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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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番外編ですが、CL雑感…パリSGは経験差、ユーヴェは実力差でやられる!

チャンピオンズリーグ準々決勝、昨日は強豪同士の激突がありました。バイエルンVSユヴェントス、パリ・サンジェルマンVSバルセロナ。結果は、順当。バイエルンが完璧な試合運びでユーヴェを2-0で下し、ホームで戦ったパリSGは追加タイムで2-2のドローに持ち込むのが精いっぱい。次戦、有利になった優勝候補2チームが、ベスト4へと歩を進めるでしょう。

以前にも書きましたが、今、欧州でいちばん強いのはバイエルン・ミュンヘンだと思います。メッシが抜けただけで得点力が落ちてしまい、ディフェンスの脇が甘くヨーロッパでは失点が多いバルセロナに比べ、どの選手が抜けてもそれなりに穴が埋まり、ミスによる失点が少ないバイエルン。この日のユヴェントス戦は、そんな彼らの強さが浮き彫りになった一戦です。バトシュトゥバーが長期離脱中、ボアテングがベンチスタートで、本来控えのダンテ、ファン・ブイテンのCBコンビ。さらに前半、トニ・クロースがケガでアウト。それでもユヴェントスに点はやらず、クロースの代わりに入ったロッベンが機能して、圧倒的な優位を築くあたりがブンデスリーガでぶっちぎりトップチームの凄いところです。マンジュキッチがいなければゴメス、クロースが不在ならミュラー、シュバインシュタイガーの代わりはグスタポとハビ・マルティネス。簡単に穴が開かないチームゆえに、欧州最強に指名しました。ただし、チャンピオンズリーグを制するのか、といわれるとわかりませんが…決勝の一発勝負だけは水モノですから。しかし、それでも宣言しましょう。今年のチャンピオンズリーグに勝つのは、欧州最強のバイエルン・ミュンヘンです。

ユヴェントスの失敗は、前半開始30秒に、DFに当たったボールがブッフォンの逆を突くという不運な失点をしたことではなく、1点も奪えなかったことでしょう。仮に負けても、アウェイゴールさえ奪えれば、次戦でチャンスがあったと思います。しかし、2-0、完敗。決勝トーナメント1回戦で、アーセナルとのアウェイ戦にて1-3の勝利を得たバイエルンが、ホームでの第2戦で緩んでピンチを招きましたが、ホームで快勝したぐらいでは同じような油断はないでしょう。次戦、累積警告で出場停止のビダルとリヒトシュタイナーを欠いたフォーメーションで、この2点を獲り返すことは至難の業です。現在の実力差が出た試合だったのではないでしょうか。

パリSGは、「自分たちのサッカーをしよう」といったリアリティに欠ける戦い方で、バルセロナに2点を奪われたように思います。率直にいって、バルサに勝つなら、「ゴール前のスペースを埋める」「メッシを自由にさせない」「不用意にボールを奪われない」という3点セットの徹底が必須です。昨季、バルサを破ったチェルシーも、決勝トーナメント1回戦のホームで先手をとったACミランも、自分たちのサッカーよりもバルサ対策の徹底を選ぶリアリストでした。

バルセロナサッカーの凄いところは、ボールポゼッションが高く常に主導権を握ることもさることながら、「ボールを失った瞬間に相手を囲い込んで取り返す速さ」なのです。攻撃時の選手間の距離が近いことが、この囲い込みを実現させています。これには2つの意味があって、「素早く取り返せばDFラインを危機にさらす前に芽を摘める」「実は、バルサからボールを奪った直後が、相手にいちばんスキが生まれている」ということです。獲った瞬間、「よし!攻めよう!」となると、当然バルサの前線の選手からマークが離れます。そのタイミングで取り返せば、フリーの選手に致命的なパスを出せる可能性が最大に高いわけです。この、いわば「逆カウンター」こそがバルサの真髄である、と対戦相手は肝に銘じたほうがいいと思います。

しかし、ああ、パリSGは逆カウンターの餌食になりました。昨夜のメッシの1点めこそ、最も注意しなければならない瞬間だったのです。このあたりが、経験の浅いパリSGというより、イタリア人のわりにロマンチストで自らより強い相手に対してギャンブルできないアンチェロッティの限界なのではないかと感じました。彼の率いるチームはほとんどの場合、順当に勝ち、そして順当に負けるのです。アウェイのセカンドレグ、ケガを負ったメッシが出てくるのかどうかわかりませんが、敵地カンプ・ノウで、アンチェロッティの奇策による逆襲はないでしょう。

優勝は、3チームに絞られた感がありますね。レアル・マドリードか、バルサか、バイエルンか。私はバイエルン推しですが、スペイン2強のいずれか、という予想がメジャーでしょう。さあ、どうなることやら。今夜、レアル・マドリードと香川なきドルトムントの登場です。

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“番外編ですが、CL雑感…パリSGは経験差、ユーヴェは実力差でやられる!” への2件のフィードバック

  1. エッフェ より:

    結果を知った、今現在では何ともでもいえますが、凄いと思います。先見の明が・・

    決勝は、バイエルン対ドルトムントになりましたが、正直 私にはバイエルンがバルセロナと、何処まで戦えるのか、半信半疑におもえました。
    私は、バイエルンのファンなのですが、
    バイエルン最強とは言えなかったです。

    ブンデスの試合は良く観戦し、対ドルトムントの強さを感じています。

    バイエルンに今度こそビックイヤーを掲げて貰いたいですが、
    嫌な対戦相手が勝ち上がりました。

    正直、私にはわかりません。どちらが勝者になるかは・・・

    それくらい、ドルトムントは強いと思います。

    しかしながら、貴方の分かりやすく、的確な分析力には 感心しました。

    素晴らしいの一言です。

    貴方のコラムを初めて見せて頂きましたが、
    読んでいて楽しいです。

    これからも、良いコラムを書き続けてくださぃ。

    楽しみにしてます。

  2. makoto より:

    コメントありがとうございます。おほめいただき、光栄です。バイエルンの強さは、「縦にも横にも守れる」ことだと思います。DFラインにスピードのある選手が不足しているマンチェスター・ユナイテッドや、裏をつかれやすいバルセロナは縦が弱く、失点が多い。サイドに追い込むのがあまりうまくない(=前線のチェイスや中盤の守備の連係が弱い)アーセナルやドルトムントは、ボールを獲る場所が後ろになりがちで、前で奪って素早く攻められない。この両方ができるのが、バイエルンとレアル・マドリードで、適切な選手起用がなされていないため連携が悪く、モチベーションの低い選手がいるレアル・マドリードはバイエルンに劣る、といったところだと思います。今年のバイエルンには、ぜひその実力を見せつけて優勝してほしいと思います。

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