-1となってからハイラインのコントロールが緩くなり、オフサイドフラッグに救われるシーンが増えましたが、2試合トータルで1点差に詰め寄られることなく、タイムアップに辿り着きました。

準決勝の相手はビジャレアル。ユーヴェとバイエルンを連破したチームゆえ、油断は禁物ですが、グループステージではマンチェスター・ユナイテッドにダブルを許しており、レッズにとっては戦いやすいチームだと思います。3年ぶりの欧州制覇まで、あと3つ。マン・シティとの今季4度めのバトルとなることを期待しています。